もみじちゃんと、一緒!
今日もテニススクールの控え室で、僕は一人でたたずんでいました。
(うっ。)僕はうっかり居眠りをしていたようでした。
(あぶない、あぶない。まだ、次のレッスンがあるのに寝坊するところだった・・・)
バタン!!勢いよくドアが開きました。僕はビックリして、眠気が覚めてしまいました。
「イヤッホー!!」とても大きな声で、紅葉さんが入室してきました。
しかも、大きく両腕を広げ、ピョンピョンと飛び跳ねてきました。
さらに、紅葉さんは頭にウサミミを装着しています。
(・・・・・・!)僕は、あっけにとられ、ぽかーんと口を開けていました。
「みーなーみーちゃーん。」紅葉さんは、とても高い声で僕を呼びました。
「は?」僕は、どの様に反応したらよいのかわかりません。
「あーそーぼー。」紅葉さんは指をくわえながら、いいました。
「えっ・・・?なんだか今日の紅葉さん変ですよ。」僕は、至極常識的な返答をしたつもりでした。
「えーーー。」紅葉さんは、眉をひそめてとても嫌そうな表情をしました。
「今日の紅葉たん、昨日の紅葉たんって言われても困るようー。」紅葉さんは、まるでペンギンの様に、両腕をパタパタさせながら言いました。
(紅葉さんは僕をからかっているのか?いや、そうではなさそうだ。だって紅葉さん、子犬のような眼で僕を見つめているんだもん・・・。)
僕はすべてを理解しました。紅葉さんいや、ここはあえて、もみじちゃんと呼ばせてもらおう。
もみじちゃんは幼児後退しているのだ。こうなったら、適当に相づちを打つしかない・・・。
「なにしてあそぶー?」もみじちゃんは満面の笑顔で、僕に問うてきました。
「うーん。なんでもいいよ。」面倒くさくなり、僕はつい投げやりな態度を取ってしまいました。しかし、それは非常にまずいことでした。
「んーーー。」もみじちゃんは両腕で頭の上に輪っかをつくって考えていました。
そして、両方の拳を腰に当てて、
その場でスキップを始めました。
しばらくして、そのスキップは止まりましたが、その時・・・・。
「うん、じゃあ決めた!お医者さんごっこ、しよ!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
もみじちゃんが、ポロシャツを脱ぎ始めました。
「うわー!わー!」僕はあわてて、ももじちゃんの脱衣を阻止しようとしました。
しばらくもみ合いになった後、ももじちゃんの動きが急にピタっと止まりました。
そして、もみじちゃんは僕の頭上に右腕を伸ばしてきました。僕はギョッとしました。
(なでなで)いきなり、ももじちゃんは僕の頭をなで始めてきました。
でも不思議と嫌な感じはしなかったです。
「いいこ。いいこ。」ももじちゃんはニコニコと無邪気な笑顔をしていた。
(ああ・・・。頭をなでられるのって、気持ちいい・・・。)
僕は、もみじちゃんに、至福の喜びを与えられました。そして、混沌とした眠りの世界に誘われました。
「巳波くん、起きて、起きて。」目を覚ますと、紅葉さんが僕の頭をなでていました。
「次のレッスンが始まるよ。早く準備しようよ。」
「はい。」僕は疲れていて、居眠していたようでした。
しばらく、恥ずかしくて紅葉さんの顔をまともにみられませんでした。




