表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第一章 旅立ち
69/312

絶対に・・・・だよ

「紅葉さん!!紅葉さん!!」

 疲れている様子だった、紅葉さんはついに倒れてしまったのです。

 今の彼女は、ぐったりとして、僕に抱え込まれています。

 「う・・・・・、うん・・・・・・。」

 紅葉さんは、僕の必死の呼びかけに対して相づちを打っている感じでした。

 しかし、その彼女の声はとても弱々しく、おおよそ無意識のうちに発せられている言葉だと思えたのです。

 

 「も、紅葉さん・・・!!」

 僕は、自分自身に冷静を取り戻すように言い聞かせました。

 そして、深呼吸をして彼女の安否を確認したのでした。

 「う・・・・・・・・・・・・。」

 紅葉さんは、意識が朦朧としたと受けとれる、薄目を開けながらの表情をしていました。

 そして彼女は、全身に多くの汗を流し、肩で息をしている様態でした。

 僕はこのとき確信しました・・・・・・。


================紅葉さんは、とても危険な状態==================


 そう思った僕は、勿論すぐに救急車を手配しました。

 (紅葉さん・・・・・。)

 今、僕と紅葉さんは歩道橋の上にいるのですが、とても動ける状況ではありませんでした。

 だって、こんなにグッタリと弱り切った彼女を、無理矢理に連れていくことは出来るわけがないのです。

 倒れ込む紅葉さんを、抱きかかえている時間はとても長かったです。


================恐らく、短いけど、永い時間===================


 (・・・・・・・・・・・・・・・。)

 もうたぶん紅葉さんは、無意識の状態になっている事でしょう。

 そして、僕の不安は次第に大きくなっていきました。

 その増殖した不安は、もはや危機感となりました。

 彼女を抱きかかえている、僕は思いました。

 今の紅葉さんには全く力が無くて、そしてとても柔らかい・・・・・。

 何とかして守ってあげないと、間違いなく彼女は壊れてしまいそうです。

 本当に僕は、このまま渡米しても良いのでしょうか?


 「・・・・・・・・・だよ・・・・・。」

 (え・・・・?)

 紅葉さんが何やら、うわごとのように言っています。

 「ぜっ・・・・・・・だよ・・・・・・。」

 そのとき僕は、彼女が何を言わんとしているのか少しずつ判ってきました。

 僕は・・・・・。


 僕の目から涙が、素直に流れてきました。

 紅葉さんは、こんなにカラダを痛めていても、僕の事を気遣ってくれていました・・・。

 僕は彼女の気持ちに答えるのなら、必ず渡米しなければいけないのです。

 それでも、渡米の決心が揺らいでいる自分もいることは、事実です。

 こんなに、弱い紅葉さんを放っておく事は、できないです。

 そう思う自分を振り切って、僕は近々渡米します・・・・。


 何故なら僕は、紅葉さんの無意識の言葉を、全て理解してしまったからなのでした。

 「頑張りますよ・・・・・・。

 紅葉さん・・・・・・。」


============絶対に、もっともっとテニス上手くなるんだよ。巳波くん==========

 


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