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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第一章 旅立ち
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で、でも大丈夫ですからね・・・・。

 おそらくそれほど時間もかからずに、歩道橋の元に救急車が到着しました。

 救急隊がクルマからすぐに降りて来ました。

 「こっちですー!!」

 僕はありったけの声で、救急隊の人たちに呼びかけました。

 すぐに僕の声に気がついてくれて、すぐに歩道橋に昇ってきてくれました。

 

 「大丈夫ですか!?」

 救急隊の人の安否確認に対して僕は、

 「意識がハッキリしない状況なんです!!」

 紅葉さんの、まさに危機的な状況を訴えました。

 紅葉さんは先ほどと変わらずに目を閉じた状態で、大粒の汗をかきながら、とても荒い息をさせていました。

 

 状況を把握した救急隊の方々に、紅葉さんはタンカで歩道橋の階段を降ろされて救急車の中に運ばれていきました。

 そして勿論、僕も救急車の中に同乗しました。

 予断は許さないものの、求めていた助けが来たことで、僕は若干の安心感が灯りました。

 (でも紅葉さん、大丈夫かなあ・・・・・?)

 搬送される病院は、結構近い距離だったらしく、すぐにたどり着くことが出来ました。

 それだけでも、僕はホッとした気持ちになりました。

 そして、紅葉さんは病院内に運ばれていきました。

 

 そして僕は、病院の廊下の長椅子で待機していました。

 紅葉さんは診察室で、しばらく診察を受けています。

 「あっ、お連れの方・・・・・。」

 小柄な女性の看護士さんが、僕に声をかけてきました。

 「はっ、はい・・・!」

 ドキドキした胸を、押さえながら僕はすぐに返事をしました。

 「診察室に来てください・・・・。」

 看護士さんは、丁寧な物言いで僕に入室を促してきました。

 「はい、わかりました・・・。」

 僕は少し不安を抱きながら、椅子から立ち上がりました。

 「で、でも大丈夫ですからね・・・・。」

 その小柄な看護士さんは、優しく僕に言葉を付け加えました。

 彼女の気遣いに対して、僕はしみじみとした感謝の心を抱いたのでした。


 そして僕は診察室に入りました。

 紅葉さんは、ベットに仰向けに寝かされていました。

 やはり彼女は、意識がハッキリとしない感じです。

 僕は診察してくれた医師の方から、説明を受けました。

 幸い紅葉さんは、命に別状はなさそうでした。

 ひとまず僕は、ホッと胸を撫で下ろしたのでした。

 それでも、紅葉さんの体調は極めて良くない状況であったのでした。

 このままで、日常に戻るのは良くないとのことでした。

 結論として、紅葉さんはしばらく入院して養生することになりました。

 そして紅葉さんは、病室に運ばれていきました。


 僕も、紅葉さんに同行していきました。

 病室に連れて行かれた紅葉さんは、点滴を受けながら眠りについていました。

 医師の方の説明通りに、その顔からはやはり生命の危険は感じなかったのでした。

 僕はもう夜中だったが、紅葉さんのベッドの横で座り続けました。

 命に別状が無いとは言え、僕が彼女の傍でいたいという気持ちは強かったのです。

 紅葉さんの寝顔を見ながらだったら、僕はとても安心できました。

 しかしその平穏は、僕の意に反して打ち破られるのでした。


 「うっ!!ううーん!!ううーん!!」

 紅葉さんが、突然大きな声で唸り出しました。

 (!!!!!!!!大丈夫なのか!?紅葉さん??)

 「うううーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 そして彼女は、さらに大きな唸り声を放ちだしたのでした。

 「わわわっ!!!!!!!」

 僕は思わず、ビックリした相づちを打ってしまいました。

 (本当に大丈夫なのか!?紅葉さん!!)

 あまりに急激な彼女の異変に対して、僕は動揺を隠し得なかったのでした。

 そしてさらに、僕に驚愕の衝撃を与える出来事が起こったのでした。

 

================いきなり 僕の右肩が重くなった=================

 

 「ぎゃああああああー!!!!!!!

 ひいいいー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 ただでさえパニックになりそうだった僕は、文字通りに腰を抜かしてしまいました。

 でも、その状況にはきちんとした理由があったのです。

 そして、とても優しい呟くような呼びかけが僕の耳に入ったのでした。

 

==============で、でも大丈夫ですからね・・・・。=================

 

 先ほどの小柄な女性の看護士さんが、僕の背後に立っていたのでした。

 そうです、実は僕の右肩が重くなったのでありません。

 看護士さんが、ポンッと僕の右肩を軽く叩いたのでした。


 「ごらんになって下さいね・・・・。」

 小柄な女性の看護士さんは、紅葉さんの方を指さしていました。

 「ううぐぐぐぐー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 紅葉さんは、まだとても大きな声を出しています。

 しかし・・・・・・・・。


 「うううーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 紅葉さんの声が、一段階大きさが下がりました。


 「うっ!!ううーん!!ううーん!!」

 もっと、紅葉さんの声の大きさは下がりました。

 (あれ・・・・、もみじさん・・・・・?)

 それから・・・・・・・。


 「うーーーーーーーーーん・・・・・・。」

 その紅葉さんの声は、もうけっして大きくはありませんでした。

 それから・・・・・・・。


 「すやすや・・・・。」

 紅葉さんは、おとなしく深い眠りについているようでした。

 (紅葉さん・・・、大丈夫になったのかな?)

 

 

 「うふふ・・・・・。」

 その横で小柄な女性の看護士さんは、とてもささやかな笑みを浮かべていたのでした。

 「ええ?」

 僕は今ひとつその状況が何故なのか、把握出来ていませんでした。

 「この娘は、疲れたときには寝息が凄いのよ・・・・。」

 看護士さんは、分かり切ったような言い方をしていました。

 (え・・・・・、まさか・・・・・・!?)

 思わず僕は、その小柄な女性の看護士さんの顔を見つめました。

 

 「紅葉ちゃんはね・・・。

この病院で、この娘が子供の頃から診ているのよ・・・。」

 紅葉さんは、この病院のまさかの患者だったのでした・・・・。

 彼女の衝撃の告白に、僕はポカーンと口を開けたままでした。

 そして、小柄な女性の看護士さんは僕の耳元で軽く囁きました。


===============だから、大丈夫ですからね・・・・。================


 

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