はじめまして異世界
俺は白蛇さんの案内で街へと移動しようとしたが、俺の狙いには街ではなく森にあるのですぐにやめて盗賊を探しに森に潜みながら進行を始めて少しすると狙い通り数人の盗賊と見られる人物たちが話し合いをしているではないか。
「さーてと、いたいた」
俺の前方には、数人の盗賊たちが、下品な笑い声と共に酒を酌み交わしており、昼間っから酒を飲んでいい身分だなとほんの少しだけ羨ましく思うが、盗賊たちはこれから襲われるなどと思ってもいないだろう。
「お日様が出ている内から酒とは羨ましいものだな」
「そうだな。私も飲みたい」
「奇遇ですね、俺も飲みたい」
俺はこの世界に来る前に、ビール二缶を置いて来てしまった。あと新作スイーツも。そしてそのスイーツが、実は一番の楽しみだった。
そのスイーツの味はもう出会うことが出来ないが、新しい今を生きる俺には目の前の獲物に集中する。
「さて、行きますか」
「そうだな。行ってこい」
俺は、白蛇さんを置いて、盗賊たちの元に音もたてずに忍び寄り、盗賊たちに気づかれる前に、嵐のように攻め続けた結果数分で決着するのであった。
「いやっほー‼ 金が手にはいったぜぇー!」
盗賊たちを思いつきで瞬時に気絶させ、金を手に入れることに成功し、勝利の雄たけびを高らかに上げていた。
「やったな。おまえ」
「ありがとうございます」
俺は白蛇さんに深々と頭を下げてお礼をいうと、
「さて、後はこいつらを見やすいところに置いておけばよしっと」
盗賊たちの手首を縛ってからひょいと担いで、適当に道に投げ捨てておいた。あとは、誰かが見つけて、処理してくれればいい。
「おまえ、金を手にいれてこれからどうするのだ?」
「金が集まったので、今度こそ街に行きましょうか!」
☆
俺は今度こそ、白蛇さんの案内で街へと入ると、その見慣れない光景に終始驚くばかりであった。
「ほぉー。さすがは街だな。人がいっぱいいるのぁ」
「そうだな。ここはそれなりに栄えているようだな」
この街はいわゆる亜人はいないようで、異世界というよりはどこかの海外に来たような感覚がした。
異世界というよりは海外にいるような感覚のまま、俺と白蛇さんは、街をゆっくりと歩いており、白蛇さんは俺の体ににゅるりと、巻き付いてその小さな頭を、耳元に出している。
「さてと、いろいろ気になることはあるが、まずは酒と宿だな。白蛇さん、どこかおススメはありますか?」
「任せておけ、手持ちの金でいい酒と、いい宿ぐらいは紹介してやれるぞ」
白蛇さんおススメセレクトに従って、俺は人目につかず現在は宿に移動し、白蛇さんおススメの店で買ってきた酒とつまみを広げてお祝いをしていた。
「じゃあ、これが白蛇さんの分ですね」
「おお、悪いな」
俺は酒が入った瓶を傾けて、白蛇さんの前にある皿に酒を注いだ後に俺の皿にも酒を注いで、ゆっくりと皿を近づけて、ちんっと、鳴らして酒を食らい、口から喉に伝わるその味を味わう。
「ああー、うめぇー! 最高だな!」
「そうだろ、そうだろ」
酒の味は異世界に来ても美味かったことに感動しながら、俺は空になった、白蛇さんの皿と、自分の皿に酒を注いで皿をもう一度満たすと、今度はつまみの何かの燻製のようなものを歯で噛みしめながら、酒を飲むと更にうま味が増した。
「それで、おまえはこれからどうしたい?」
「え? それって俺が決めていいんですか? てっきり白蛇さんの補助をするものかと思っていましたよ」
「いやいや、むしろその役は私だ。それでお前は何をするつもりだ?」
「それなら、今俺が思っているのは、この世界で国を作りたいと思っています」
「ほう、国ときたか」
「はい! 俺は国を作って、前の俺のような人たちが笑って住めるようにしたいんです」
「なるほど、おまえのような、不遇な思いをしている奴を助けるというのか」
「そうです!」
俺は白蛇さんに向かって自信を持ってその意思を伝えた。
「面白い! ならばやってみようじゃないか!」
「はい。やってやりますよ!」
俺はもう一度、白蛇さんの皿と乾杯をして酒を飲み干すのであった。
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