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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第一章 旅立ち
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紅葉さんの講義を受講する

今日は、とくしまマラソンを走りました。

雨と風で、結構辛かったです。全身筋肉痛で、このお話を書き上げました。

楽しんでいただけなら、とても嬉しい限りです。

 「じゃあ、アタシのプランの説明をするわよ。

とりあえず通して聞いて欲しいんだ。

質問は、アタシの説明が終わってからね・・・・。

オーケイ?」

 紅葉さんは、気を取り直して作戦の説明に入りました。

 「は、はい、わかりました。」

 僕は待ちかねていた、本題に突入できたらという気持ちだったので、特に異論はありませんでした。


 「じゃー、本題に入っていくわよ。

アタシの作戦は誰がサーブを打つのかという、基準で切り替えていくことにするわよ。

大丈夫かな?」

 「はい、大丈夫です。」

 テニスのダブルスは、四人のプレーヤーがゲーム毎に順番にサーブを打つ順番が切り替わっていきます。

 つまり、誰がサーブを打つのかというケース毎に戦法を切り替えるというのは、とても理解しやすいし、理にかなっていると思います。

 (紅葉さんは、意外と合理的な考えをするんだな・・・。)

 「ん?なんか言った?巳波君。」

 「あ、いやいや・・・・(冷や汗)。」


 「そんじゃ、4つの戦法を発表するよー。

 巳波君がサーブの時は、オーストラリアン・フォーメーション!

 アタシがサーブの時は、平行陣!

 アタシ達がサーブの時は、この戦法で対抗するんだよ。」

 紅葉さんは、僕達のサーブ権の時の戦法を語りました。

 しかし、とても簡潔な説明でした。

 オーストラリアン・フォーメーションは、とても有名な戦法なのですが、余り実践で使用している現場を見たことが、僕はありません。

 (読者様には、この戦法については、試合時に解説させていただきたいと思います。)

 平行陣は、もはや基本戦法といえるものであり、オーストラリアン・フォーメーションよりも遙かにポピュラーな存在であります。

 (こちらも、読者様には、試合時に解説させていただきます。)

 「とくに異論はないかなあ・・・・。巳波君?」

 紅葉さんは、僕の返答を期待してるような表情で、僕に問いただしてきました。

 「も、紅葉さん・・・。平行陣は良く分かるんですが・・・・。」

 「ですが・・・・、何かな?」

 「オーストラリアン・フォーメーションなんて、僕は実践して事がありません。」

 「だったら、どうしたと言うのよ?」

 紅葉さんは、顎に人差し指と親指を添えて、うっすらとした笑みを浮かべていました。

 「やったことないから、自信ないんですけど。」

 僕は、正直に至極当たり前な事を、言ったつもりでした。


 「だから意味があるんじゃない!!」

 紅葉さんは、何故か自信ありげな言動を表面化させてきました。

 「は、はい・・・?」

 僕は、紅葉さんの言っている意味が、全く理解できませんでした。

 「これは、奇襲戦法よ!!」

 な、何でしょうか・・・。

 僕は目を、ゴシゴシさせました。

 紅葉さんの格好が、まるで軍服を着用した司令官に見えてきました。

 「アタシ達が、リスクを冒すから相手に打撃を与えられるのよ!!

 わかったわね!!」

 紅葉さんは、僕に有無を言わせないよな口調で、力説していました。

 「は・・・!わかりました、提督!!」

 僕は、紅葉さんに向かって何故か敬礼して、返事をしていました。

 「ふむ、よろしい。」

 紅葉さんは、僕の返答に納得している様子でした。


 「よし、それじゃあ。

 最後の仕上げといくわよ・・・。」

 紅葉さんは、側のテーブルをコンコンを叩いて、切り出していきました。

 僕は、今となっては、紅葉さんの指令を期待しているばかりでした。

 「アタシ達が、リターンの場合はアタシ達のどちらがリターンするかで、戦法を切り替えるわよ。」

 紅葉さんは、舌の動きが滑らかに、話を続けて行きました。

 さっきまで、誰がサーブを打つかで戦法を切り替えるかと言ったのに、今度は誰がリターンするかで、と紅葉さんは言い出したのです。

 でもまあ、そんなことを突っ込んでも作戦会議は終わらないので、引き続いて紅葉さんの説明を聞くことにしました。

 「巳波君がリターンの時は、ロブで深い球を打ち続ける。

 アタシがリターンの時は、平行陣。」

 またしても、紅葉さんの説明はとてもわかりやすかったです。

 (それにしても、紅葉さんは平行陣が好きなんだなあ・・・・・。)

 紅葉さんが、平行陣を多用したがるには、大きな理由があります。

 それは、この後のエキシビジョンマッチにて、明らかになるのです。

 「紅葉さん・・・・。」

 「んん??なあに・・・・?巳波君・・・。」

 「平行陣は分かるのですが、僕のリターン時のロブはどういった、狙いがあるのでしょうか?」

 僕は、またしても疑問に思ったことがあり、紅葉さんに質問を投げかけました。

 「うふふ・・・・。それはね・・・・。」

 紅葉さんは、待ってましたという感じで、僕に顔を近づけてきました。

 「あ・と・の・お・た・の・し・み!!」

 紅葉さんは、そういって鼻を軽く人差し指で、チョコッとはじきました。


 「んんー。」

 僕は、納得がいかずに軽く唸りました。

 「えへへ・・・・。」

 何故か、紅葉さんは笑っていました。

 「巳波君・・・・。」

 「はい・・・?」

 紅葉さんは、一体何を言い出そうとしているのでしょうか。

 「この作戦会議の後・・・、エキシビジョンマッチの最中でも、アタシは巳波君に作戦を伝授するからね。

 この作戦が全てではないのよ。」

 紅葉さんは、両目をかるく閉じて、僕を諭すように言いました。

 (そうか・・・・。だったら、今回はとことん紅葉さんは信じてみよう・・・・!!)

 僕は、ようやく腹がくくれた、といった感じでした。

 

 「でも、紅葉さん・・・・・。」

 「んん??何かなあ・・・・?巳波君」

 「紅葉さん、どうしてこんな格好をしているのですか?」

 僕は、紅葉さんに対する疑問を率直にぶつけました。

 何故なら、今の紅葉さんは・・・。

 

 紅葉さんは、白衣をまとい、レンズの入っていない伊達眼鏡をかけて、指示棒を持っていました。

 (何なのでしょう・・・・。まるでどこかの研究の、プレゼンテーションみたいです・・・・。)

 「だってえ・・・・。」

 紅葉さんは、髪を掻き上げて呟くように、僕に答えました。


 「だって、この格好だったら、賢そうに見えると思ったんだもん・・・・。!」

 紅葉さんは、人差し指を口元に当てて、おどけた感じで言いました。


 紅葉さん・・・・・・・。

 僕は未だに、紅葉さんという女性の事が、分かっていないようでした・・・・・。


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