負けたら終わりじゃん!!
(な、なんだ・・・・
確かにムーンは、そう言った・・・。)
「だから、さっきムーンが言ったことは、何のことなんだよ。」
苛立ちの感情を抱きつつも、僕は彼女に話を続けるように促したのでした。
「んー。」
ムーンは、ひとさし指を口元に当てながら、なんだか見透かしたような眼をしていました。
「な、なんだよ。」
そんな彼女に、僕はンッとした気持ちのなったのです。
「は、はーん?」
ムーンは、ちょっと顔を傾けながら、僕の顔をのぞき込んできました。
「くっ・・・・。」
焦らされたので、自分としては我慢が辛くなっていました。
「知りたいんだね!」
「ん!」
核心に迫ってきたのでしょうか。
「試合のこと!」
「え?」
言葉にされた僕の背中に、突如として緊張感とも言えるものが走ったのでした。
「だ・か・ら・アカデミー内の試合!」
「そ・・・・、それは・・・・?」
それはなんだか、サニーの悩みではなく、僕にぶつけられていると感じました。
そして、その予感は当たっていたのでした。
「そ、それは僕にも関係が・・・・・・?」
「当ったり前じゃーん!!」
ムーンは眼を大きく見開いて、何故か両手で、ビシッと僕を指さしたのでした。
「げっ!!」
彼女の突然のパフォーマンスに、僕は動揺を禁じ得ないのでした。
「だから、サニーは今日ここに来たの!」
ムーンは、本題に切り戻した様子でした。
「なんで?」
「見ていれば分かるよ!」
彼女が視線を向けるその先には、水晶玉らしきものを挟んだ男女が向かい合っていたのでした。
「サ、サニー・・・・。」
サニーは、いつぞやの占い師(?)のお姉さんを向かい合っていました。
ちなみに、このお姉さんは、サニー実の姉らしいのです。
サニーは相も変わらず、すました表情をしていたのでした。
その顔には僕と出会った頃の、にこやかな雰囲気は、欠片も感じられませんでした。
そこで、自分の脳内には、とある結論が導き出されたのでした。
恐らくサニーは、ムーンの言う今回のアカデミー内の試合に緊張しているのではないのでしょうか。
「ムーン、サニーは、そのアカデミー内の試合の事で、悩んでいるんじゃないのかな?」
僕は、彼女に率直に質問しました。
それに対して彼女は、ジッと僕の顔を大きな眼で見て言いました。
「悩んでいるね!
どうしてだを思う!?」
試合があるのは分かるけど、どうしてサニーは深刻な態度を取っているのでしょうか。
そもそも僕たちはプロ選手になるために、このアカデミーで日々厳しい練習をしているのです。
だからアカデミー内で、試合を実施するからといって慌てる理由にはならないのではないのでしょうか。
「うーん・・・・。」
それなりに考えたのですが、僕はムーンの問いへの返答に窮していました。
「ミナミは、このアカデミーのシステムをあんまり知らないんだね!
実はね!」
ムーンは腰に手を当てて、かしこまった態度になっていました。
どうやら本当に彼女は、今回の問題の核心に、触れていく様子なのでした。
「このアカデミー内での試合は、入れ替え戦なの!!」
何故かムーンは、両手に拳を作って、力強いポーズを取ったのでした。
「はい?」
僕は今ひとつ、彼女の言っている意味を理解できていませんでした。
「だ・か・ら!!
ミナミとサニーのクラスのスタンダードと、上のクラスのハイパーとの対抗戦なんだよ!!」
「え!
ええええー!」
そんなの僕は、全く聞いていませんでした。
僕たちが練習しているクラスから、上のクラスとの対抗戦があるとは・・・。
入れ替え戦ということは、おそらくクラスのメンバーが入れ替わるのでしょう・・・・。
「ハイパーの連中は、必死にくるよ!
だって、ハイパーから格下げになったら、自動的にこのアカデミーを退校になるんだから!」
「そ、そんな過酷なルールなんだ・・・・。」
なんと、上のクラスの人たちをふるいにかけようというのですか・・・。
・・・・・、そうか・・・・サニーはダンディーでもハードボイルドでもない・・・・。
極度の緊張状態に置かれていたのでした。
・・・・・でも・・・・。
「でも、なんでサニーはこんなにも、態度が変わったんだろう?」
僕は、率直な疑問をムーンに対して向けました。
「だって、負けたら終わりじゃん!!」
・・・・・は・・・・?
どうして、サニーは負けたら終わりなんでしょうか・・・?
その答えは次回に・・・。




