ロボット死闘人「石狩の福次郎」第12回
ロボザムライ駆ける第2部
ロボット死闘人「石狩の福次郎」
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/
ロボット死闘人「石狩の福次郎」第12回
第2章レイガン島(4)
「あたいは、緋牡丹のお竜。こないにお強いおとこしのロボットにあったのははじめてじゃえ」
と、先刻までの勢いはどこへやら、急に福の字にしなだれかかってきたのだ。
「よせやい、気持ちの悪い。さっきまでの威勢はどうしたのだ」
と、いったんは起こっては見るものの、やはり福の字も男ロボットである。悪い気はしないのである。
「どうぞ。私の家『ぼたんの家』へ一緒に来てくださいませ」
と強引に腕を握り、外へ連れて行こうとするお竜。
「やめない、お竜姉さん。あっしをどうしようというんだい」
と、いやがるふりを見せながらも、声色がやんわりし、にんまりと顔がほころんでいる福次郎であった。NO.4の権太は知らぬ間に逃げてしまっている。
『ぼたんの家』とは、西日本政府が密かに営んでいるセックス用ロボット、つまりセクソロイドの館なのである。犯罪者の島の一端に密かに設けられているので、この件は政府の一部高官とか知らぬのだ。現代のロボット吉原なのである。
西日本政府はこの私設ロボット女を使い、外国人や東日本政府の要人の秘密を握り込んでいるのである。その『ぼたんの家』を取り仕切っているのが、緋牡丹のお竜である。お竜は、レイガン島に送り込まれてくる女性ロボットから、みどころのある女ロボットを、密かにスカウトし、この『ぼたんの家』を営んでいるのである。それゆえ、『ぼたんの家』にいる女性ロボットは、皆、美女揃いなのである。
「さあ、くんなまし」
と、急においらん言葉になっている、お竜である。
「おお、ここが『ぼたんの家』か、噂には聞いていたが」
「そりゃ、そうでしょ。よっぽどのことがなければ一般人、一般ロボットは入ることはできぁしませんよ」
と、しなを作っているお竜。
「さあ、お前たち、このお人は福次郎さんといって、私の命の恩人なのだよ。皆でお持て成しをしておくれ」
と、お竜の命令一下、ここまでのロボット美女がいるかと思えるほどの大群が、福次郎の服をすんなりと気付かぬうちにぬがし、体を寄せて来ていたのである。
「うむっ、このような天国があったのか。このようなことがあるとは、さすがのあの好色の桃太郎でも知るまい。愉快、愉快」
「あちきが先じゃ」
「あちきの先に相手にしてたもれ」
と、昔の吉原風の言葉攻め、ついでは肉攻めで、ついつい有頂天になってしまった福次郎。
この世の極楽を堪能したのである。
が、よいことは続かぬもので、翌朝目が覚めてみると、
福次郎は裸のままで、巨大な水車に鎖で括りつけられているではないか。
ロボザムライ駆ける第2部
ロボット死闘人「石狩の福次郎」
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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