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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第一章 旅立ち
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日向さんは、とても優しい

 僕は翌日、とても気が重い状態で勤務につきました。紅葉さんの体調は回復したのでしょうか。僕は、昨日の雑誌の記事の件もあり仕事に身が入らないでいました。実は僕だけでなくテニススクールのみんなも緒同じでした。

 「ようっ!!夏目。」先輩のチーフコーチが僕に声をかけてきた。

この人は、日向太陽さん。36歳、既婚で二人の子供の父親です。一見強面で、しゃべり方もぶっきらぼうだけど、親分肌でとても面倒見がよい人です。意外と、子供達にもなかなか人気があるようです。

 それになんと言っても、紅葉さんがジュニア時代にテニスを教えていたこともあるのです。つまり紅葉さんの師匠といえる存在です。


 「お前、秋原とは仲いいよな。あいつのことで心配なことがあるんだけどなあ。」

僕は日向さんが、何を言わんとしているかすべて察していました。

実は昨日コンビニで、とある雑誌を見たのですが、その内容は僕にとって受け入れ難いものでした。


 その雑誌には(消えた天才達の理由)というコーナーがありました。その記事の内容は、(日本の女テニス選手、若手ナンバーワンの秋原紅葉が消え理由、という見出しでした。秋原紅葉は、以前から禁止薬物を使用している噂が絶えない。そして、今プロ活動を休止しているのは薬物の副作用、もしくは薬物使用の疑惑が原因である、という内容でありました。)


 実は僕はインターネットなどで、紅葉さんの禁止薬物の使用疑惑の内容の書き込みなどを、目にしていました。僕はネットのデマだと思って相手にはしていません出した。そのような根も葉もないうわさ話は、山ほどあるのですから。しかし雑誌に記事にされたとなると、全く気にしない訳にはいかなくなりました。

 

 「俺は、思うんだよ。秋原は、あいつが子供の頃からよく知っている。秋原のプロの硬式試合は見たことあるし、このスクールで一緒にやってるし・・・。俺が、秋原の事を全て知っている訳じゃないんだけどな・・・。しかし俺は、あいつがそんな事する訳ないと思っている!秋原は、汚いまねをしてまで試合に勝とうなんて、おもうような人間じゃない・・・・!」日向さんは、太い腕をブルブル震わせていました。

「僕もそう思っていますよ!!」僕は日向さんから、こんな言葉をもらってとても嬉しかったです。

「秋原は表面上はサバサバしてるけど、案外と繊細で傷つきやすい女だと思うんだよな。だから、夏目には秋原を助けてやって欲しいんだよ。」日向さんが、紅葉さんをとても心配しているのが分かって、僕はホッとしました。

「はい、わかりました。日向さんって、とても優しいんですね。」僕は普段は緊張して接している日向さんに対して、自然と笑みがこぼれました

「う、なんだ、まるで俺が見かけによらないみたいな言い方だよな。」日向さんは歯を噛みしめて、苦笑いをしていました。

「そんでな、うちのテニススクールの支配人も秋原の事を信じてるって言っているんだよ。このテニススクールのスタッフ、いやスクール生も含めて、みんな秋原の味方だからな。」僕は日向さんの力強い言葉に励まされて、目の前のもやもやしていた霧が晴れた様でした。


僕は、紅葉さんのアパートに向かいました。

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