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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第一章 旅立ち
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モミジサンの屈辱

 お待ちかねの今回のイベントのゲストプロ、 四季折夫プロ・冬木雪乃プロのご来校です。

まだイベントまで1時間半ほどあるので、スクール内にはスタッフしかいなくてレッスン生はいません。

「お世話になります。」

僕は、スクールの玄関にいたので、真っ先に二人にご挨拶をしました。

「たのんます。」

四季さんが、一言挨拶を返してくれました。

四季プロは、イメージ通り気さくな感じです。

そして、やはりテレビで見るよりは小柄です。

「巳波君、元気にしてる?」

雪乃さんと直接会うのは、こないだのカフェ以来です。

雪乃さんのコネクションで、僕は上手いこと渡米が決まりました。

「まあ、なんとか・・・・・。」

もっと上手に切り返したいけど、言葉が出てこなかったです。

「雪乃、彼のこと知ってんの?」

どうやら、四季さんは雪乃さんと親しい感じです。

「巳波君と私は、いとこの間柄なのよ。」

「ほう、そうなのか?でも・・・・・。」

四季プロは、僕の方をジロッと見ました。

「なかなか彼は、いいかカラダしてるな・・・。頑丈そうだ・・・・。」

四季さんは、なんだか独り言のようなことを言いました。

僕は、特に相づちを打てるような雰囲気ではなかったです。

僕が間が持たない気まずさを感じた、その時・・・・。


 紅葉さんが、至近距離にいました。

 (ほっ・・・・・。これで慣れない会話をしなくて良くなった・・・・。)

 しかし、これからは安心など論外の展開になるのでした・・・・。


 四季プロが、紅葉さんに気がつきました。

 「おう、紅葉じゃん!!こんなところで、なにやってんだよ。」

 どうやら、四季さんは紅葉さんとも親しいようでした。

 「ふん、別にー。」

 紅葉さんは素っ気ない返事をしました。

 (紅葉さんは、四季さんに対してタメ口をきくんだな・・・・。

 確か四季さんは25歳のはず・・・。紅葉さんは21歳だから・・・・。

 二人はかなり親しい間柄なんじゃないだろうか・・・・?)

 僕は勝手に、その場の人間関係の推測を張り巡らせていました。

 しかし、なんだか紅葉さんは四季プロの事を快く思っていない事が、ひしひしと伝わってくるのですが・・・・。

 僕が考えているそのとき、均衡がやぶられたのです。


 「紅葉ー。」

 四季さんは、紅葉さんをジロジロ見ながら言いました。

 「な、なによ・・・?」

 紅葉さんは、変わらず怪訝そうな表情です。

 「おまえ相変わらず、いいカラダじゃん。」

 そういって、四季さんは紅葉さんに向かって右手を伸ばしました。

 (な、なにをやり始めるんだ・・・!この人は・・・!

 しかも、明らかに僕に対する、いいカラダとは意味が違います・・・! )

  スパーン!!!

 紅葉さんは、側のテーブルに置いてあったスポーツ新聞を丸め、四季さんの頭頂部をしばきました。

 「調子にのりすぎよ・・・!」

 僕は、紅葉さんの反撃に、安心半分・冷や汗半分といったところでした。

 「こいつは、四季魔だからね・・・・。」

 さらに、紅葉さんは四季さんの首ねっこをつかみ、新聞紙をぐりぐりと四季さんの頬に押しつけていました。

 (ああ、日本一のテニス選手にこんな事しちゃって、紅葉さん大丈夫なのか!?)

