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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第2章 修行
98/313

おりこうさん・・・

 (はあっ・・・はあっ・・・

 危なかった・・・・・・!) 

 僕は右手を更衣室のドアに添えて、恐らく心臓をバクバクさせながら呼吸を整えていました。

 危うく溺れ死んでしまう所でした・・・・。

 こんなところで命を落としたら、それこそ母を初めとした人達に顔向けできません。

 ようやく落ち着きを取り戻してバスルームを出たボクは、疲れ果ててベットに直行したのでした。

 

 (ううーん。)

 みるみるうちに、ボクは眠りに入ろうとしていたのでした。

 自分の意識が遠のいていくのが感じられます・・・。

 しかし・・・。

 「ダメよ・・・・」

 誰かが、僕の安眠への入り口から引き戻そうとしている様なのでした。

 そしてその声は、どこかで聞き覚えのある人のものなのでした。

 (えっ?)

 僕がうっすらと目を開けると、なんと先ほどの白人の女の子の顔が見えました。

 彼女の出で立ちは、まさにお嬢様といった感じでした。

 お人形のように整った顔立ち、そしてそれにふさわしいヒラヒラの綺麗な洋服・・・・。

 とはいっても、僕の妄想の中の人物なのかも知れないのですが・・・。

 「忘れちゃだめよ・・・」

 (え・・・・・?)

 彼女の僕に対する態度は、感情が表情に表れていないにも関わらず、とても優しいものなのでした。

 そして自分は、なんだか非常に柔らかいものに、頭を預けている感覚に陥っていたのでした。

 しかして、その正体は・・・・・!


 なんとボクは、その白人の女の子に膝枕をされていたのでした。

 僕の姿は、恐らく彼女よりも、小さい男の子になっていることでしょう・・・。

 (一体何をボクは忘れているというのだろう)

 この自分の置かれている状況に矛盾を感じる余裕もなく、彼女の質問に対して答えられないので悩んでいました。

 「分からないの?」

 戸惑っている僕に対して、彼女は率直に尋ねてきました。

 「うん・・・・。

 わからないよ。

 おねえちゃん・・・。」

 ボクは、素直にそう答えました。

 相手が自分よりも、年上のお姉さんだから、甘えていたのかも知れません。

 「もう困った子ね・・・・。」

 そう言って、彼女はボクの頭を撫でてきました。

 ボクは改めて、意地を張らないで良かった、と思ったのでした。

 「ふう・・・・。」

 白人の女の子は、軽く目をつむって腕組みして、ため息をついていました。


 「そうなのね・・・・。ヒントをあげる・・・。」

 そう言って、彼女は腕組みを解かずに、ボクの顔を右手の人差し指でポイントしていました。

 「えっ」

 急な展開に、ボクはさらに戸惑いました。

 (一体、このおねえちゃんは、ボクをどうしようと思っているのかな・・・。)

 「私の顔を見て・・・」

 いきなり白人の女の子は、ボクの顔に顔を接近させてきたのでした。

 (うう・・・・。)

 その距離は不自然さ100%の、近さでした。

 だからボクは思わず、目をつむってしまいました。

 「私をみて・・・。」

 ボクの耳に彼女の声が、おしとやかに入ってきました。

 その白人は女の子が、ボクに対して優しいのは分かってきていたので、恐る恐る眼を開けていきました。

 

 彼女の整った顔は、本当に真っ白でした。

 しかしボクは、白人の女の子が何を言わんとしているのか、今ひとつ分からないのでした。

 「うーん・・・、よくわからないよ。」

 正直に彼女に対して、今の気持ちを伝えました。

 その白人の女の子は、唇を軽くキュッとしているように見えました。

 そして次の行動に、彼女は移行したのでした。

 

 「私の手を見て・・・・」

 白人の女の子は、ボクの目の前に、両手を差し出してきました。

 「う、うん・・・・・。」

 ボクはマジマジと、彼女の手を見ました。

 とてもとても、真っ白な掌なのでした。

 「私の手を触って・・・。」

 「え・・!?」

 その彼女の甘い囁きのような口調と伴った台詞に、ボクは胸をドキッとさせたのでした。

 そしてボクは言われるがままに、彼女の掌を触りました。

 (とても柔らかい・・・。)

 白人の女の子が差し出す、しっとりとした柔らかさに、ボクは思考が止まりそうでした。


 「わからない?」

 さらに彼女は、質問をたたみ掛けてきました。

 「うん、わかんないよ」

 白人の女の子の連続攻撃に参ってしまいそうなボクは、もう白旗を揚げたくて仕方が無かったのです。

 「もう仕方がないわね・・・。」

 彼女はもう両手を腰に当てて、仕方がない、といった雰囲気でした。 


 「じゃあ、私の顔を見て、手を触ってどう思ったの?」

 なんだかボクは、誘導尋問されているような気分になってきました。

 「真っ白で、柔らかいと思った・・・」

 感じている事を、そのまま言いました。

 「そうよ・・・。

 真っ白で柔らかいモノ・・・」

 なんだか彼女は、・・・少々怪しい口調でした。

 ・・・・、意図的なモノを感じるボクなのでした。


 「・・・・アイスクリーム・・・・」

 そこでボクは、辺り障りのない答えを導き出しました。

 「惜しいわね・・・」

 白人の女の子のカラダから、残念そうなオーラを感じました。

 「甘いモノじゃ無いわよ・・・」

 (甘いモノじゃない・・・・・?

 んんん・・・・・・・。)

 ボクはとても悩んだのですが、子供故に知識の選択肢が少ないのが幸いしたのでした。 

 「・・・・・そうだ!!

 わかった!!」


 そこでボクは、閃いたのでした。

 「おりこうさん・・・」

 その白人の女の子は、ボクの頭を撫でてきました。

 とてもとても、柔らかい感触でした。

 そしてボクの目の前の光景に、ゆがみが生じ始めたのでした。

 そしてベットに寝ていたボクは、パチッと目を見開きました。


 (寝る前の歯磨きを忘れていた・・・。)


 真っ白な歯磨き粉を、歯ブラシにつけてボクは丁寧に歯を磨いたのでした。

 今度こそボクは、眠りに着くことが出来ました。


 (あの白人の女の子は誰なんだろう・・・)

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