ロボット死闘人「石狩の福次郎」第14回
ロボザムライ駆ける第2部
ロボット死闘人「石狩の福次郎」
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/
ロボット死闘人「石狩の福次郎」第14回
第2章レイガン島(6)
「これは…、ご老公様」かしずく女たち。
「よいよい、気にするな。ところでお竜はどこじゃ。まさか福次郎をいじめておるのではあるまいな」
と、その老公と呼ばれたロボットが言う。案内もないまま、いわゆる拷問室へ入った老公。
「これこれ、お竜。その福次郎をそれほど痛め付けるのではない」
はっ、と気付き、思わず跪くお竜。
「これはこれはご老公様。お恥ずかしい風体で申し訳ございませぬ。この福次郎、きっと何かの秘密を持っていると思い、このように痛め付けましたが、白状いたしませぬ」
「お竜よ、よいか、お前、個人的な恨みがあるのであるまいな」
と、にこりとする老公。
「いえ、決して、そのようなことは」
と、答えながら、驚くお竜。
「よいか、お竜。この福次郎、戒めを解いてやれ」
「えっ、なぜでございます」
「いいのじゃ、あの方が直接会いたいとの申し入れである」
「御方様が、まさか…このような、不良ロボットに…」
「ふ…、不良ロボットで悪かったな」
その頃、何とか意識を取り戻した福次郎、何とかこの場を助かろうと必死である。
「ご老公様とやら、お助けくださいまし。お助けいただけるのなら、あっしは何でも致します。洗濯でも、賄いでも、何でも命じて下さいませ」
と目からポロポロと、まるで産卵時の亀のように、涙を流す福次郎。
「よしよし、わかった福次郎。俺と一緒にあるところへ来てもらおう」
「いいな、お竜。不満はないな」
と、不満げなお竜の前から、福次郎を連れ去る。
が、福次郎の前にさらなる地獄が待っていようとは思わなかった。
ロボザムライ駆ける第2部
ロボット死闘人「石狩の福次郎」
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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