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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第5章 変化
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===== 郷に入りては郷に従え =====

 ~~~~~ 一週間前の回想は終わる ~~~~~


 とまあ、こうゆういきさつで今、僕はこのコートにいるのでした。

 説明しますとここはサニーの父親である、催眠術師ブルー・ファインが私財を投じて作った練習場なのです。ニューヨーク郊外にあります。退校したアカデミーからも距離はそう遠くはないそうです。


 その話を持ちかけてきたのはシオンさんですが、彼女は一体何者なのかという疑念は拭えないのです。

 まず今までの過程からして、シオンさんは刻露清秀さんと仕事上の繋がりがある、と思われます。日本でいた時もシオンさんと刻露さんが車に同乗しているのを目撃しました。

 かと思えば紅葉さんが入院していた病院で会い、喫茶店で話をしたりもしました。

 少なくとも彼女は何かしらの暗躍をしているのではないでしょうか。

 とは言っても、今の自分にはシオンさんの差しのべてくれた手を握るしか選択肢がないのです。それだけこの夏目巳波は弱い立場にあるのです。


 「じゃあまたな、ミナミ。」

 「うん。今日も有り難う。」

 サニーとの練習を終えた僕はシャワーを浴びて落ち着いたのでした。そして更衣室で1人座り、ちょっとだけ考え事をするのです。

 「そうとも解釈できる。」

 勿論これは独り言なのです。これは必ずしも一方的に、自分が援助を受けている訳では無いのではないでしょうか。確かに僕は練習場所と練習相手の提供を受けています。アカデミーを強制的に退校させられる運命にあった自分にはとっては、まさに助け船でしかありません。

 ところがまた違った見方も出来ます。異なる立場から見れば、という所でしょうか。

 またサニーからみても、渡りに船だったのかも知れないのです。テニス選手は試合前にはコンディションを整えなければいけません。あくまで練習も調子を維持、若しくはピークに持っていくためのものでなければなりません。あまり体に負担をかけすぎるものであってはならないハズなのです。

 あまり言いたくは無いのですが、結論を述べます。

 ===== 僕はサニーの練習台です =====

 今の自分の力量からして、サニーとは対等な練習を行っている訳では無いのです。それはお互いに言わなくとも分かっているのです。ここ数ヵ月でもう彼は、完全に僕よりも格上のテニス選手になったのです。


 考えてしまいましたが、それでも有難いことなのです。僕は与えられた道を精一杯進むのみです。

 それがたとえ行き止まりに続くのだとしても・・・。

 そして僕は着替えを済ませて、工場もとい練習施設を出たのでした。

 

 ===== 目的地に辿り着きました =====

 そこは徒歩でもいける場所なのでした。

 またそこもテニスコートなのでした。しかし自分はそこでテニスをプレイしに来たわけではありません。

 テニスクラブに入ります。さらにそこにあるレストランに入りました。しかも裏口からです。それには理由があるのでした。そして・・・。

 ===== ジャーン =====

 そんな効果音が僕の脳内に響き、彼女は現れました。

 「今日も頼むよ!」

 「は、はい。」

 ここでは彼女が先輩であり、僕の上司なのです。

 ===== 郷に入りては郷に従え =====

 それがこの世の中を上手くやっていく術の1つではないでしょうか。

 ここはテニスクラブ内のレストランです。

 実は生活費を稼ぐために、僕はここでアルバイトを始めたのでした。シオンさんからの紹介で・・・。

 「さあ!お掃除!」

 「は、はい。」

 戸惑いながらも僕はテーブルを拭いたり、掃き掃除をしたりするのです。仕方がないのです。今の自分は飲食業においては、赤子同然のレベルなのです。彼女から指図を受け、それを遂行するのが無難なのでした。

 ===== ガチャガチャ =====

 今度は皿洗いです。僕はただひたすらに、お皿の油汚れを落としていくのでした。

 でも単純作業なので、集中力を維持するのは大変なのです。

 ===== ガチャン =====

 「あっ!」

 「あっこら!気を抜かない!」

 うっかりお皿を洗っている食器の上に落としてしまいました。慌てて確認しましたが、食器は割れていないし、欠けている訳でもありませんでした。

 ホッとした僕は再び皿洗いの作業を続けました。


 休憩時間になりました。

 「はあ。」

 テニスとはまた違った疲れでした。僕は控え室のパイプ椅子に座り、項垂れる体勢になっていました。

 まさか自分がここで働くことになるとは、思いもよりませんでした。このテニスクラブは渡米初日に刻露清秀さんに連れられて立ちよった場所なのです。(※81話参照)

 シオンさんがハブとなり僕はテニスを続けることができました。しかし、だかといって居候でいるわけにもいきません。

 ・・・・でもまさか渡米初日に寄ったテニスクラブで働くことになるとは・・・・。しかも飲食業として・・・。縁とは分からないものです・・・。

 それは働き場所に関してのみでは無かったのです。


 ===== パンパン!! =====

 「さあ!仕事!仕事!!」

 大きな手拍子と共に先輩はボクを催促に来ました。

 まさか彼女とこんな縁が生まれるとは・・・。

 彼女の名はトワイ・ライト。アカデミーとこのテニスクラブを掛け持ちで働いているのです。

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