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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第1章 旅立ち
55/319

折夫さんとのやりとり

 「しっかし、エキシビジョンでこんだけ周りが騒ぐとわなー。

 まいったぜ。」

 折尾さんは、ポロシャツを脱いで上半身は裸の状態でした。

 僕はその折夫さんの姿を見て、ギョッとしました。

 何を気になったかというと、折夫さんの上半身なのでした。

 僕が眺めた折夫さんの姿は、とても鍛え抜かれたものでした。

 その男子テニスのプロ選手としては、小柄な体からは想像できない位の筋肉の付き方だったのです。

 (折夫さんのグリグリのスピンサーブ・スピンショットは、この強靱な肉体から生み出されるものだったのか・・・・。)

 

 「なんだよ夏目、何をしげしげと眺めているんだよ?

 んんー?ひょっとして、お前はアレなのか?」

 (・・・・・・??)

 折夫さんの言うアレとは何なのでしょうか・・・・。

 一体・・・・・。

 僕は今ひとつ良く分からないので、折夫さんに正直に聞いてみることにしました。

 「あのう・・・・・、四季さん・・・・。

 今言われた、アレとは何のことなんでしょうか??」

 僕がそう折夫さんに言うと、彼はニヤリと笑いました。

 それはとても不気味な、なにか期待を込めているのでは無いのかと思える笑みでした。

 

 「ああーまどろっこしいなあ・・・!

 アレって言うのは、コレに決まっているじゃんよ・・・。」

 折夫さんは左目を瞑って、右手の甲を怪しい感じで口に添えていました。

 その折夫さんは、なんだか妖艶な雰囲気を醸し出していたのでした。

 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 「え!?ええええええ!!!???」

 僕はその折夫さんの反応に、非常に動揺して上手く言葉が出ませんでした。

 「フフフ・・・・・。

 分かっているじゃんかよー。」

 なんだか、折夫さんは好意的な口調で、僕の動揺に食いついてきました。

 「いや!!? 

 だからそうゆう事じゃないですから・・・・!!」

 僕は、なんだか折夫さんは普通の人じゃ無い気がしてきました。


 「なんだよー。

 そうなんだったら、はじめからそう言えばいいじゃんかよー。」

 折夫さんは腰に手を当て、僕に対してズイっと接近してきました。

「あわわっ!!」

 (折夫さん近っ!!)

 折夫さんの迫力に圧倒されて、僕は思いっきり後ずさりをしました。

 そして、僕は壁際に追い詰められてしまいました。

 

 ============バンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!============

 

 ・・・・・・壁ドンです・・・・・・・・・

 まさか人生初の壁ドンが・・・・・、僕が逆に壁ドンをされる立場となるとは・・・・・。

 しかも、その相手が僕にとって同姓である男性の折夫さんとなるとは・・・・・。

 そして、僕は後戻りの出来ない世界に引き込まれて行くのではないかという、危機感を芽生えるには十分過ぎる状況にありました。

 (まずい・・・・。

 まさか折夫さんが同性愛者だったとは・・・・・・・。)

 誤解の無いように言っておきますが、僕は同性愛について差別をするつもりはありません。

 しかし、僕自信は同性に対して性的な魅力は感じないわけで、非常に困っている訳なのです。

 そうこう僕が、考えを貼り巡られているうちに、事態はその次のフェーズに移行していくのでした。


 「ひっ、ひいっ・・・・・!!!!」

 なんと折夫さんは、僕のポロシャツを脱がしにかかってきたのでした。

 「お、おい大丈夫だよ。

 慌てるなよー。」

 折夫さんは、なんにも悪びれることもなく僕の衣服を抜き取ろうとしていました。

 どこまでもアブノーマルな男なのでした、折夫さんは・・・・。

 しかも折夫さんの腕力は凄まじく、僕の抵抗もむなしくポロシャツは脱がされてしまいました。

 僕は自分の無力さを思い知らされ、うなだれました。


 「やっぱり、いいカラダしてんな・・・。」

 折夫さんは、とても満足そうな表情をしていました。

 それは正にごちそうに有り付こうとする、肉食動物そのもののオーラを放っていたのでした。

 僕は高校を卒業したまだ四ヶ月余り・・・・、今年19歳です。

 まだ女性となんにも経験していないのに、僕の意に反して同性の折夫さんに初めての体験を施されることになろうとは・・・・。

 (ああ・・・・、僕は、僕は変わってしまうのです。)


 同時に僕の脳裏に走馬燈がよぎってきたのでした。

 紅葉さんの満面の邪心のない笑顔が浮かんできました。

 (ごめんなさい・・・・。

 紅葉さん・・・・・・。)

 僕は、紅葉さんに対して申し訳ない気持ちで一杯でした。

 おそらく僕は、今とても悲壮な顔をしている事でしょう。

 

 ===================そして========================


 「大胸筋、腹筋いい感じだな・・・・。」

 折夫さんは、しげしげと僕の上半身をチェックしていました。

 しかし、その折夫さんの表情は性的なものは微塵も感じませんでした。

 「へ??」

 なんだか僕は急に、拍子抜けがしました。

 「悪いな・・・・。

 色気のない話で・・・。」

 折夫さんは、ニヤニヤしながら僕に言葉を投げてきました。

 「いやいや!!

