ウェイトレスさんの誘惑!?
ジリリリリリリ!!!!!!!!!!!!
ガチャッ!!
(ふう・・・・・。)
僕は自分がイメージしていたよりも、スムーズに起床していたのでした。
というのは、昨日の疲れが、完全に取れていたからなのでした。
だから、朝起きるのに対して、全く億劫さを感じていないのです。
ジャバジャバ
この部屋に対して完全に違和感が無くなった僕は、とくに眠気を感じていなかったのですが、儀式として念入りに顔を洗っていました。
チーン
入居前から部屋に設置してくれていた、トースターの音が鳴りました。
今朝は僕がアカデミーに入校して、二日目となりました。
まだニューヨークにきたばかりなのですが、不思議とリラックスできていて、体は硬くありませんでした。
恐らく昨日は刻露さん、桜さん、サニーを初めとした何人もの人と話をして、不安がだいぶ軽減されたからだと思うのです。
モグモグ
テレビをチラチラ見ながら、パンを頬張りました。
ヨシ!!
そして、手早く外出の支度を済ませました。
(さあ!!
今日も頑張るぞ!!)
意気揚々と部屋を出る、僕なのでした。
「よう!!」
ドアを開けたら、サニーも荷物を持って立っていたのでした。
「おはよう。」
昨日であったばかりだけど、彼とはどうやら一緒に行動することになりそうな雰囲気でした。
まあ友達なんて本来は自然な成り行きで、いつの間にやら出来るものであるのかも知れません。
僕たちは一緒に、そのまま練習場に向かいました。
ニューヨークは真夏の日本ほどは、蒸し暑くありませんでした。
そのこともあり、ボクはあまり不安を感じてはいませんでした。
「ナツメ・・・・。」
不意にサニーが、話しかけてきました。
「なんだい?」
ボクはサニーが何を聞いてくるのか、少しだけボヤッとした期待をしていたのでした。
「ナツメはプロになれると思うか?」
「・・・・・?」
僕は彼の発言の意図が今ひとつ理解できずに、返答に窮してしまいました。
「あっ・・・・、やっぱりいいよ。
気にしないで、ナツメ。」
サニーはニコッと笑って、再び前をむき歩いていました。
ボクはなんだかモヤっとした、不安の様なモノを感じてしまったのでした。
入校二日目の練習が始まりました。
とりたてて特別な練習メニューは無かったのですが、僕は必死に取り組んでいました。
なんといっても、周りの練習生の本気度が自分に伝わってくるからなのでした。
時間を感じることもなく、午前中の時間は経過していきました。
お昼休みにボクは昨日に引き続いて、アカデミーのレストランに行きました。
今回は、サニーと一緒です。
「今日もいらしたんですね!!
有り難うございます!!」
今日も同じウェイトレスさんが、接客してくれました。
紺色のベストで、紅い蝶ネクタイ・・・。
やはり元気な彼女でした。
僕たちは、ランチのメニュー注文しました。
「サニーは、ここであまり食べないの?」
「うん・・・。
たまにしか来ないね。」
彼は普段は、別のところで昼食をとっているようでした。
それにしても昨日に比べて、彼は少し元気がありません。
そして僕たちは昼食を終え、会計をしました。
ウェイトレスさんが、会計を対応してくれました。
「有り難うございました!!」
しかし、そこで・・・・・。
いきなり彼女は僕の耳元に、顔を近づけてきたのでした・・・!
(わわ・・・・!!)
動揺する僕に対して、彼女は・・・・。
「通い続けてくれたら、いいことがありますよ・・・・。」
・・・・かのじょは僕の耳元でソッと囁いたのです。
そして彼女は何事もなかったかのように離れて、ニコッと笑って営業のお辞儀をしていました。
余りの意表を突いたウェイトレスさんの行動に対して、僕は言葉が出せずにそそくさとレストランを去ってしまいました。
僕はとてもバツが悪く、足早に歩いていました。
(あのウェイトレスさんは・・・)
あのレストランに通っていたら、何があるのでしょうか・・・。
彼女は一体何者なのでしょうか・・・。
ひょっとして、ウェイトレスさんの誘惑!?・・・・
・・・・・・そんなわけ無いか・・・・・
僕は自分で勝手に結論を出して、我に返ることにしました。
「楽しそうだな・・・・・。」
「えっ・・・・・。」
深く考えないことにした僕に、サニーが声を掛けてきました。
「そっ・・・・・そんなことないよっ!」
彼に心を見透かされている様な気分になったボクは、とっさに否定をしました。
「だって、さっきからニヤニヤしてるんだもの・・・。」
サニーは、ハッキリと僕にいいました。
「いっ・・・、いや・・・。」
そしてボクは、狼狽していたのですが・・・。
(えっ・・・・・。)
別も意味で僕は、驚きました。
サニーの表情が、とても落ち込んでいる様に見えるのです。
どうしたんだい?
サニー・・・・・・




