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恋と友情の境界線  作者: 奏汰 剣崎
プロローグ
2/2

出会い

「ゆうみちゃん、あの、

これ人文地理学のプリントー」


「あー!ごめんね、ありがとう!

サボってばっかでほんとごめん!助かったわ〜」


「ううん、全然いいよ!!あれは、出てても意味無い授業だし!またいつでも言ってねー」


同じ学科のりなちゃんは、いつも笑顔でこう言ってくれる。が、やはり一抹の罪悪感が残る。


それを呑み込んで、改めてお礼を言うと、彼女は席に戻っていった。


その背中を目線で追いかける。プリントを頼んだのって、何回だっけ。今度お菓子でも奢ろう。


教職課程を取っている者同士、授業がよく被る。何かと教職の必修が多く、一緒にいる時間は多い。


が、別段仲が良い訳ではない。話が合わないのだ。いい人だけど・・・ってところ。


まあ、あまり互いの本心が見えない距離にいるから余計にそう思えるだけなのかもしれない。


もしくは、わたしが人付き合いを避けてるせいかな。



大学2年にもなろうというのに学内に友達と呼べる存在はゼロ。知り合いレベルなら数人いるという陰キャっぷり。ホント笑えてくる。


はぁー。一人で授業を受けるのも、流石にもう慣れた。大学生ともなれば大講義なんて特に一人で受ける人は多い。


目立ってはいないだろうが・・・


一人で受けるとなるとサボりたくなる。周りのきゃあきゃあ言う声も、楽しげな声もうざったい。


シャットダウンするためにイヤホンは必須だ。そのうち耳と同化するんじゃないかと最近本気思ってる。


大学で一言も話さない日なんてザラだ。


これでいいのかと問われれば良くはないのだろうなと他人事のように思う。が、今更どうしようもないのだ。


大学生になれば、閉鎖的な人間関係から解放されると思っていた。でも、どうやらそうでもないらしい。


それに気がついたのは、入学後半年経ってからだ。


同校出身で固まるもの、最初に知り合った人達でずっと一緒にいるものと様々だが、グループは決して流動的ではない。


つまり、一度そのレールからハブれたものは、中に入れてもらうことは容易ではない。


最初の段階でつまずいた私にはどこにも入る余地なんてなかった。




中講義室の後ろから三番目に座っていると、真後ろで騒ぐ陽キャグループの声がうるさいのだが、真面目に受ける気もないから我慢して座ってる。


今から受けるのは歴史学。延々とじいさん先生が

雑音と同レベルの周波数で淡々と講義をする。


歴史自体は好きだが、高校の延長線上の話をレジュメを読むだけでつまらない上に、この自己満な話し方は、眠気を誘ってきて仕方ない。


配られたレジュメにさっと目を通す。読めばわかる内容をなぜ九十分もかけてやるのか誰か教授に問いただしてきて欲しい。


なんてぼんやり思いながら、昨日買った本を取り出す。




本を読んでいる内にどうやら寝てしまったらしい。気がつくと後十分で終わりだった。


欠伸を噛み殺しながら、ぐぐっと肩に力を入れほぐす。あーあ、また、開始五分までの記憶しかないや。



シャーペンを筆箱に放り込み、ほかの荷物もまとめる。チャイムと同時に立ち上がり時点し置き場に向かう。



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