 そんなことはありません!!」

 僕は右手をブンブン振りながら、必至に否定をしました。

 冷や汗を掻きながら、僕は自分のカラダを狙われている訳ではないことに気づいて安堵をしていました。

 どうやら折夫さんは、性的な意味ではなく、筋肉の話をしているようなのでした。

 先ほどから折夫さんが述べられているアレとは、筋肉を鍛えているという意味なのでしょうか。

 そうです。

 僕と折夫さんは、エキシビジョンマッチの終了後に更衣室で着替えをしながら話し合っていたのです。


 「夏目・・・・。

 君は学生の頃から、かなり鍛えてきているようだな・・・・。

 どうやってこれだけ鍛え抜かれたカラダになったのかな・・・。」

 とたんに折夫さんは、真面目な顔になっていました。

 朝といい、今現在といい、折夫さんは僕の筋肉を褒めてくれるのですが・・・。

 僕はコレといって筋力トレーニングの類はしていないので、今ひとつピンと来ないのでした。

 「いや四季さん、僕は人よりもカラダを鍛えている自覚はないんですよ。」

 僕は弱めに否定の言葉で、折夫さんに答えました。


 「ふうん・・・・。」

 僕の答えに対して、折夫さんはさほど食いついて来ることもなく流していました。

 「しっかし・・・・。」

 折夫さんは、さらに続けました。

 「今日は、お前達にやられちまったな。」

 折夫さんは、それほど悔しそうな感じもせずに呟いていました。

 

 そうですーーーーーーーーーーーーー。

 先ほどのエキシビジョンマッチは、ゲームカウント6対5で夏目・秋原ペアの勝利に終わったのでした。

 一進一退の攻防の末に、紅葉さんの手前にポトリと落ちるドロップボレーで勝負は決したのです。

 僕たちは最初のリードを追いつかれながらも、勝利を手に出来たのでした。

 苦戦しながらも、勝負を決めた紅葉さんはとても嬉しそうでした。

 行き余って、紅葉さんは僕に抱きついて、周りは大騒ぎになったのでしたが、日向コーチの手腕(?)で事態は収束したのでした。

 

 それにしても・・・・・・・。

 紅葉さんは、シングルスだけでなく、ダブルスの実力もかなりのものであることが、今回の試合でわかりました。

 だって世界トップレベルの男子選手である折夫さんと、日本屈指の実力の女子選手の雪乃さんを倒したのですから。


 「それじゃ・・・・・。

 んじゃーな!!!」

 着替えを終えた折夫さんはあっさりと、クルリと向こうを向いて更衣室をでようとしました。

 「あっ!

 あの、折夫さん!!」

 僕は初対面の折夫さんに、「折夫さん」と呼んでしまいました。

 「んん??」

 折夫さんは、さらにクルリと僕の方を振り返りました。

 「あ!?

 ごめんなさい!

 四季さん・・・。」

 僕は思わず出た言葉とはいえ、まずいことをしてしまったと思いました。

 

 「折夫でいいぜ。

 巳波・・・・。」

 折夫さんは、ニイイっと笑っていました。

 なんだかその笑い方は、誰かに似ている気がするのですがちょっと思い浮かびませんでした。

 どうやら、折夫さんはお互いにファーストネームで呼びあう事を許してくれたようでした。

 そして、僕は折夫さんに質問したいことを言いました。


 「あの、折夫さん・・・・。

 紅葉さんは、やはり日本でもトップクラスの選手なんでしょうか?」

 僕は、いまプロ活動を休止している紅葉さんの状態が気になっているのでした。

 紅葉さんは、このままプロ試合には戻れないのでしょうか・・・。

 「あいつが?

 紅葉が?

 日本トップ!?」

 なんだか、折夫さんは人を小馬鹿にしたような調子で、僕に答え始めました。

 「紅葉が日本トップレベルなんて、そんな訳ないじゃん。」

 折夫さんは、あっさり否定しました。

 正直、僕は折夫さんの返答にガッカリしました。

 折夫さんは再び更衣室を出ようと、出口のドアを開けました。

 しかし・・・・。

 

 折夫さんは、再び僕の方を振り返り・・・・。

 「あいつは、紅葉の実力は世界でトップをねらえるじゃん!!」

 そう言って、折夫さんは更衣室を出て行きました。

 僕はおそらく、生き返った表情になっていたことでしょう。


 今回のレッドリーフ・テニススクールのイベントは何とか無事に終了しました。

 僕にとって、最初で最後の貴重な体験でした・・・・。

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