なんで、僕なんですか!?
なんで、なんで僕が3人のプロ選手の中に入って、ダブルスすることになったのでしょうか・・・・?
はっきりいって、全く自身がありません。
(どうしよう・・・・・。どうしよう・・・・。)
僕は廊下で、悩んでいましたが、そんなの僕の中に答えなどあるはずがありません。
(・・・・・・・・・。このテニススクールのヘッドコーチは日向さんだ。
日向さんなら、このカードに組み合わせについて知っているはずだ・・・・。)
僕は、日向コーチに、このエキシビジョンマッチについて聞いてみることにしました。
コンコン!
「はい。」
「夏目です・・・・。」
「なんの用だ?」
「失礼します。」
僕は日向コーチにの部屋に入りました。
「おう、なんだよ。夏目。」
日向コーチは、なんの隠し事もないと言った顔で僕を見ています。
それでも、僕は日向コーチに問いただしました。
「このイベントの最後のエキシビジョンマッチに、ついてなんですけど・・・。」
「ああ、そのことでか。」
相変わらす、日向さんは平然とした顔つきです。
かまわずに、僕は日向さんに問いただしました。
「なんで、この組み合わせなんですか?
この組み合わせは、たぶん日向コーチが決めたんでしょう??」
「ああ、そうだぞ。なかなか面白そうだろう。」
「・・・・・・!!!
いや、面白がってきめてもらっちゃあ、困りますよ!!」
僕は若干、興奮気味に早口に言いました。
「ははは・・・・・。」
日向さんは、興奮している僕を窘めんとするように笑っていました。
「だってな、夏目・・・・。」
日向さんは、ワンクッションおきました。
(日向さんは、何を言わんとしているのだろうか?)
僕は、文字通りゴクリと唾を飲み込みました。
「だってな、どうなるのか考えたらワクワクするじゃねえか!!」
日向コーチは、満面の笑いで言い放ちました。
「やっぱり、面白がってるんじゃないですか!!」
僕は、相手が強面の日向さんであることも忘れて、大声を出してしまいました。
「相手は現役のプロ二人、四季さんと、冬木さん。
紅葉さんだって、勿論プロですよ!!
僕だけ・・・・、僕だけが、場違いじゃないですか!!」
僕は、思っていることを包み隠さずに吐露しました。
「はははっ!!」
日向さんは笑い出しました。
「夏目、すまん、すまん。でもな、話を聞いてくれよ。」
日向さんは、やっと真面目に話してくれる感じになってきました。
「夏目、。お前はよ、ダブルスに向いているんだよ。
お前はそう思っていないかも知れないが、自分の力量にきずいていないんだよ。」
「え・・・・・・。」
思いもよらない高評価に、僕はどう反応していいのかわかりませんでした。
「しかも、お前のパートナーの紅葉はボレーの名手だぜ。
あいつがネット際にいるときは安心していいとおもうぜ。」
たしかに、紅葉さんはのネット際のプレーは神業と言ってもいいぐらいのすごさです。
たとえ、男子選手であったとしても、紅葉さんのネットプレーを崩すことは用意ではないでしょう。
「俺は、でたらめにこの組み合わせにしたわけじゃないんだぜ。必ずいいエキシビジョンマッチになるとおもうぜ。」
「そ、そうなんですかあ・・・。」
日向さんの言葉をきいても、じつは僕は半信半疑でした。
「もう一つ教えてやるよ。四季と、冬木はな、生粋のシングルスプレーヤーだぞ。
後ろで打つストロークは二人とも絶品だが、ネット際でのショットは、ボレーはそれほどではないんだぜ。」
「えっ・・・。」
次から次へと続く日向さんの言葉に僕は動揺しました。
「ダブルスに関しては、ボレーのウェイトが多くを占める。
確かに、個々の実力では、四季・冬木組が、遙かに格上だ。
だが、ボレーの力は、夏目・秋原ペアが唯一上回っている要素だ。
それを、最大限に生かせばお前らに十分勝機はあるぞ。」
(ほっ・・・・。)
僕は、日向さんのおかげで正気を取り戻せました。
しかし・・・・。
僕は、日向さんのいる部屋から出ようとしたその時・・・・。
「見物だなあ・・・・。」日向さんが小声で、そう呟いているのが聞こえました。
僕は、とても不安で一杯になりました。




