予感は予兆であり、まさに現実となる・・・・・
今日も僕は、残り少ないレッドリーフテニススクールでの勤務でした。
「Hello。」
突然、僕は英語で呼ばれた。
振り向くと、とても綺麗な白人の若い女性が立っていた。
僕は英語で彼女に、質問を受けた。
その内容は、「秋原紅葉さんはおられますか。」という内容でした。
僕は、その女性に「今日、紅葉さんは出勤しています。」という風に解答しました。
その綺麗な白人の若い女性は、
「ありがとう!」
とても流暢な発音の日本語で返して来て、ニコッと笑っていました。
そうです、僕は何故か英語を聞き取って、その内容を大体理解が出来るのです。
なぜその様な特技があるのか・・・、今ひとつ自分自身でも分からないのです。
なんとなく・・・・。
それは僕の幼少期に、起源がある気がしてならないのです。
それと、なにか彼女と会話をしていて、何やら違和感の様なものがあったのでした。
僕には、のどから出かかっているのですが、それが何であるのか言葉が完全に出てこないのでした。
でも、これだけは言えると思うのです・・・・。
それは・・・・。
============僕は、おそらくこの女性と会ったことがあります===========
そのとても綺麗な白人の若い女性は、紅葉さんを探してその辺を歩いていました。
すると彼女は、一人でここを訪問しているのでは無いと言うことが分かったのです。
僕の視界に、彼女と一緒にいるもう一人のお客さんがいたのでした。
その人は、とても長身のイケメンの男性・・・・・・。
こないだの、レッドリーフテニススクールのイベントの時に来られていたバベル社の営業の刻露清秀さんです。
その白人女性も、バベル社の関係者なのでしょうか・・・・。
少なくとも僕は、彼らが紅葉さんに用件があるというのが気になっていました。
そしてついに、刻露清秀さんと、とても綺麗な若い白人の女性が、紅葉さんを見つけたのを僕は遠目で確認できました。
流石に彼らの至近距離に近づく度胸は、今の僕にはなかったです。
なんだか、会話を盗み聞きするという罪悪感があるのでした。
しばらく、紅葉さんは2人と話し合っている様でした。
簡単な用件でないことは、なんとなく僕に伝わってきました。
正直に言って、紅葉さんの表情からは、いつになく真剣な様子が伺えました。
そして、おそらく3人は話を煮詰める為に個室に入っていったのでした。
僕は直感的に、大きな変化が起こるのでは無いか、という不安に襲われたのです。
==================しばらくして========================
紅葉さんが、僕の視界に姿を現しました。
どうやら、刻露清秀さんと、とても綺麗な若い白人の女性は話を終えて、帰って行ったようでした。
なんだか、紅葉さんはなんだか浮かない顔をしていました。
明らかに元気の無い紅葉さんでしたが、僕はどうしたら良いのか分かりませんでした。
僕は無理に、先ほどの刻露清秀等との、お話を問い詰める事はしたくありませんでした。
紅葉さんの大事なことに、僕が無理矢理入っていくのは良くない事と感じていたのです。
ただ悶々として、僕は業務をこなして、時間を経過することを許容していたのでした。
==================しばらくして=====================
紅葉さんは、また廊下で会話をしているのでした。
今度は、紅葉さんは支配人と話し込んでいました。
そして、またしても紅葉さんは支配人と別室に向かって行きました。
どうやら、これも容易に結論のでる話の内容ではないようです。
しばらくした後、紅葉さんは話を終えた様子で、部屋を出てきました。
そして、本日のテニススクールでの業務は終了したのでした。
「紅葉さん・・・・・。」
僕は紅葉さんに話しかけたものの、何を話したらいいのか分かりませんでした。
「・・・・・・・・・。」
僕は、続いて言葉が出てきませんでした。
「お疲れ様!
巳波くん!!」
紅葉さんは笑顔で、僕に挨拶をしてきました。
その紅葉さんの表情は、僕には無理をしているとしか思えないのでした。
「・・・・。
お疲れさま・・・。
紅葉さん・・・・。」
僕は、紅葉さんに相づちを打って、そのまま別れてしまいました。
僕は・・・・・、なんだか恐怖に近い胸騒ぎがしました。
そして、その予感は予兆であり、まさに現実となるのでした。




