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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第一章 旅立ち
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僕の恩師、春日明神(かすがみょうじん)

 僕はテニスコートを離れ、職員室を目指しました。

 僕の恩師に、近況を報告するために・・・・・。

 そして、職員室にたどり着いた僕は、それほどためらわずに入室しました。

 僕は部屋の中を、キョロキョロと見回しました


 「おお、夏目じゃないか・・・・。」

 僕の背後から、よく知る声でお呼びがかかった様でした。

 「あ・・・。

 春日先生・・・・。」

 僕は、きちんと恩師に再会できました。


 「あー。

 夏目か。」

 「久しぶりね。

 夏目君。」

 「元気にしてるか?」

 春日先生と僕のやりとりで気がついた職員室の先生方は、次から次へと僕に声をかけてくれました。

 「ありがとうございます。」

 卒業後に、こうやって目をかけてくれるなんて、僕は非常に有り難いことでした。

 「夏目・・・・。

 まあ、座れよ。」

 恩師に促されて、僕は来客用の席に着きました。


 今、僕の目の前にいる先生の名は、春日明神かすがみょうじん・・・・・。

 僕の高校3年間、テニス部の顧問として大変お世話になった方です。

 最初はけっしてレベルの高くなかった僕に対しても、先生は毎日話しかけてくれました。

 だからなかなか上達しなかった僕は、時々挫折しそうになってもテニスを続けていけたのだと思います。

 そして僕がテニス部の主将になり、重責を担いながらの活動においても、和気香かきかおりに負けないぐらいサポートしていただきました。

 春日先生は本当に、僕の成長に寄り添ってくれた大切な恩師なのです。


 実は僕は、テニス部の主将になっていたこともあり、彼とは親しくお話をすることもありました。

 だから僕は、先生のプライベートも或程度は存じていました。

 現在の彼は独身ですが、若いときに学生の方と結婚していました。

 しかしその奥さんが交通事故で、若くして亡くなったのでした。

 それ以来、春日先生は再婚をせずに今にいたっているのでした。

 このこともあり、ときどき僕の恩師はときどき寂しい雰囲気を感じることがあるのでした。

 

 「春日先生・・・・。」

 僕は、卒業以来の先生との再会に恐縮していました。

 「夏目・・・・。

 テニスのコーチ業は、うまいこといっているのか?」

 春日先生は、ゆっくり目の口調で僕に近況を訪ねてきました。

 その態度からは、本当に僕を心配してくれているのが、伝わってくるのでした。

 「は、はい・・・。

 上司や同僚の方々に、助けてもらって充実した日々を送っていますよ。」

 その言葉に、僕は嘘偽りを申してはいませんでした。

 そうです、そう言われると僕には高校を卒業した後の、今も支えてくれる大切な人々がいるのでした。

 みんなの顔が、みるみるうちに頭に浮かんできました。

 紅葉さん・・・、雪乃さん・・・・、日向コーチ・・・、支配人・・・、刻露清秀こくろせいしゅうさん・・・、おまけに(失礼)折夫さん・・・・。

 勿論、他にもたくさんの人々に助けられています。

 僕は・・・、僕は・・・・、何らかの形で、このご恩に報いたいと思っています・・・。


 「うまくやっているようだな・・・。

 夏目の顔をみれば分かるよ・・・。

 これからも、今まで通りに取り組めばいいんじゃないかな・・・・・。

 なにも心配することはないぞ。」

 春日先生は、僕が今まさに希望に満ちていることを見抜いていました。

 

 「実は・・・・。

 僕は、そのテニススクールを退職することになったんです。」

 僕は正直に、今の状況を報告しようとしました。

 「なんだってまた・・・。

 どうして退職するんだ?

 夏目・・・。」

 春日先生は、それほど驚いた様子も見せずに、僕に問い直しました。

 どうやら、僕に前向きな理由があって、レッドリーフ・テニススクールを退職する事も、また春日先生は見抜いているようなのでした。


 「はい、それが僕は近日中に渡米することになったのです。」

 僕は、その理由の説明をしようとしました。

 「ほう・・・・。」

 春日先生は、話の続きを促すような相づちを打ってきました。

 「何故かというと、僕はプロテニス選手になることを目指すことにしたんです。

 アメリカで修行するために、アカデミーに入るのです。」

 我ながら、ハードルの高い目標に向かって行っているという認識があるのでした。

 それでも春日先生から、どのような反応があるのか、不安はあまりありませんでした。

 それだけ僕は春日先生に対して、安心感を持っているのでした。

 

 「永く続けろよ・・・・・。」

 「はい・・・?」

 「夏目、テニスを永く続けていけよ・・・・。」

 「先生・・・・。」

 僕は、春日先生から頂いた言葉を完全に理解出来ていませんでした。

 でも、これだけははっきり言えるのです・・・。

 先生は、僕を励ましてくれようとしているのです。

 「夏目がテニスを続けてくれたら、私は嬉しいんだ・・・・。」

 春日先生は、掛けている眼鏡の縁を整えて、ゆったりと語りかけてきました。

 プレッシャーもなにも感じない・・・・、純粋な励ましの言葉・・・・・。

 

=================春日先生に会いに行ってよかった==============

 

 この後、僕は春日先生と、高校時代の思い出話に花を咲かせました。

 そして、いつかまた母校に、先生に挨拶に行くと約束を交わしました。

 僕は訪問を終え、校門の前に立っていました。

 

=================春日先生 有り難う====================


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