もう、困った子ね・・・
僕たちは肉が主体のお昼ご飯でしたので、それなりにヘビーな感じがしました。
「ふう・・・・。」
僕はステーキセットを無事に平らげて、一息を着いていました。
「どうでしたか?」
どうやら、刻露さんは自分よりも先に食事を終えていたようでした。
「はい、やはりここの料理は日本のものよりもボリュームがありますね。」
特に気の利いた僕は率直な意見を述べました。
「そうですか。では、早速更衣室に行きましょうか。」
刻露さんは急に、自分が反応できないことを言い始めました。
「え・・・・・?
どうゆう事でしょうか・・・?
刻露さん・・・。」
僕は彼の言っていることに対して、意味を計りかねていることを伝えました。
「ああ・・・。
説明不足でしたね。
夏目さん、ここでテニスをプレイしていきませんか?」
ここまでテニスアカデミーへの道のりと思っていた自分にとって、彼のこの提案は意外でした。
これからテニス漬けの生活になるというのに、その前にテニスをプレイしようという感覚が、僕には理解が出来ませんでした。
でも自分の時間は、彼の影響の中にあると認識していた僕は、特に異論を挟まずにテニスウェアに着替えるために更衣室に行きました。
「さあ、いざ参りましょうか。」
僕と刻露さんは、テニスをプレイする服装になってテニスコートに向かいました。
それにしても、彼は体格がよいです。
彼の身長は185センチくらいはあるでしょうか。
刻露さんはスーツ姿では、ビジネスマンのイメージがあったのですが、テニスウェアを身にまとっていても全く違和感を覚えませんでした。
やはり彼はテニスの経験者だったのでしょうか・・・。
「お腹は大丈夫ですか?」
刻露さんは、僕のお腹の重たさを気遣ってくれました。
「いえ、心配ないですよ。
刻露さん。」
本当はちょっとだけ、ご飯の消化に自身が無かったのですが、僕はそう返事をしました。
そして僕達は、テニスコートに入っていきました。
テニスコートは数面あり、それぞれ数人ずつ思い思いにプレイしていました。
日本人らしい人は見かけることはなく、改めて自分はアメリカに来たことを実感したのです。
と、いうよりも今になってやっと、異国の空気を実感が出来たのかも知れません。
刻露さんは、当たりのコートを見回していましたが、少しして何かに気がついたようでした。
そして彼は、テクテクと歩き出しました。
勿論、僕も刻露さんに後れを取らないようについて行きました。
だんだんと彼が、どのコートに向かっているのか分かってきました。
そのコートには男女の2人組が、立っていたのでした。
「よう!」
刻露さんは英語で、2人に声をかけていきました。
僕は何故か横にいて、ドキマギしていました。
「OH!コクロ!!久しぶりだな!」
男性の方が、刻露さんの挨拶に応えました。
どうやら刻露さんと彼は、は知り合いの様でした。
だから僕は、それを理解できた瞬間にホッとしたのでした。
そして、その男性は何となくですが、南米系の人ではないかと思いました。
どうして自分がそう思ったのかというと、その男性からテレビで見る南米のサッカー選手などのイメージを感じたからなのでした。
そしてその男性は、それほどマッチョな体格ではなく、どちらかといえば細身でした。
しかし僕は感覚的に、その南米系(?)の男性は鍛え抜かれたカラダの持ち主であると見えるのです。
「コークロ。その坊やは?」
南米系(?)の男性に完全に意識が集中していた僕は、その柔らかい声に思わず振り向きました。
その声の主は、一緒にいる女性でした。
その女性は白人の様でしたが、アメリカ系の人とは異なる雰囲気を持っていました。
そうです、なんだか顔立ちが違うと思えるのです。
そう、東欧系の顔立ちではないかと見受けたのでした。
彼女は、まるでミルクのような白い肌で、とても柔らかさを感じる出で立ちでした。
そんな彼女は、上下とも白のテニスウェアをまとっていました。
その女性のテニスウェアの姿は、少し直視できませんでした。
だって、彼女のスタイルはとてもピチピチだったから・・・・。
僕は正直言って、目のやり場に困っていました。
だって・・・・・・。
綺麗で柔らかそうな・・・・脚・・・、まるで甘い乳製品のような脚・・・・。
僕は気づかれないように、チラチラとそのスコートから伸びている脚を見てしまっているのでした。
これは、一回当たり0コンマ数秒・・・・、まさに気取られない様にギリギリのタイミングをはかっているのでした。
しかし・・・・。
とたんに僕と彼女は目が合ってしまったのです。
(ひい・・・・、これは、まずい・・・・。)
僕は、異国に来てとんでもない事になるのではないかという考えが、現れてきました。
ああ・・・・、僕は本来ならこの新天地でプロのテニス選手になるためのチャレンジをするハズだったのです。
それが、異国の美女の魅力に負けて・・・・、セクハラの冤罪(?)で夢が絶たれる事となるのです。
ごめんなさい、お母さん・・・。
ごめんなさい、雪乃さん・・・。
ごめんなさい、桜さん・・・。
ごめんなさい、みんな・・・。
ごめんなさい、紅葉さん・・・・。
僕の目の前は、真っ暗になってしまいました。
================= 心配ないわよ!! =====================
とても聞き慣れた声が、僕の心に響き渡りました。
それは空耳なのでしょうか、幻聴なのでしょうか・・・?
何故そう思うのかと言うと、その声の女は今は日本にいるはずなのですから・・・。
(!!!)
僕はわずかな変化を、見逃しませんでした。
その東欧系(?)の彼女は僕に対して、少しだけクスッと笑っているようでした。
その表情からは、全く悪い感情は浮かんでいませんでした。
だから僕は、ひとまず安心しました。
でも・・・・。
ひょっとしてこの女性は僕のいかがわしい視線に、気がついていたのではないのでしょうか。
だから彼女は僕に対して、非言語のコンタクトをとってきたのではないのでしょうか。
そしてここで、ハプニングが起こってしまうのでした。
================== ポタポタ ======================
僕の足下にしたたり落ちるものが、あったのでした。
それは紅いものでした・・・。
だからといって、紅い葉っぱではありません・・・。
(は・・・・、鼻血が・・・・。)
「OH!!
BOY!!
大丈夫か!?」
全くの初対面なのに、南米系(?)の男性は本当に僕の事を心配してくれているようでした。
「夏目さん。」
すぐさま、刻露さんは僕の鼻にティッシュペーパーを、あてがってくれました。
「もう、困った子ね・・・。」
東欧系(?)の女性は、どうやら自分自身の攻撃力を自覚している様なのでした・・・。
本当はこれは、刻露さんの用意したハニートラップなのでしょうか・・・・。