 紅葉さんの、恐れを知らない振る舞いに、僕の方が恐れを抱いてしまいました。

 「ゆ、雪乃・・・。何とか言ってくれ・・・・。」

 紅葉さんに頬を新聞紙でグリグリされながら、四季さんはしゃべりにくそうにいいました。

 「貴方の自業自得じゃないの。」

 雪乃さんは、冷徹にバッサリと四季さんの言葉を切り倒しました。

 「んんー・・・・・・・。」

 どうやら、四季さんは味方がおらず観念したかもしれません。

 「ふんっ・・・・・・。」

 紅葉さんは、いい加減という感じで四季さんを解放しました。


 「はあっ・・・・・。しかし、紅葉相変わらずだな・・・・。」

 四季さんは、ホッとした様子でした。

 「まあ・・・・・・・。」

 四季さんは、なにか言い始めようとしました。

 (こ、今度は何を言い始めるんだ、四季さん・・・・・!?)

 「紅葉も、変わらずに元気そうじゃん。

 俺は、安心したぞ・・・・・。」

 四季さんは改まって、紅葉さんの事を気遣うような発言をしました。

 (あれ、意外と四季さんはいい人かも・・・・。)

 僕は、今までの流れから一転したので、ホッとしました。

 「折夫・・・・・・・。」

 紅葉さんは、小さく呟きました。

 紅葉さんも四季さんの気遣いに対して、ちょっとしおらしい感じになりました。

 しかし・・・・・・。


 「隙ありじゃん!!」

 唐突に四季さんは、紅葉さんの左のオッパイを右手の人差し指で突っつきました。

 バシーン!!!

 「なにすんのよ!!この変態!!」

 紅葉さんは思いっきり、四季さんにビンタを喰らわせました。

 (おお・・・!!あれは痛そう・・・。)

 「相変わらず、あの二人の精神年齢は中学生レベルね・・・・。」

 雪乃さんは、表情を変えずに呟いていました。

 

 「いてて、ひでえなあ・・・・紅葉。

 俺と一緒に、風呂に入っていた仲じゃないか。」

 (ええ!!紅葉さんの元彼なのか!?)

 「・・・・・・・・!!!!

 それは、子供の頃の話じゃないの!!」

 そういって、紅葉さんは両腕で四季さんの襟首をつかみ、ガクンガクンと揺さぶっていました。


 「あ、あのちょっといいですか?」

 僕は我慢できなくなって、二人の間に割って入りました。

 「あのう、お二人は、いわゆる幼なじみなのですか?」

 僕は、至極ダイレクトな質問をしました。

 「ま、まあ、そんなところね・・・。」

 紅葉さんは僕の質問に対して、少しバツがわるそうに答ええました。

 「ふっふふふ・・・・・・。」

 四季さん、何故か不敵な笑みを浮かべています。

 (な、なんだろう・・・・・?二人の間に過去に何かあったのだろうか?)


 「お、そろそろ準備にいこうか!!雪乃も行こうぜ。」

 四季さんは、雪乃さんを引き連れ控え室に向かいました。

 (ほっ・・・・!!何とか平穏無事にこの場は解散できたなあ・・・。)

 僕は、安堵感で胸を撫で下ろしました。

 しかし・・・・・・・!


 「あっ、そうそう・・・・。」

 四季さんはピタリと脚を止めました。

 そのとき、硬直する紅葉さんの横顔が、僕の目に入りました。

 そして、僕らの方を振り返り・・・・・

 ビシッと、紅葉さんの顔を指しました。

 その瞬間、紅葉さんの顔が引きつりました。

 「俺はむかし、こいつのオムツを替えていたこともあるんだぜ。」

 四季さんは、右手の親指で自分の顔をさして何食わぬ感じで、言い放ちました。

 そしてクルッと前を向き、足早に雪乃さんとともに去っていきました。


 「ぎゃああああー!!!!!」

 紅葉さんは、頬に両手をあて大声で叫びました。

 そして、両手で顔を覆い隠しその場にへたり込みました。

 (ああ、本当のことなんだ・・・・!)

 僕は、四季さんが言ってることは出任せでないことを確信しました。

 おそらく周りにいる他の人もそう思っているでしょう。

 

 (仕方がない・・・・・。この場は・・・・・。)

 僕は、紅葉さんを連れて控え室に行きました。


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