懐かしのコートへ向かう途中の会話
「先輩!
行きましょうか!」
カラ元気と思える彼女を見て、僕は少し可愛そうな気がしました。
気を取り直した様子の、和気香は僕を案内するつもりの感じでした。
もっとも、ここは僕の母校で全て分かり尽くしているのですが・・・・。
どこを目指して行くのかというと、僕が在籍していたテニス部のコートでした。
歩き出した僕たち2人は、まだ話が終わっていないようでした。
そして私、夏目と和気香の会話は再開しました。
「先輩・・・・・。」
後輩の女子生徒は、僕の横顔を見ていました。
でも、どんな言葉を出すのか、気にしている様子でした。
そして彼女に対して、僕は何を言うべきなのか考えました。
「あ、そうだ・・・・・。」
僕は、かなり言うのも躊躇したのですが、この女の子に言うのはまだ安心でした。
「あのな、和気・・・・。
僕はアメリカに、テニスする為に行くんだよ。」
率直に、僕は彼女に話を切り出しました。
「・・・・・・!!
え!?夏目センパイ!?
それは、どうゆう意味ですか?」
なんだか、和気香は、僕の発した言葉にたいして予想外に驚いた雰囲気でした。
「テニスの為に、アメリカに行くのって・・・・?」
彼女は、もっと詳しく説明して、とばかりに僕に食い下がってきました。
「うん・・・・・。」
僕は気持ちを落ち着かせるために、ほんの少しだけタメを作り出しました。
「実は僕は、プロテニス選手になりたいんだよ・・・。」
僕は、ダイレクトに女の子の質問に答えました。
「・・・・・・・・・・・・。」
和気香は、素直に驚いていました。
僕は、その彼女の反応に戸惑ってしまっていました。
やはり僕の思ったとおりの、展開になってきました。
僕は読者の皆様がご存じの通り、とても不器用な人間です。
僕がテニス選手としてのレベルを、ここまでアップさせてこれたのも、誰よりもやってきたと自負の出来る努力によるものだと思っています。
おそらく彼女は、僕のこれからの挑戦を、とても無謀な事であるという驚愕の心を持って受け止めているのでしょう。
かくゆう僕自身も、自分は無理な計画を実行に移そうとしている意識は持っていました。
僕は、高校でトップレベルの選手でありましたが、けっして世界のプロテニス選手と戦えるとは思っていませんでした。
でもどうして僕は、プロの世界に入ろうとしているのでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その理由は、僕自身にも分かりません。
強いて言うならば、この選択以外が思いつかなかったと言うことでしょうか。
けっして才能に恵まれている訳では無いのに、どうしてこのような考えになるのか・・・・・。
何故だか、僕はイメージが出来ているのです。
アメリカで、テニスの修行をしている光景が・・・・。
なぜだか、あるはずのない走馬燈が・・・・・・。
「すごーい!!
夏目センパイ!!」
女の子は、キラキラを目を輝かせて僕を見つめていました。
「えっ・・・・。」
ハッと僕は、その考え事から目が覚めました。
僕は、その彼女のまっすぐな瞳に、ますます戸惑いを覚えていました。
「先輩!!
頑張ってくださいね!!」
和気は、とても元気な声を投げかけてきました。
「夢が叶っても、叶わなくても・・・・・。
私は、夏目センパイを応援してますからー!」
彼女は、屈託のない笑顔で僕に振り向きました。
そうです・・・・・。
出来るかどうかなんて、考えなくてもいいかも知れないのです・・・。
たとえ、後にやらなければ良かったと、後悔することとなっても・・・・。




