もう、困った子ね・・・リターンズ
(どこかで見たことがある顔だなあ・・・。)
僕はベンチで座っている女性が、とても気になっていました。
彼女は非常に美しく、そしてミステリアスな雰囲気を醸し出していました。
正直ミステリアスという表現は、言い換えれば色気を感じると言うことなのかもしれません。
しかしジャージ姿にも関わらず、これほど色っぽく感じる女性は、非常に稀有な存在だと認識されるのでした。
おそらく彼女は地球上で、もっともセクシーな女性なのではないでしょうか。
「ここに、いたのね。」
「わわっ!!」
急に言葉をかけられたボクは、我に返ったのでした。
実際に僕は、彼女がまさか話しかけてくるとは思っていませんでした。
もはや自分にとって、この女性はセクシーという言葉で表すには、おこがましいとさえ感じているのです。
そう・・・・、神々しいとさえ言えるのではないでしょうか。
まさに彼女は女神・・・、です・・・。
「ふふふ・・・。
どうしたの?」
頭の中で考えを張り巡らせている自分に、彼女は少しだけ妖しさのある微笑を見せてきました。
美しい女性から、白い歯がこぼれています。
もっとも、彼女はその白い歯にも劣らず、透き通るような白い肌を見せてるのですが・・・。
「あ、あの貴女は・・・。」
ボクは分かっていたのですが・・・、それでも確認せずにはいられませんでした。
勿論、十分に分かっていたのですが・・・。
「気になるの?」
「え・・・、まあ・・・。」
僕は彼女の問いに対して、言われるがままに相槌を打ってしまったのです。
それがちょっと、まずかったのかも知れません。
「そうなのね・・・。」
その美しく妖しい女性は静かに目をつむり、納得したような表情をしていたのでした。
(・・・!
な、なんか自分の考えていることと、食い違っていないだろうか。)
「だから貴方は黙って、私の事を見回していたのね。」
予想通りに、ボクの考えと食い違っていた彼女は、口元を緩ませて微笑んでいました。
でも・・・、目は笑っていなかったのです。
「見回してって・・・・。
ボクはそんなつもりじゃ・・・。」
そう答える僕は、シドロモドロの口調なのでした。
「ふふ・・・、仕方がない子ね・・・。
でも、気を付けてね・・・。」
彼女はジャージの上着の襟を、両手で整えながらボクを気遣って(?)いる様子です。
そんな美しく妖しい女性をみて、僕はちょっとだけホッとしたのでした。
でも、それは自分の思い違いだったのです。
「また鼻から出血したら、大変だものね・・・。」
・・・・自分の安心感を取っ払うセリフでした。
ボクが恐れていたことを、彼女は何のためらいもなくサラリと言いのけたのでした。
(や、やはりこの女は、レイさん・・・・。)
そうです、僕がニューヨークに来た初日に、アカデミーへの道中で寄ったテニスクラブで、一緒にプレイした東欧系の美しい女性・・・・。
彼女の名は、レイ・スプリンクル・・・、ハンガリー出身・・・。
「・・・・・あ、あの・・・。」
レイさんに、圧倒されている僕は、スラリと言葉が出てこないのでした。
「だから・・・、あんまり私の事を見すぎないでね・・・。」
・・・・・・・、訂正します。
レイさんは、女神ではありません。
彼女は、美しく妖しい悪魔です。
それは、とてもとても魅力的な・・・。
その悪魔には、ジャージ姿であることなど、まったくハンデ(!?)にはなっていないのです。
「いや、そんな訳じゃ・・・・。」
僕は、無駄な抵抗(?)かもしれませんが、レイさんの言葉に対して、とにかく否定の意思表示をしました。
「ふふ・・・・。」
レイさんは、目を細めて右手で頬杖をついて、何か含みを持たせた相槌を打ちました。
「わかっているわよ、坊や・・・。」
その彼女の呼びかけに、ボクはドキッとしたのでした。
それはなにか過去を思い出すような・・・・、何かが・・・。
============== 僕は 彼女を もっと以前から知っている ============
「そろそろ時間だから・・・・。」
またレイさんのセリフで、ボクは再び我に返りました。
(ああレイさんも、ここでプレイするのだろうか?
と、いうことは彼女は・・・・。)
もうレイさんとの会話は終了すると、少々名残惜しい気持ちもありました。
しかし・・・、彼女はここで非常に、恐ろしい行動を起こすのでした。
「今日は暑いわね・・・。」
レイさんは、ジャージの上着に手をかけ、脱いでしまいました。
女性の、透き通る様な白い二の腕が、露わになりました。
(な、なな・・・・・。)
美しく妖しい女性の奇襲攻撃に、ボクは絶句しかありませんでした。
そして僕の心臓は、ドクンドクンと急激に高鳴りを増していました。
それにも関わらず、レイさんは、まるでフランス人形のように平然とした顔でベンチから立ち上がりました。
彼女の一挙手一投足にたいして、ますますボクは恐怖を覚えつつあるのでした。
「時間よ・・・。」
そう言うと、レイさんは間髪を入れずに・・・。
============== ジャージのボトムに両手を掛けたのです =============
「な、なああああーーー!!!!」
彼女の素早い行動によって、たまらず僕は、限りなく叫び声に近いものを披露してしまったのです。
それでも・・・、レイさんは無機質な表情を全く動かさずに・・・・・・・
============= 自らの手で ボトムズを降ろしたのです ==============
「ぐ、ぐあああーーーーー!!!」
余りの衝撃に、ボクはその場にへたり込んでしまいました。
「は、あああああ・・・・、・・・あれ・・・。」
僕の衝撃は、時期に和らげられることになったのでした。
なぜなら・・・。
「もう、困った子ね・・・。」
彼女は、やさしく微笑んでボクを見下ろしていました。
レイさんは、半そでのポロシャツに、白いスコートの出で立ちでした。
そんな彼女を見て、ボクは安心(ガッカリ?)したのでした。
しかし・・・。
いきなり彼女はしゃがんで、僕の目線に合わせてきました。
「今回は、大丈夫ね・・・。」
そう言ってレイさんは、僕の頭をとても優しく撫でてきたのでした。
どうやら、彼女はボクの出血を心配していたようです。
レイさんは、スクッと立ち上がりました。
その彼女の表情は、僕の安否を確認して安心しているかの様に見えました。
「じゃあね・・・・。」
彼女は後ろ姿で、右手を挙げてテニスコートに入っていきました。
ボクは尻餅をついたまま、レイさんを見届けていました。
(やはり彼女は、悪魔だ・・・。
とても魅力的な・・・。)




