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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第5章 変化
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「そうか。もう一年になるんだ。」

 「必ずしも・・・?」

 そのときの僕の表情は多分、とても怪訝そうに桜さんからは映っていた事でしょう。それでも彼女は態度を崩さずに続けました。しかも・・・。

 ===== そう。だけれども努力は裏切らない。 =====

 「へ?」

 思わず気の抜けた相槌を打ってしまった僕なのでした。何故なら自分からしたら、桜さんの言っている事は矛盾しているからなのです。

 必ずしも報われない、裏切らない・・・。

 ・・・もしも桜さんの言うことが本当なら、努力とは何という二重人格なのでしょうか。

 ・・・それとも何かの謎かけなのでしょうか・・・。

 ===== でもね。いつか分かるときがくると思うの。それがどんなカタチかは言えないけど、貴方ならきっと・・・ =====

 「きっと・・・。」

 僕は桜さんに続くように呟いたのでした。

 「桜さん・・・。」

 もうそこには彼女はいません。

 工場の一室には1人寂しく男が佇んでいたのでした。


 ~~~~~ その翌日から ~~~~~


 僕は闇雲に頑張ったのでした。工場内でのテニス、レストランでのアルバイト・・・。

 それが今の自分の生活の全てなのでした。悪く言えば単調、しかし良く言えば効率的な日々です。

 充実した時間は早く流れるのは、どうやら本当だったようです。


 ~~~~~ そして確かに月日は過ぎていきました ~~~~~


 その日もいつも通りにサニーと練習をしていました。

 「試合が近いんだ。」

 「うん。」

 プロとなったサニーが頻繁に試合に出ているのは分かっています。しかしあえて彼がのべた理由は明白なのでした。

 「そうか。もう一年になるんだ。」

 それは僕の独り言でした。

 そうなんです。もう僕はここニューヨークにきて、早くも一年が経過しようとしているのです。そしてその節目となる時期の試合となると答えは明白なのでした。

 

 ~~~~~ 全米オープン ~~~~~


 今の自分にとっては、とても重い響きなのでした。そして実際に僕の運命はこれから大きく動き出すのでした。しかも思いもよらない方向に・・・・。


 ===== カチャカチャ =====

 もう手慣れた感じで食器を洗っていました。何も言わないし何も考えません。そこに異物が入り込む余地は無いのでした。


 明日は休日です。 

 それは日曜日を意味しています。

 ちなみにアルバイトも休みなのです。

 だがしかし、そこで僕は身体を休める訳にはいかないのでした。

 人と同じ様にして人よりも抜きん出ようなどとは、余りに虫の良い話なのです。

 今の僕にはプラスアルファが必須なのでした。

 それは自分自身を超スピードで成長させるためです。時間は有限です。この状態を何年も続ける事はできないのです。やがて若者は中年になります。それはそう遠い未来ではありません。

 だからいつまでも努力させてくれるとは思ってはいけません。

 それに対する施策を打って出るのです。それは・・・。


 ~~~~~ 翌日の日曜日 ~~~~~

 ===== パカーン =====

 力強くラケットがボールを叩く音が響き渡ります。それは青空のもとなのでした。 

 そうなんです。この僕は室内ではなく、お外でテニスをプレーしているのです。

 「はあっ!」

 「ふう!」

 最初は肩慣らし程度だったラリーの応酬が、次第に力強いものとなっていったのでした。

 よし。サーブ・リターンをしよう。

 「うん。」

 僕は彼のいう通りに、その練習メニューに移行したのです。彼のサーブが放たれます。

 ===== シュッ =====

 ===== パァン =====

 それにあわせて僕はリターンをしていました。彼のサーブは正確にサービスエリアに入っていました。そして間髪をいれずに連続でサーブは放たれてきます。しかも毎回違うコースにきています。そのコースに合わせてリターンが出きるように、僕はフットワークを駆使して食らいついていくのでした。だか自分には分かっていたのです。それは決して彼のサーブのコントロールの精度によるものではないということを・・・。どうも左右前後を自在に振り分けている様なのです。重ねていいますが、サービスエリアに入っていることがその証です。

 ===== パァン =====

 段々とタイミングが合い始めました。

 ===== パン! =====

 やがてクリーンヒットのリターンができたのでした。

 しかし事はそんな簡単ではないのです。

 これまでのサーブはフラットサーブ・・・、野球ピッチャーが投げる球で言う所のストレートなのです。

 「よし、次だ。」

 その彼の言葉でボクは緊張を高めたのでした。


 ===== バシュッ =====

 彼の放つサーブの音に明らかな変化がありました。

 そこにはガットはボールを擦り上げるものがありました。

 擦る・・・、英語で言う所のスライス・・・・。

 そう・・・、スライスサーブです。ラケットを斜め気味に当ててボールの軌道を曲がるようにする。

 そして野球のピッチャーが投げる球で言う所のカーブなのです・・・。

 そしてそのスライスサーブの使い手は、クライミト・チェンジ。このアカデミーの練習生なのです。

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