底辺社畜の俺がSランクでチート持ちになりました
さて、俺の人生9回裏ランナー無し、点差は五点差、一発逆転は望めない。そこの状況に満を持して登場したのが、俺が育んできた自慢のプヨハラに、車による高速デッドボールが炸裂して、一塁に進むどころか、天国に旅立ってしまったのだ。
「あーあ、俺死んじまったのかよ」
現在、俺は訳の分からない白い世界に、水族館にいるクラゲみたいにふわふわと漂っている。
恐らく即死だと思われるが、死んだ後に微かに聞こえたことから察するに、俺は新鮮な苺ジャムになったようだ。恐らく、ビール二缶と、絶品スイーツといい感じにシェイクされているだろうよ。死んじまったから関係ないけどねっ!
さて、そろそろ真面目にプリンと見間違えるような脳みそを使って考察すると、進んだ先は、恐らくヘブン。ランナーヘブンで試合は続行だろうし、まぁ、事後処理は次の選手に任せよう。
母ちゃんも、俺が工場長辞めたことまだ知らないし、俺の生命保険でハワイでも行って悲しみを補ってくれればいい。……俺、ハワイ言った事ねぇけど。今度VRでハワイの映像見ながら、缶詰のパイナップルでも齧ろうかな……って俺、天国に逝ったんだ。マジでここ天国だよね! 地獄とかじゃないよね! 俺四十歳代になっても痛いのとか嫌だから、いやマジで。
とりあえず、ゲームセットになった俺の人生だが、次はあるのかなぁーとか、腕を組みながら考えていると、
「よう、おまえ。面白い奴だな」
白い世界に一匹の赤い目をした白い蛇が突如にゅるりと現れた。
「蛇が喋った⁉」
俺は慌てる様に驚いたが、白蛇はそんな俺を丸っこい目で見ながら、
「よく見たらおまえやっぱり面白いの! 気に入ったぞ!」
白蛇が楽しそうに俺を見透かすように話続ける。
「おまえ、ここで死ぬのはもったいないな」
「というと?」
「おまえは、未使用の力がかなり溜まっている。それを使わないでここで消え去るのは惜しいと思うぐらいにな」
「なら使います! 全部使います!」
俺はポイントカードに溜まったポイントで一括購入するように白蛇に向かって言った。
「おまえ、勢いもいいな……ますます気に入った! おまけを追加しておこう!」
「ありがとうございます!」
俺は肺から出せるだけの空気を震わしてお礼を言った。
「さて、そうすると、どうするか。おまえが活躍できるようにせねば、よし決めた。私の能力も含めて、おまえはこれからアサシンとなるのだ」
「マジっすか!」
俺アサシンになります! という事は暗殺者かー。それとも忍者か。どっちでも最高じゃねぇか。
「それで、おまえの持っていた分と、私のおまけを足すとおまえの能力はこんな感じだな」
白蛇さんが器用にしゃしゃと、尻尾で空をなぞるとそこには文字が浮かび上がった。しかし、その能力がどれほどすごいか俺には、分からなかった。
「あのー、白蛇さん。これが俺にはどれだけ凄いか分からないのですが……」
白蛇はその事を聞くと小さな赤い目を、更に少しだけ大きくして、
「なに⁉ この能力の素晴らしさをわからんだと⁉」
「はい。すいません。おっさんには分かりません」
「はぁー。手のかかる奴だな、どれ、こうなったらおまえのいた世界での表記でいいか?」
白蛇さんは、始めに書いた時とずいぶんと尻尾のノリが悪くなりながらも、先ほどと同じように俺の能力値を書いてくれた。そして、それがこれだ。
STR S
DEX S
VIT A
AGI S
INT A
MMD S
LUK S
スキル ……………………………
「はぁー。やたらと俺、強くなってんだな」
「当たり前だ。それに私もついているからな」
「えっ! 白蛇さん一緒にいてくれるんですか!」
「そうだ、心強いだろ」
いやー本当に助かる。白蛇さんが一緒に来てくれるなんて。
「さて、準備は整ったな! では行くぞ!」
その言葉に反応するように、白い世界は眩しく輝きだした。
俺は目を覚ますと、心地よい風が吹く草原に寝転がっていた。ゆっくりと起き上がり、体を伸ばして背骨や肩をパキパキと鳴らしながらゆっくりと立ち上り、自分の服装や体を見てみると、服は動きやすく闇に潜めそうな黒で統一された服装で、体はしまった筋肉達があらわになっており、水面に写るその顔を見ると赤髪の短髪をオールバックにしたダンディな顔つきといった、完全に生まれ変わった姿へと変貌していた。
「どうだ、気に入ったか?」
俺のすぐ後ろにいた白蛇さんがどうだと言わんばかりに俺に向かって言ってきた。
「やべぇよ。まるで俺じゃないみたいだ」
「でも、この世界のおまえだ」
そうだ、これが今の俺だ。ヤバい。やれる気しかしない。
「さて、そうすると、おまえはこれからどうするのだ?」
「もちろん。金を稼ぐ!」
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