紅葉さん、ちょっと落ち込む
前回に引き続き、紅葉さんのアパートです。
相変わらず明るい紅葉さんですが、どことなく寂しそうな感じがしました。
「えーと、巳波くん、アタシこれからねー。」紅葉さんが改まって、僕の目をまっすぐに見ています。
「アタシこれから、シャワー浴びるね!!」
「・・・・!!」いきなり、そんなこと言われるとビックリします。
確かに紅葉さんは、昨日からお風呂に入っていないでしょう。しかしだからって、わざわざ僕がいるときにねらってシャワー浴びることないじゃないですか・・・・。
僕はとても不満なのですが・・・。いままでの傾向からすると、紅葉さんに逆らったらややこしい事になりそうなので・・・・。とくに紅葉さんに、異論を挟まないことにしました。
それに例の件もまだ聞いていないし・・・。
「巳波くん・・・・・。」紅葉さんは片方の目をつむって、わざと色っぽい言い方で僕を呼びました。「はい、なんでしょう。」紅葉さんに対して、スッカリ免疫のできている僕でした。
「絶対、のぞいちゃだーめよ!!」紅葉さんは、なんだかイジワルそうな笑みを浮かべていました。
「のぞくわけないじゃないですか!」僕はキッパリと否定しました。
「またまた、本当に我慢できるのかなー?」紅葉さんは自分のパジャマの襟を軽く引っ張りながら、誘惑してきました。
「そんなもの、見たいわけないじゃないですか!」僕は、若干切れ気味に反論しました。
「そんなもの・・・・。そんなものって・・・・。」紅葉さんが、急に表情を曇らせました。
「ん・・・・。そんなにハッキリと言われたら悲しいな・・・。アタシって、そんなに魅力がないのかなあ・・・。」紅葉さんはシューンと肩を落として、心底ガッカリしたような表情でした。
「・・・!いや、そんな意味じゃないですよ。」僕は慌てて、紅葉さんに声をかけた。
そんなに落ち込まれたら、僕が悪いことをしたみたいな気持ちになるんだけど・・・。
まさか、僕のこと期待しているのか・・・・?そんなことされても、ものすごく困るんだけど・・・。
「うーん、どうせアタシはその程度のものなんだ。」紅葉さんは、勝手に開き直っていました。
そして、いきなり紅葉さんは僕の前でパジャマをのボタンを外しだしました。
「わわっ!!調子に乗らないでくださいよ!」僕は慌てて紅葉さんのパジャマのボタンを掛け直しました。まさか連日で、若い女性のパジャマをさわるとは思ってもいませんでした。
「ふーん、わかったわよ。もう!」紅葉さんは、少しスネた様な表情でお風呂の着替え場に入りました。「ドアはちゃんと閉めて下さいよー。」おそらくワザと開けていたと思われるドアを、僕は閉めました。「チャンス残してあげたんだけどなあ・・・・。」紅葉さんの本気なのか冗談なのか、判別できない声が聞こえてきました。
「ラララーッラー・・・」紅葉さんは鼻歌を歌いながら、シャワーを浴び始めました。
僕はその時、全てを悟りました。
そうか紅葉さんは単純に、男性に自分のシャワーを待たせるシチュエーションを求めていただけだっかのか・・・。
またしても紅葉さんのプレイらしきものに、付き合わされた僕でした。
何気に足下の鞄に目がいきました。その鞄の口から見えていた物は・・・・。
(・・・・・これは・・・・!!)
僕が視界の中心にロックオンされたものは、大量の錠剤と袋状の薬、注射器でした。
僕の思考回路は、完全にフリーズ状態に陥りました。




