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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第2章 修行
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マジシャン・ムーン

 「それでね!」

 ムーンは、話を続けました。

 僕は彼女が何を言うのかは、予想はしていました。

 ただ、それは二通りのパターンが用意されていました。

 「ユキノは1回戦は突破したよ!」

 ムーンはボクの目の前で、パーの手のひらを突きつけて報告しました。

 「おお・・・・!」

 実は雪乃さんは、今日は午前中に試合があったのでした。

 「と、いうわけで・・・・。」

 彼女は両手を腰に当てて、大得意なポーズを取っていました。

 「毎日、食べに来てね!」

 ウェイトレスは、堂々と営業トークに結びつけたのでした。

 (・・・・・。)

 僕は返答をするのに、困ってしまいました。

 でもまあ、ムーンのニュースがとても速いのは、恐らくほんとうだと思いました。

 まあ、その根拠に具体的なものは無いのですが。

 彼女の雰囲気から、そう察するのでした。

 そして間もなく、それはまさに現実となるのでした。


 そして、雪乃さんの予選二回戦の日です。

 僕は昼の練習の途中の三時の休憩で、ベンチに座っていました。

 僕はドリンクを取りながら、荒くなっている呼吸を整えていました。

 「ピンポン♪パンポーン!!」

 「のわああ!!!」

 いきなり耳元で、大きい声をかけられたので、ボクはビックリしてしまったのでした。

 「ユキノは、二回戦も突破よ!」

 見上げると、まさに得意げなムーンが、仁王立ちで僕を見下ろしていたのでした。

 「急に、ビックリするじゃないか!」

 ボクの心臓の鼓動は整えるどころか、バクバクと落ち着きが有りませんでした。

 「どこよりも速いニュースだよ!」

 彼女は全く悪びれた様子は有りませんでした。

 (・・・・・。)

 こうなったら、もう何も申しますまい・・・。

 僕は、一抹から十抹までの不安を抱えつつ、練習に戻ったのでした。


 そして、またまた次の日ー。

 僕は練習を終えて、ラケットにガットを張りに行きました。

 ガット張り機のテーブルの前に立ったとき・・・・、異変は起こったのでした。

 強烈な視線を感じるのです。

 しかも、普段あり得ない方向から・・・。

 「今日もユキノ勝ったよ!」

 (・・・!!!)

 ボクは周りを見回しました。 

 でも、あの女の子の姿はいません。

 「え・・・、ええ?」

 訳の分からない僕は、うろたえていました。

 「こっち、こっち!」

 自分の目線よりも、かなり下の方から声が聞こえてきたのでした。

 ============= ヌッ ==============

 「どわああ!!!」

 なんとムーンは、ガット張り機のテーブルの下から、姿を現したのでした。

 ボクは、久々に恐怖に近い感情を感じました。

 「言ったでしょ!どこよりも速いニュースだって!」

 今度は僕を見上げて、しゃがんでいるにも関わらず、彼女は相変わらずも得意げな様子でした。

 (・・・・・・!!!!)

 やはり僕は、ただ絶句するだけなのでした。

 

 そしてー、その後もー。

 ボクはいつも通りに、アカデミーの練習をしてました。

 ふと視線を感じると、テニスコートのフェンスの外には、ムーンが立っていました。

 しかも、その彼女の出で立ちは・・・!

 何故か、ムーンはシルクハットを被り、ステッキをもっていたのです。

 (な、なんなんだ、あの格好は・・・・、あれはまるで・・・・。)

 僕は、これから何が起こるのか期待(不安!?)の心持ちなのでした。

 動きがありました。

 彼女がシルクハットを上げると、白いものが宙を舞いました。

 どうやらそれは、生き物の様でした。

 その結果、彼女の肩には、意外(予想通り!?)すぎるものが乗っていました。

 (あ、あれは・・・・・、鳩・・・・?)

 そうです、ムーンの右肩には、鳩が乗っていたのでした。

 シルクハットに、ステッキ、肩の鳩・・・・。

 何かを、おっぱじめようとしているのは、ほぼ間違いないと思えます。

 そして僕はとても、いやな予感がしていました。

 彼女は、ボクと目が合うとウインクしました。

 僕は、ドキッとしました。

 自分の推測が当たっていると、確信したのです。

 そしてムーンは、白い紙切れを鳩に加えさせたのでした。

 そして、その鳩は彼女のの右肩から飛び立ちました。

 その鳥は、ボクの方向に向かってきます。

 そして・・・・。

 鳩は、僕の腕に乗ってきたのでした。


 (わわっ!!)

 全く持って初めての体験なので、自分としては狼狽える事しかできなかったのです。

 (ま、まさか・・・。)

 ボクは導かれるように、右手を鳩のクチバシに伸ばしたのでした。

 そして鳥は、フッと紙切れを離しました。

 (こ、これは・・・。)

 この紙切れは、何なのでしょうか・・・。

 鳩はスッと、再び飛び立ちました。

 そして程なく、ムーンの右肩に戻ったのでした。

 (ムーン・・・、彼女は一体何者なんだ・・・・。)

 多彩な才能を感じさせるムーンに対して、僕は興味を持ち始めました。

 それから冷や汗をかく、自分に対して・・・・。

 「こら!練習をさぼるな!!」

 サンダー・ライトコーチの怒声が容赦なく、飛んできたのでした。

 「は、すいません!」

 (悪いのは自分じゃないのになあ・・・。)

 勿論、自分としてはこの状況は、納得していませんでした。

 そして、再びチラッとフェンスの外に目をやると、ムーンは右目をつむって、舌をペロッと出していました。

 その彼女の顔は、まさにテヘッと言っていました・・・。

 (くっ・・・、くうっ・・・!)

 ムーンは、全く悪びれのない態度でした。

 少し悔しい自分なのですが、手元にある紙切れをみました。

 

 ============== ユキノ予選突破! 決勝トーナメント進出! ===========


 「おお!!」

 僕は、驚きの声を上げました。

 「こら!!練習に集中しろ!!」

 またしても、ボクは容赦ない怒声を背中に受けたのでした。

 (どこよりも速いニュース・・・、その言葉に偽りは無し・・・・!)


 

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