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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第一章 旅立ち
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とても綺麗な白人の若い女性は・・・誰・・・・?

 母を紅葉さんの入院している病院で見かけた後に、僕は特に寄り道もせずにそのまま帰宅しました。

 短い間に色々なことがあって、僕は肉体的にも精神的にも疲労困憊の状態でした。

 しばらくしてから母が、家に帰ってきました。

 そして買ってきた総菜を元に手早く用意して、夕食を取ることになりました。

 いつもの食卓ですが、何やら僕にとって重苦しい雰囲気を感じていました。

 

 「かあさん・・・・。」

 僕は、その均衡を破ろうと試みることとしました。

 「どうしたの?」

 やはり自分にとって、母はいつもの母でした。

 僕と母はとの間には、いつもと変わらずに何もありませんでした。

 それでも・・・・、自分には分かる気がするのでした。

 僕が母を病院で見かけたことに・・・・、母は気がついていたのではないのかと・・・・。

 だから自分と母はお互いに、なにか引っ掛かるものを持っているのではないのかと思うのです。

 

 「う、うん・・・・。

 なんでもないよ・・・。」

 僕はある意味、元の鞘に戻す気になったのでした。

 今は小さいながらも、荒波を起こすようなことは避けるべきではないか、という事を優先させる様にしました。


 そしてまた翌日ーーーー。

 レッドリーフ・テニススクールでの残り少ない勤務を終え、僕はまた紅葉さんのお見舞いに行きました。

 自分的には、彼女の体調は本当に回復に向かっているのか、とても気になっていました。

 レッドリリーフテニススクールに在籍してからの四ヶ月間、紅葉さんはいたって元気に振る舞っていました。

 彼女が病気を背負っている事など、全く忘れ去ってしまうくらいでした。

 でもそれは本当の紅葉さんでは無かったのではないのか、と思ってしまうのでした。

 実は彼女は病気を背負っていて・・・・、だからそれを覆い隠すために・・・・、というよりも忘れる為に明るくしていたのではないのかと・・・・。

 そう考えると、僕はとても悲しくなってきました。

 そして紅葉さんのことを、大事にしなければ行けないと思うのです。

 でも・・・・、僕に出来ることはなんなのでしょうか・・・?

 

 そんなこんな考えているうちに、紅葉さんの病室にたどり着きました。

 「こんにちは。紅葉さん。」

 僕は彼女のアパートに尋ねてきた様な感じで、入室しました。

 その瞬間に、僕はそうゆう気持ちでいた事を、ほんのチョッピリ後悔しました。

 実は、病室にいたのは紅葉さん一人ではなかったのです。

 かのじょと一緒にいるその人とは・・・。

 後ろ姿は・・・、誰なんでしょうか・・・・。

 でもその人を、僕はみたことがあるのでした。

 まさにヒョロッとした雰囲気の、男性の後ろ姿・・・・。

 (ああ・・・、この人知ってる・・・。)

 しかも・・・・。


 紅葉さんは、白衣の男性とトランプをしていました。

 しかもカードの扱い方からして、ババ抜きを興じているようでした。

 なんだか自分の頭に、今日もデジャヴがよぎったのでした。


 そして僕は、その男性の顔をみて驚いた。

 この間、テニススクールに紅葉さんを訪ねた来た男性でした。(※第29・30話参照)

 (その節は、変質者と間違えてすいませんでした!)

 「ああ、こんにちは・・・。

 お見舞いの方ですか・・・。」

 どうやら男性は、僕と会ったことを忘れているようでした。

 もっとも、少しやりとりしただけなので、無理もないのですが。

 自分が一方的に、この男性を覚えているだけなのかも知れません。

 それでも男性は、僕と気さくに話をしてくれたのでした。

 この男性の名前は、影浦涼太。

 彼ははこの大学病院のお医者さんだそうです。

 嫌みのない男性で、僕はすぐに好感が持てました。

 

 「お邪魔なようだから、席を外すね。

 紅葉ちゃん。」

 影浦さんは良く分かりませんが、なんだか気を遣ってくれているようでした。

 「そ、そんなんじゃないってば!!」

 紅葉さんは、いつもに増して強い口調で影浦さんに反応しました。

 そのやりとりを聞いて、僕はなんだか、大人と子供の会話みたいだ、と思ってしまいました。

 そして影浦さんは、僕たちを見守るような微笑みを浮かべながら、病室を出て行きました。

 まさに彼にとっては、紅葉さんはまだ子供のままの感覚なのでしょうか。

 僕もその光景を見て、今日もちょっとだけ笑ってしまいました。

 「んーーーー。」

 そんな僕をみて、紅葉さんはやはり不満な顔でした。

 しばらくの間、とりとめのない会話を彼女としました。

 「紅葉さん、また明日ですよ。」

 僕は渡米まで毎日、紅葉さんのお見舞いに行くことを約束して病院を出ました。


 そしてまたまた、病院の玄関で或人物とすれ違いました。

 真っ白な綺麗な肌、まるで造形のような美しい顔立ち・・・・。

 こないだ刻露清秀こくろせいしゅうさんと、レッドリーフテニススクールに来ていた白人の若い女性でした。(※第63話参照)

 そして、紅葉さんと何やら話をしていたのですが・・・。

 紅葉さんが、スクールを退職した日に彼女のアパートに尋ねてきたし・・・。(※第65話参照)

 ハッキリ言って、とっても自分の心に引っ掛かる女性でした・・・。

 

 ・・・まさか、彼女の来院の理由は・・・・・・・。

 僕はある考えが閃き、しばらく病院出入り口の周辺で待つこととしました。



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