わたしは黒だから
「サ、サニー。」
待ち合わせの場所には、サニーが立っていました。
確かに前回の繁華街への外出には、サニーもいました。
僕はサニー、ムーンと一緒に返りました。
最初はムーンと共に、行方不明のサニーを探して・・・。
それでサニーを見つける(?)事が出来たのでしたが・・・。
(・・・・・・・!?)
そこで僕は、とある考えに行き着いたのです。
ムーンは、何かを知っているのではないでしょうか。
サニーが行方不明になったときも、心当たりがあるような感じでした。
そして彼女に導かれる様に、繁華街に行き・・・。
だから、今回もムーンは最初から何かを知っていて、僕たちを誘導使用としているのではないでしょうか・・・。
一体ムーンは何者なのでしょうか。
「さあ!
行こうか!」
特に悪びれた様子もなく、ムーンは相も変わらず元気をアピールしていました。
僕が横を振り向くと、サニーはコクっと頷いていました。
納得のいかない僕は、特にリアクションを起こしませんでした。
「よし!」
でも彼女は、何も気にしている様子もなく門を出て行こうとしました。
「ムーン!」
たまらずに僕は、彼女に声をかけました。
「ん!?」
ムーンは即座に、振り向きました。
そして彼女の目には、一転の曇りもありませんでした。
「いや・・・、いいんだ・・・。」
そんなムーンに対して、自分は何も問い詰めるような言葉は、出てこなかったのです。
少なくとも彼女の外見からは、邪念とするものは感じられなかったのでした。
そのまま僕たちは、恐らく繁華街に向いて出発したのでした。
僕を含めた三人は、間隔の広い街灯の明かりだけが頼りの薄暗い道を、特に言葉を交わすこともなく歩いていています。
僕は元々そんなに喋る方ではないのですが、それでもずっと間の開いた状態は気持ちの良いものではありませんでした。
ムーンは大手を振って、元気な足取りで歩いています。
そして相変わらす、機嫌の良さそうな表情を浮かべているのでした。
・・・・・・、僕は一度で良いから、ムーンの喜怒哀楽の、怒と哀の感情を見てみたいものだ、と思いました。
そして僕としては、いつも上機嫌は彼女の姿は、今のような薄暗い場所では逆に不気味な感じに捉えてしまうのでした。
(うう・・・・、夜道でのムーンの満面の笑顔は、怖いなあ・・・。)
「どうしたの?」
彼女は、僕が考えていることなどは、1ミリも気取ることもないのでした。
ムーンは、全く僕に対して態度を変えません。
ここまで一貫した対応をされると、まるでホラーです・・・・。
この流れはしばらく続くのでしょうか・・・、しかし・・・。
「ん!」
ムーンは突然に、ピタッとその脚をストップさせたのでした。
しかも、笑顔を維持したままで・・・。
(ど、どうしたんだろうか・・・?)
彼女の、その唐突さに僕は戸惑うばかりでした。
「ちょっと、ごめんね!」
ムーンは、クルッと僕たちの方向に向き直って、右目をウインクさせて、右手の人差し指をスッと立てていました。
今から何が、始まると言うのでしょうか。
「ちょっとだけ、寄り道させてね!」
彼女はスッと、それに人差し指を向けていたのでした。
(そ、それは・・・・。)
そこには前回の外出時にも見た、黒い公衆電話でした。
僕はどうも、この色には、まだまだ違和感を感じるのでした。
構わずに彼女は、台詞を続けました。
「わたし、今から電話するね!
すぐに追いつくから、先に行っててね!」
ムーンは右手を腰に当てて、アッケラカンとしていました。
「ええ!!?」
彼女の堂々とした立ち振る舞いに、僕はビックリを隠し得ませんでした。
これでも自分は、男です。
女の子を一人で夜道に残すのは、抵抗があります。
そう思ったのですが・・・・。
「大丈夫!」
今までの2割り増し位の大きな声で、ムーンは言い張りました。
そした彼女は、今度は両拳とも腰に当てて、胸を張っていたのでした。
その根拠の感じられないムーンの言葉に、僕は押し潰されそうになっていたのでした。
だって彼女の態度には、何の不純物も観察されないのでしたから・・・。
本当に、ムーンはそう思っているのでしょう・・・。
「で、でも・・・。」
納得のいかない僕は、さらに抵抗を試みました。
「わたしは黒だから!」
「え!?」
一体何が黒なんなのでしょうか?
(ムーンの、何が黒なんだ・・・・・・。)
自分の脳内で様々な、思惑と邪念が交錯していました。
そこで、一つの推測が思い浮かびました、が
(こんな事、ムーンに言える訳ない・・・!)
「ん!?
何を考え込んでいるの!?」
「い!
いや・・・、何でも・・・。」
完全に僕は、彼女の笑顔に圧倒されていました。
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そこで僕は、とある考えが閃いたのでした。
(そうだ!
ムーンの姿が見える様に、ゆっくりと歩けばいいんだ!)
誠にシンプルなのですが、これが自分の出した最善の策なのでした。
「うん・・・。
分かったよ、先に行くから早く追いついてね。」
「そうよ!
すぐに終わるからね!」
素直に従う僕に対してムーンは、その柔らかそうなホッペをプルッと動かして、ニコッとしていたのでした。
(さあ、行こうか。)
彼女と折り合いをつけた僕は、ゆっくりと脚を動かそうとしました。
「どわっ!!!」
僕の横には、ヌーッと黒い人影があったのでした。
「さっきからいたわよ!!」
ムーンが、僕に諭すような口調で言いました。
そうでした、サニーも一緒にいたのでした。
でも彼は黙り込んでいたので、途中から存在を忘れてしまっていたのです。
「サ、サニー行こうか。」
動揺しつつも、僕はサニーと、とてもゆっくりと脚を進めていたのでした。
チラッと後ろを見やると、ムーンが黒い公衆電話をダイヤルしてる姿がありました。
(今のムーンの・・・は・・・、黒いのか・・・・・・?)




