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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第一章 旅立ち
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折夫さんの動体視力

 紅葉さんと折夫さんは、日向コーチに連行されていきました。

 僕はその時間があるから、少し冷静になれました。

 折夫さんの先ほどの行動について・・・・・。


 なんの事かって?

 それは折夫さんが、紅葉さんの袖口からブラージャーをのぞき込み色をチェックした事についてです。

 考えてみたら凄いことだと思うのです。

 おそらくわずか0.1秒あるかないかの間に紅葉さんの袖口をのぞき込んで水色であることを把握したのです。

 そう考えると、折夫さんの動体視力は恐ろしいと思います。

 間違いなく常人ではあり得ない行動で、達成するのは不可能な事でしょう。

 (やはり折夫さんは、ただ者ではない・・・・・。)

 僕は、一人で考えて納得していました。

 ふと相手側のコートに目をやると、雪乃さんがラケットをクルクル回して退屈そうにしていました。

 まあ、相変わらず雪乃さんはポーカーフェイスでしたが・・・・・。


 「巳波くん・・・・・・・。」

 「わああっ!!!!!!!!!!!!!」

 突然に僕の至近距離から呼びかけられてので、ビックリしてしまいました。

 「な、なんだ、桜さんじゃないですか・・・・。」

 桜さんは、忍者のように毎回神出鬼没です。

 「この調子でいくのよ。

 巳波君は、紅葉さんの注文通りのプレイが出来ているから先ほどのポイントをとれたのよ。」

 桜さんは、僕の事を評価している様でした。

 「本当に、僕は役に立っているんでしょうか?」

 僕は今ひとつピンと来ないので、桜さんに問いかけました。

 

 「ちゃんとファーストサーブを、入れたじゃないの。」

 桜さんは、ごく自然な感じで答えてきました。

 「え・・・・。

 サーブを入れるなんて誰でも出来るのではないですか??」

 僕は、自分のしたことが、たいしたことに思えないのです。

 「そんなこと無いわよ・・・・。

 相手に反撃されないサーブを打つのは、簡単なことじゃないのよ。」

 桜さんは、僕に諭すような言い方でした。

 そしてさらに桜さんは、言葉を続けました。

 「もし、巳波君が甘いサーブを打っていれば、紅葉さんはスマッシュを決めることは出来なかったわ。

 いやそれどころかボレーも出来ずに、相手側のポイントになっていたでしょうね・・・・。」

 紅葉さんは、軽く目を閉じながら僕に丁寧な言い方で説明しました。

 さらにさらに、桜さんは続けました。

 「たたき込むのだけが、サーブじゃないのよ。

 巳波君のサーブはとても使えるサーブよ。

 その確率の高いサーブは計算出来るから、大きな武器になるのよ。」

 「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 ついに桜さんは、僕の武器を教えてくれました。


 「さ、桜さん・・・・。

 僕の武器は実はサーブだったのですね・・・。」

 僕は今まで、引っ掛かっていたものが取れた感じでホッとしました。

 「ふふふ・・・・・・。」

 桜さんは、なんだか含みを持たせるような笑みを浮かべていました。

 「え・・・、どうしてたんですか?

 桜さん・・・・・。」

 僕は、意味ありげな桜さんの表情が、気になっていました。

 「まだあるのよ・・・・・。」

 桜さんは薄いスマイルで言いました。

 「まだって、なにがですか??」

 僕は率直に桜さんに問いかけました。

 「巳波君の武器よ・・・・。」

 桜さんは、両腕を背中にくんで少々持ったぶった感じで答えてきました。


 「えええ・・・・・、まだ僕には武器があるのですか?

 桜さん、それはなんですか?」

 僕は或答えを予想して、桜さんに質問しました。

 「それわね・・・・・。」

 桜さんは、すました感じで言い始めました。


 「教えない・・・・・。」

 予想通りの桜さんの答えでした。

 「やっぱり、僕に教えてくれないんですか・・。」

 僕は桜さんの回答を、予想できていたとはいえガッカリしました。

 「だってね・・・・。

 自分自身で体感してみないと、巳波くんが成長しないからね・・・。」

 桜さんは、少しうつむいて優しい口調でそう言いました。

 (そうか・・・・・。

 桜さんなりの、僕への気遣いなのか・・・・。)

 僕がそう思って、桜さんの方を見返したのですが・・・・。

 桜さんは、いつの間にか姿を消していました。

 桜さんは、やはり神出鬼没です。

 

 約5分後、日向コーチは四季さんと紅葉さんを従えてコートに戻ってきました。

 なんだか、四季さんも紅葉さんもシューンと落ち込んだ表情をしていました。

 きっと、こっぴどく怒られたのでしょう・・・・。


 何はともあれ、試合の再開です。

 僕と紅葉さんは、オーストラリアン・フォーメーションを軸として戦いました。

 僕の打ち込まれにくさを重視したサーブと、紅葉さんのボレーで相手側のリターンに対抗しました。

 さらにどうやら、日向コーチの下ネタ禁止令が効果を発揮されたらしく、試合は滞りなく順調に進んでいきました。

 そしてなんと、僕と紅葉さんはファーストゲームを勝ち取ったのです。

 僕たちの流れは、まだ止まっていませんでした。




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