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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第一章 旅立ち
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展望

 先日の紅葉さんとのデート(?)の後、僕はある意味我に返りました。自分がアメリカにテニス留学できるようになるのはいつの日でしょうか。ざっくりと計算してみましたが、早い未来に実現しそうにありません。お金を貯めるのは僕が思っていた以上に、大変な事だと分かりました。若干気持ちをそがれたのですが、頑張らないわけにはいけません。今日もテニススクールの仕事です。

 

 「おはよう!今日も張り切っていこうね。巳波くん。」紅葉さんが、元気に話しかけてきました。

「ん?なにか元気ないね・・・・。どうしたのかな。」完全に僕のテンションの低さを、見破られていました。

「どれどれ、お姉さんに相談してみなさい。金銭的な事以外なら、相談に乗ってあげる自信あるかも。」紅葉さんは僕がその金銭的なことで悩んでいることを、気づいていませんでした。

「あの、実は・・・・。」僕は紅葉さんに、テニス留学の資金を貯めるのが、時間がかかりそうな事で悩んでいることを打ち明けました。

「うーん、お金のことじゃん。確かに辰巳君のこの悩みは、私には力になれないな。」(紅葉さん、はっきりしています。そのきっぱりしたところが、僕は好きなんだけど・・・・)

「でもこれだけは、言えるよ。今は厳しくても我慢していれば、展望は開けてくるかもよ。それは、自分以外の力が働いたりする場合もあるしね。」紅葉さんは、なんだか占い師みたいな事を言い出しました。

「だから巳波くんは、今まで通り自分のできる範囲で頑張ったらいいんだよ。巳波くんは、巳波くんのまま一生懸命やればいいんだよ。」紅葉さんの、根拠は分からないけど自信満々な励ましに、僕は励まされました。その日は、目の前の仕事を集中して終えていきました。

 

 その日の仕事を終えて、僕は帰宅しました。

「お帰りなさい、巳波。」僕の母が、出迎えてくれました。

「今日は、お話があります。」いきなり、母がかしこまってきました。いったい何の、相談なんでしょうか。

「巳波は、テニススクールの仕事楽しい?」母は初めて、僕の仕事について質問してきました。

「うん、仕事は大変だけど先輩や同僚とは楽しくしているよ。」僕は人間関係には、不安は覚えていませんでした。

「テニス留学は、やっぱりしたい?」やはり、母は僕がプロテニス選手になりたい気持ちが、まだあるのか確認したいようでした。

「うん・・・・。テニススクールの仕事は気に入ってるけど、留学はしたいよ。でも、お金を貯めるのは簡単じゃないからしばらくは無理だね。」

「巳波はやっぱり、プロのテニス選手になりたいんだね。」まじまじと母は、僕を見つめて言いました。


 ここから、今夜の僕と母の会話の本題に入って行きました。

「巳波、これを留学に使ってみなさい。」僕に対して、母は預金通帳を差し出しました。

「・・・・・・。こんなに・・・・。でも、こんなに大丈夫なの?」僕は、通帳に記載されていた金額を見て困惑しました。確かにこれだけの貯金を使えば、留学はできそうです。

「お母さんの事は、心配いらないよ。生活に必要な蓄えは別にしてあるんだよ。この三ヶ月の間、あんたはよく仕事を頑張ったよ。だからお母さんは、巳波の一所懸命なところに答えたくなったんだよ。巳波には、是非プロになってもらいたいんだよ。だから、その貯金を留学に使って。」ここまで、母が僕のことを考えてくれていたなんて、正直驚きました。

「ありがとう、母さん。母子家庭なのにここまでしてもらって、とても感謝しているよ。貯金を無駄にならないように、生かせるように絶対プロテニス選手になってみせるよ!」

「ありがとう、快く受け取ってくれて。お母さん待っているよ。」そのときの母の顔が、何故かあのちょっと年上の女の子をダブってみえました。どうしてなんでしょうか。確かにちょっと似てなくもないですが、全くの別人です。


 しかし、紅葉さんが言った通り、自分自身の力が働いて展望が開けました。(紅葉さん、霊能力者か・・・・?)なんだか、怪しげな黒マントを羽織った紅葉さんの姿が心に浮かんでしまいました。


 そして、その日眠りについたら、例の彼女(桜さん)が現れました。

「久しぶり、またプロテニス選手に近づいたね。その調子で頑張るんだよ。じゃあね、巳波くん。」

今夜の夢は手短でした。さあ、明日からとてもいそがしくなります。

 


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