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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第一章 旅立ち
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僕の、サーブの威力

 本日のイベントは、続々と進んでいきました。

 そして、次なるイベントは・・・・・・・。

 サーブによる的当てです。

 (また的当てかと、思った読者に皆さん、ごめんなさい・・・・。

 でも、精一杯のお話にするので、おつきあいお願いします。)


 「疲れているのね、巳波くん。」

 紅葉さんが、声をかけてきました。

 「いや、大丈夫ですよ、紅葉さん。」

 僕は、紅葉さんに心配させまいとしました。

 「そうなのかなあ、だって巳波君、今日は独り言が多いんだもん・・・・。」

 紅葉さんは、どうも地獄耳らしい・・・・・・。


 「いや、紅葉さん・・・。これは、僕の独りよがりな言葉じゃないんです。

 読者さんに少しでも、わかりやすいように解説的な事をしているんですよ。」

 僕は、つい口を滑らせてしまいました。

 「ふうん・・・・・。」

 紅葉さんは、ちょっと考え込んだ様子です。

 「まあ、確かに読者さんにわかりにくい独りよがりな作品は駄目だよね・・・・。」

 紅葉さんは、何故か納得しているようでした。

 (なぜ、紅葉さんは僕の言っていることが理解しているのだろうか・・・・。

 時々思うのだが、紅葉さんは時折、超人類的な一面を見せることがある・・・・。)


 「ま、まあいいじゃないですか・・・・。

 このイベントも頑張りましょうよ!!」

 僕は、精一杯の愛嬌で紅葉さんをごまかしました。

 「うん、ようし、今度こそは優勝するぞ!!」

 紅葉さんは、そう言葉を放ち、ご機嫌を取り戻した様子でした。

 しかも、紅葉さんは何故かヌンチャクをクネクネさせていました。

 (紅葉さん、あのときのヌンチャク(※12話参照)をいつも持ち歩いているのか!?)


 それにしても、紅葉さんは元気そうだけど、僕は一抹の不安抱えていました。

 それを忘れてしまいそうだけど、紅葉さんは内臓の働きが弱いという体の問題を持っています。

 紅葉さんはスタミナがないという、スポーツ選手としては大きなハンディを背負っているのです。

 紅葉さんは、今日は大丈夫なのでしょうか・・・・?

 今日のイベントは、朝から夕方まで、丸一日あります。

 最後にはエキシビジョンマッチがあります。

 非公式の試合とはいえ、勝ち負けをつけるものです。

 ただ、救いなのは今回の試合は、6ゲーム1セット(※注釈)の試合であることです。


※注釈・・・テニスの試合は、ゲームおよびセットから成ります。その最小単位がゲームです。

1ゲームは、通常は4ポイント先取で勝ちとなります。1セットは、通常は6ゲーム先取で勝ちとなります。


 そのテニスの大会によって異なりますが、グランドスラム大会などの大きな大会では、男子は5セットマッチで、3セット選手したら試合の勝者とです。女子の試合の場合は2セット先取で勝者となります。

 今回は、エキシビジョンマッチ(非公式試合)ということで、1セットしかないのです。

 しかもダブルスだから、シングルスよりも体力の消耗は軽減されます。

 だから、今回は紅葉さんの体力が続くと思っています。

 でも、それでも僕は心配してしまいます。

 紅葉さんが、明るく振る舞うと余計に反比例して、僕にはその様な感情が芽生えてくるのです。

 いつか、紅葉さんが体を壊してしまう日がやってくるのではないかという不安が僕には・・・・。


 それでも、次のイベントが始まりました。

 サーブの的当ては、先ほどのストロークの的当てと同じく、サーブにより的を当てることを競うものです。同じくチャンスは10球です。

 でもこのサーブの的当ては、ストロークとは大きな違いがあるのです。

 それは、自分自身であげたトスからサーブが打てると言うことです。

 ストロークは、他の人がバウンドさせてきた球を打つのですが・・・・。

 サーブは自分がラケットを持っているのとは逆の手で、トスを上げます。

 つまり、100%自分自身のコントロールでのショットを放つことができるのです。

 (だからといって、サーブの方が簡単というわけではないのですが。)

 

 先ほどと同じく、スクール生の希望者からチャレンジしました。

 ストロークの的当てと同様に、見た目以上に難易度の高いイベントでした。

 現時点での最高記録は、10球中6球のヒットでした。

 

 そして、僕の出番が回ってきました。

 僕は、正直サーブに関してはあんまり自信がありませんでした。

 (ストロークのみたいに、上手くいかないよなあ・・・・・。)

 「さっきと同じよ。巳波くん。」

 気がつくと、三度の桜さんの登場です。

 「僕はサーブ力は、あんまりありませんよ・・・・。」

 僕は、正直な気持ちを吐き出しました。

 「巳波君のサーブは、威力があるよ。」

 桜さんは、何の躊躇もなく僕に言葉をかけました。

 「どうして、桜さん?

 やっぱり、僕のサーブは威力がないですよー。」

 僕は、やっぱり桜さんの言うことに納得できないのでした。


 「巳波君・・・・。」

 桜さんは、優しく微笑んでいました。

 「巳波君の言うサーブの威力ってなんなのかなあ・・・。」

 桜さんは、僕に問いかけをはじめました。

 「そりゃあ・・・・、サーブの威力はスピードではないでしょうか?」

 僕は、本気でそのように考えていました。

 「そうね・・・。でもそれだけではないわ・・・。」

 桜さんは、両目をかるく瞑って呟きました。

 「巳波君のサーブは、コントロールに秀でているのよ。」

 桜さんから、僕に対しての思いもよらない言葉が出てきました。

 「僕のサーブが、コントロールに秀でている・・・・!?」

 僕は、またしても桜さんに対して半信半疑でした。


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