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これからも続く冒険


 俺は少女を担いで白蛇さんおススメの服屋にやって来た。それにしても白蛇さんはなんでも知っているもんだと感心する暇もなく到着するなりすぐに、この少女に見合う服を、値段を気にすることなく繕ってくれと言って全て店主に任せることにした。

 正直、女の子の服選びなど俺がしたら酷いことになるし、俺が選んだとしてもこの子は無理にでも着るだろうからな。

 そういえば、あの子から名前を聞いていなかったな。あとで、名前を聞いておかないと。

 俺は少女が服選びをしている間に、集めていた情報を整理していた。知る限りだとこの大陸には複数の国があり、その国が領土をめぐって争いをしているらしい。

 ここまでは、俺がいた世界の戦国時代に通じそうな所もあるが、さすが異世界と思ったところはその国家を構成するのは人とは異なる種族が構成している場合もあるのだ。

 種族によって特性が異なり、戦術も変化させて戦ったという歴史書を読んだこともあったが、それはこの世界の面白いところでもあり厄介なところでもある。

 その群雄割拠のなかで国を作って維持するのは並大抵のことではないと思いながらもここまで力を与えて貰ったからには、俺だってその機会ぐらいはあるだろう。

 そして今もその仲間である期待の少女を待っている。


「お客様、こちらでいかかがですか?」

 

 入店してからしばらくすると、店主に呼ばれて俺は読んでいた本を閉じて懐にしまう。

視線を前へと移すと店主の後をついて来るようにして、少女は、もじもじとそのスカートを掴みながら恥ずかしそうにしていた。 


「可愛いじゃないか」

「かっ……可愛い……一番可愛いなんて、嬉しいです」

 

 少女の言葉には少しだけ足されてたいような気がしたが、顔をボッと赤くしていたので言わないことにした。


「いろいろと悩んだ結果、これが一番いいっていうのでこのお服になりまして、このちなみにこのお服の総額はこちらになりますがいかがでしょうか?」

「問題ない。全て頂くよ」

 

 俺はその伝票を見て、すぐに支払いを済まし、少女を連れて外に出た。


「あの、服を買って頂いてありがとうございました。一番大事に使わせてもらいます」

「せっかく買った服だから大事にしてくれ」

 

 服も靴も全てを揃えたので、今はその小さな体を俺の腕で抱くことはしていないが、少女は俺の少し後ろをついて行くように歩いていた。


「なぁ、お前には名前はあるのか?」

「私は(ヒカリ)という名前がありますが、ご主人様の一番好きな呼び方で呼んで下さい」

 

 ヒカリ……か。なんともいい名前なんだ。


「お前にピッタリの最高の名前じゃないか、ヒカリ、これからよろしく頼むぞ」

「はっ、はい! 頑張ります!」

 

 ヒカリは、その名前に合うような、明るく元気な声で返事をするのであった。

 

 そのまま俺は歩き出そうとすると、星は小さな声で呼び止める。


「あ、あの! ご主人様のお名前はなんと言うのでしょうか?」

「俺の名前はサトウケイジだ」

「そうですか。ではケイジ様と呼んでもよろしいですか?」

「様付けしなくていいよ。もっと砕けたかんじで」

「で、ではケイジさんでもよろしいでしょうか」

「うん。それでいいよ」

 

 星は少しだけ恥ずかしそうに話かけ俺はそれに対して頷くのであった。


 

 二人と一匹は買い物を済ませて新しい情報を手に入れようと、街の市場を歩いているとふらふらになった少年にぶつかる。


「お、少年すまない」

「こちらこそ、ごめんなさい」

「随分と急いでいたようですが、何かあったのですか?」

 少年は少しだけ考えるような仕草を取った後に、俺を見て問いかけた。

「ね、ねえ。おじさんって冒険者なの?」

「俺は冒険者だが、そこらの冒険者とは違うぞ」


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