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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第2章 修行
116/320

どこよりも速くー!

 いよいよ、全米オープンが開催されたのでした。

 とはいっても、僕はいつも通りにアカデミーで練習をしています。

 だから試合会場に行くことは勿論、生放送で試合を観戦することも叶いません。

 自分に出来ることは、新聞やテレビニュースで試合結果を確認するだけになってしまうでしょう。

 先日に、ムーンから見せてもらった全米オープンのパンフレットをみて、僕のよく知っている人の名前を知ることができました。

 四季折夫、冬木雪乃、オウバー・キャスト、レイ・スプリンクルの四選手です。


 僕は午前の練習を終えて、昼食をアカデミーのレストランにいました。

 たしか雪乃さん以外は、(※)ノーシードの選手でした。


 ※ノーシード・・・予選を免除されて、決勝トーナメントから出場する選手。実績が高い選手(世界ランキングが上位)が優先的に選ばれる。


 と、言うことは3選手は、世界でもトップレベルの選手と言うことになります。

 断っておきますが、雪乃さんもレベルの高い選手です。

 世界中の選手が待つ待ってくる大きな大会で、予選を免除されるということは、それだけ凄い実績を持っていると言うことなのです。

 (凄い選手・・・・・。)

 実際に彼らと関わった僕は、思いを張り巡られていました。


 (折夫さん・・・。)

 男子シングルス世界ランキング10位以内にも入る強豪選手、四季折夫さん・・・。

 彼に関する走馬燈が、僕の脳裏をよぎります。

 (・・・・・・・。)

 いつしか、折夫さんが紅葉さんのオッパイを突っついて、平手打ちを食らっていた光景が浮かんできました。(※33話参照)

 (・・・・・・・。)

 さらに情景が現れてきました。

 試合中に紅葉さんの袖口からブラジャーを覗き込んで、胸ぐらを捕まれて持ち上げられたことを・・・・。(※49話参照)

 (お、折夫さん・・・・。)

 

 (オウバーさん・・・。)

 南米アルゼンチン出身、オウバー・キャストさん・・・・。

 彼に関する記憶が、僕の脳裏をよぎります。

 (・・・・・・・。)

 バーで、酔っ払いに絡まれた事を・・・・、勿論その酔っ払いはオウバーさん・・・。

 そしてムーンに背中をバンッと叩かれて、酔いつぶれていた事を・・・・。

 (お、オウバーさん・・・・。)


 (レイさん・・・・。)

 東欧ハンガリー出身、レイ・スプリンクルさん・・・・。

 僕の頭の中に、彼女の姿が現れつつありました。

 (・・・・・・・、やっぱり考えるのはやめよう・・・・。)

 ボクはレイさんの事を、妄想(?)するのを寸前でストップさせました。

 (れ、レイさん・・・・。)

 

 ひょっとしたら自分のイメージの中で、まとも(!?)なのは雪乃さん、だけなのかも知れません。

 「ふうっ・・・・・。」

 僕は何ともいえない、ため息をついていたのでした。

 

 「やっぱり、気になっているんだね!」

 「わっ!?」

 その元気の良い大きな声に、ボクはビックリしてしまいました。

 今日も、ウェイトレスのムーンが注文した料理を持ってきました。

 「うーん、まあ・・・。」

 「うふふ・・・。」

 彼女は、よく分からない含み笑いのような表情をしながら、厨房にいきました。

 

 そして昼食を終え、会計も終えようとしていました。

 「今日も有り難うございます!」

 チーン!とレジの音が鳴り、おつりをムーンが手渡してきました。

 「ごちそうさま。」

 ボクがレストランを去ろうとした、そのとき。

 「教えてあげようか!」

 ガバッと、彼女はレジから身を乗り出してきました。

 「わわっ。」

 ムーンの急な行動には、いつも焦らされます。

 「アンタが気になる人の、試合の結果を教えてあげようか!」

 「は、はい・・・。」

 僕は彼女の迫力に、完全に圧倒されていました。


 「どこよりも速くー!」

 突然、ムーンはガバッと、両手を高々とあげました。

 (な、なんだ・・・、この野戦動物の威嚇のようなポーズは・・・)

 しかもウェイトレスは、何故か得意げな表情なのでした。

 僕は彼女の行動に、若干の戸惑いと危険(?)に近いものを感じたのでした。

 「貴方の気になる人の、情報をお届けしますー!!」

 そういってムーンは、バンッ(!)と両腕を大きく広げたのでした。

 ・・・・ついでに、大きく脚も広げていました・・・・。

 (・・・・なんて、あられもない格好なんだ・・・。)

 今の僕はムーンに対して、呆れつつも見とれていました。

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