強者(!?)集う・・・・!
「ごちそうさま。」
「今日も有り難うございました!」
元気にウェイトレスのムーンが会計をしてくれました。
僕は今日の朝食は、アカデミーのレストランで済ませたのでした。
と言うのは、本日の日程はいつもと違うからなのでした。
「今日は、しっかりと見てくるのよ!」
「うん、わかったよ。」
僕は彼女に促されて、さっそうとレストランを出たのでした。
今日はアカデミーに入校してから、初めての休校日でした。
実は週末は、全体練習は無いのでした。
とはいえ、このままダラダラ過ごすような人は、恐らくはいないでしょう・・・。
皆ででレッスンを行わないとはいえ、自分自身で出来ることは沢山とあります。
そこで僕はスタミナをつけるために、テニスコートの付近をランニングをしていたのでした。
本当のことを言うと、このランニングには別の目的があったのです。
そして自分の願いは、結果的に叶うこととなるのです。
(お・・・・。)
明らかにアカデミーの生徒ではないと思われるプレーヤーが、コート内でプレイしています。
(おおー。
やっぱりレベルが高いなあー。)
もう今は、八月も下旬にさしかかろうとしています。
もう少しで、全米オープンが開催されることになります。
この事について、ムーンから教えられたのですが、このアカデミーの所在地は開催地であるニューヨークの郊外である事もあって、多数のプロテニスプレーヤーが調整に訪れているそうなのでした。
だからこの休日を利用して、プロの選手のプレーを目にしたいと思っていたのです。
(おや・・・・。)
ここでボクは、テニスコートのフェンスの外側に目が動いたのでした。
(あの子は、飛行機で隣の席にいた男の子じゃないか・・・。)
これで僕は彼と、飛行機、レストランに続いて、三度遭遇しました。
そして、帽子を深々と被った少年に、声をかけたいという気持ちが芽生えてきたのでした。
しかし・・・。
「意外に早い再会になったわね。」
(あれ?桜さん?いや・・・。)
ボクが振り向いたそこには、僕の従姉のプロテニス選手、冬木雪乃さんがいたのでした。
「あ、雪乃さん・・・。
こんなところで会うとは・・・。」
異国の地で、母国の人に再会する事で、僕は安心感で保護されていました。
「私は、今度の全米オープンの最終調整で、ここにきているのよ。
それに私は、ここのOGだからね。」
(そ、そうだった・・・。
彼女は高校を中退して、このアカデミーで修行してプロ選手になったんだった。)
そう考えると、雪乃さんがここにいるのは、何ら不自然な訳ではないのでした。
「それと、折夫は別のところで調整しているわ。」
(お、折夫さんも来ているのか。
確かに、あの人もトッププロだから、全米オープンには出場するんだよな・・・。)
「あ、あの・・・。」
ボクはとても聞きにくいことを、質問しようとしていました。
「紅葉さんは・・・?」
「紅葉は、大丈夫よ・・・。」
雪乃さんは、ニコッと微笑を浮かべていました。
そのことで、僕はホッとしたのでした。
「楽しみにしてね・・・。
それじゃあ・・・。」
「え・・・・。」
(た、楽しみって?)
もう雪乃さんは、コートでプレーする時間がきたらしくて、早々と去っていってしまいました。
その彼女の素っ気なさに、ちょっとだけボクは物足りなさを感じたのです。
その中にあって、雪乃さんの捨て台詞が気になるのでした。
================ ポンッ =====================
「わっ!!」
不意に背後から肩を叩かれて、僕はビックリしてしまいました。
「あっ!
酔っ払い!!
いや・・・・!」
その人とは一昨日にも、バーでお会いしたばかりでした。
「調子はどうだ?」
初日にテニスクラブで一緒にプレーしたアルゼンチン出身のオウバー・キャストさん・・・。
「ええ・・。
まあまあです・・・。」
ボクは当たり障りのない、返事をしました。
「む・・・。
そうか・・・。」
(ん・・・・、なんか、この人酒臭いなあ・・・。)
「ま、元気でな。」
そう言うや否や、彼は僕に背を向けて、右手を挙げてテニスコートに入っていきました。
そんなオウバーさんに、ボクは唖然としていたのでした。
この酔っ払いの男性は、ひょっとして・・・・。
そう考えながら、僕は近くのベンチに腰をかけたのです。
(んん・・・・!)
自分は何かオーラの様なものを感じ得ました。
フッと横のベンチを見ると、ジャージ姿の美女が座っていました。
(こ、この女は・・・・。)
今日はまだまだ、何か有りそうな予感です。




