巌流島的、ババ抜き
僕は紅葉さんの安否と噂の真偽の為に、アパートに行きました。一抹の不安(本当は十抹くらい)を抱えながら、アパートのドアをノックしました。現れるであろう紅葉さんを、ドキドキしながら待ちました。
「はい、どなたでしょうか?」
「あの、夏目です。紅葉さん大丈夫でしょうか?」僕は恐る恐る、紅葉さんの安否を問いました。
バタン!!ドア勢いよく開きました。
「イヤッホー!!大丈夫だよ!!」紅葉さんが、大きく両手を広げて現れました。
(ん、なんだかデジャヴが脳裏をよぎりました。)
「紅葉さん、もう風邪は大丈夫なんですか??」想像と違った、紅葉さんの様子に僕は若干たじろぎました。
「うふふっ、もう平気だよっ!!一晩寝たら、120%回復したよー。」紅葉さんは、腰に両方の拳を当ててアピールしていました。勢いの良い紅葉さんに、僕は不安な気持ちを忘れさせられそうでした。
「みーなーみーくーん。」紅葉さんはニコニコしながら、僕の名を呼びました。
「あーそーぼーっ!!」なんだか、またデジャヴが僕の脳裏をよぎりました。
「紅葉さん、何して遊ぶんですか・・・?」僕の頭の中に、恐怖のワードが脳裏をよぎった。
(まさか、まさか・・・。これは正夢なのか・・・!)
「うーん、よし決めた!!」いきなり、紅葉さんは腹が決まった様でした。僕はゴクリと、唾を飲み込みました。
「トランプしよ!!」紅葉さんは、至極健全な遊技を提案してきました。
(ほっ・・・。)僕は安堵感とともに、体の力が抜け落ちました。
「巳波くん、どうしたのー?」紅葉さんは、ちょっと心配そうに僕を見つめていました。
「それでは、神経衰弱でもやりましょうか?」僕は今度は逆に、トランプのゲームを提案しました。
「覚えるの面倒くさいよー。そんなのするくらいなら、死んだ方がましだよー。」どんだけ、神経衰弱が嫌なんですか・・・。
「じゃあ、ポーカーではいかがですか?」トランプ麻雀ともいわれるポーカー。二人でもそれなりに楽しめるゲームです。
「マジで?遊びで駆け引きなんかするの?」いや、そういわれたら実も蓋もないのですが・・・・。
「うーん、それでは七並べ、は?」僕はちょっとイライラしながら、いいました。
「えー、相手のカードせき止めたり、とても性格悪いやつが強そうじゃないー。」紅葉さん、メチャメチャ偏見に満ちた意見を申しました。
「・・・・なにをしたいんですか?」僕は完全に、さじを投げました。
「ババ抜き!!」紅葉さんは、さも最初から決めていたような物の言い方でした。
二人で、ババ抜きをプレイする・・・。読者の方々も、是非想像していただきたいと思います。
二人に配布させたカードですでに、数字のそろったのカードが多数あります。
そして、残ったカードもジョーカーを引く意外には必ずあたりを引くことになります。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。)僕は、絶句しました。
「たった二人でババ抜きなんて、楽しんですか?紅葉さん・・・。」
「うん!どちらをのカードを引けばよいのか、とってもスリリングなゲームだよ!」
紅葉さんは、1ミリの迷いもなく答えた。
(紅葉さん、僕をからかっているのか?でも、そんなことないか。だって、目が本気だもん・・・。)
実際、紅葉さんは両手をグーにし、フルフルさせて目を輝かせていた。
たった二人にババ抜きが始まりました。
(これをあえて名付けると、{巌流島的、ババ抜き}と言うべきなのかな・・・・)
※注釈・・・巌流島は、その昔、宮本武蔵と佐々木小次郎が決闘した舞台である。つまり、巳波は1対1のババ抜き、になるのでこのような命名をしたものと思われる。
(ふむう、キャラ的に紅葉さんが武蔵で、僕が小次郎になるのであろうか・・・・。)
僕は勝手に、感慨深そうにフムフムとうなずきながらゲームに入りました。
「うわー!アタシがババあたりだー!」紅葉さんが絶叫する。
(大げさだなあ紅葉さん、やっぱり子供みたいなところあるなあ。)
それから、ババ抜きのカードの引き合いがスタートしました。
お互い引くカードがジョーカーでない限り、数字がそろうあたりばかりです。
僕が、紅葉さんのカードを引こうとしたら、紅葉さんはニヤリと笑いました。
(まさか、このカードはジョーカーなのか?)
僕が別のカードを引き直したら、紅葉さんはとてもガッカリとした表情をしました。
(紅葉さんは、どんだけ喜怒哀楽が激しいのだろう。)
紅葉さん表情のおかげで、僕はババを引かずに順調にカードを減らしていきました。
そして、僕の順番です。
しかも僕が残り一枚、紅葉さんはジョーカーを含めて残り二枚でした。
僕がカード引こうとしたときに、紅葉さんの顔を見ました。
(紅葉さん、なんだか今にも泣きそうだなあ・・・・。)
僕はだんだんと紅葉さんが、不憫で可愛そうになってきました。
(しかたないなあ・・・・・。)
僕は、目をつぶって紅葉さんのカードを引きました。
「あー!巳波くんババ引いたー!!」僕は、初めてババを引いていました。
そして、紅葉さんは僕に回ったババを引かずに上がりました。
「やったあ!勝てたあ!!」紅葉さんは満面の笑みです。
(紅葉さん、相変わらず無邪気だなあ。)
僕も心の中で、ホッと肩をなで下ろしていました。




