ロボット死闘人「石狩の福次郎」第15回
ロボザムライ駆ける第2部
ロボット死闘人「石狩の福次郎」
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/
第2章レイガン島
ロボット死闘人「石狩の福次郎」第15回
第2章レイガン島(7)
「ご、ご老公様は一体どちら様で…」
「ワシか。俺は日本ロボットの第1号、ろ号ロボットなのじゃ。いやはや、昔はのう、人造人間とか呼ばれておったが…」
「足毛布博士がお作りになったので…」
「何を言うか。足毛布などは邪道。ワシはあの霊戦争が起こる以前の日本に生まれた、由緒正しい人造人間だ。楽天則というロボットを知っておるか…」
「はい、確かロボット歴史学で学びました。確か、谷博士がお作りになられた計算ロボットと聞いておりますが…」
福次郎は、このろ号という日本ロボットの祖の前では、従順になっている。
「レイガン島は、昔はといっても、霊戦争後のことなのだが、西日本にロボット奴隷制がしかれ、ロボットが苦しみ抜いていたことを、まだ覚えておろう。」
「無論です」
福次郎は、ろ号ロボットの言葉に、真剣に耳を傾けていた。
「そのおり、この島は西日本への抜け穴となっていたのじゃ」
「何ですって」
「ご老公、この福次郎を預けてはくださいませんか」
数人のロボットが現れていた。
「なぜじゃ」
「やはり、身元を調べたほうがいいのでは…」
「まて、まて…」
老公は押し止めようとするが、血気にはやったロボットたちが、福次郎を押し囲んでいる。皆、同じような格好をしている。
「福次郎、なぜお前がこのレイガン島ロボットの国まで、たどり着けたかわかっちゃいないようだな」
「何だって、あっしに何かまだ」
「おおありだ。貴様はなあ、政府から送り込まれた犬なのだ。このロボットの国を滅ぼすためのなあ」
「し、知りません。あっしはただの経理ロボットだったのだ。それが悪い友達にそそのかされて犯罪を犯し、この島へ…」
「騙すのもいいかげんにしなよ。お前は政府要請・黒手組の石狩の福次郎だ」
福次郎はここまで言われても、何のことだかわからない。
黒手組だと、何とかとか、何のことだか、わからない。まったく、わかりはしない。その様子を見ていて
が言った
。「ふっ、まったく教育というものは恐ろしいものよ。
お前は頭の中をすっきりクリーニングされて、ここへ送り込まれてきたらしいが、
お前の体は技術を忘れちゃいまい。それゆえ、ここで死んでもらおう」
手に手に武器を持ったロボットたちが、福次郎の回りを取り囲んでいた。
「お前さんにゃ、何の恨みもねえ。が、このロボットの国が危険に犯されるとあっちゃ、
お前を殺さざるを得ない。許してくれよ、福次郎とやら」
最初の一団が、福次郎に襲い掛かってきた。
「殺される!」
と、福次郎は体を固めた。
目の前が真っ暗になった。
やがて意識が戻って来る。
福次郎の足元には、数体のロボットの死体が転がっている。
それも見事に胸板の心臓部をぶち破られているのだ。
(誰だ、誰がこんなことを…。まさか、俺が…)
「福次郎よ、まだ気付かぬのか。お前がどんな殺し技を持っているのか」
『そこまでにせよ』大いなる声が、皆を包んでいた。
「機械神様の声だ」
『一応の探りは入れたのであろう。皆下がるのじゃ』
「しかし…」
『私がいいと言っているのです。命令を聞くのです』
『さあ、福次郎、私のほうに来るのです』
大いなる光が、突然、天頂から降りて来て、福次郎の体を包んでいた。
「い、一体、こりゃ…」
光は、福次郎を上空へと連れて行く。
ロボザムライ駆ける第2部
ロボット死闘人「石狩の福次郎」
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/




