余計なことを、考えなくてもいいんです・・・・
僕の目の前で、ちょっとした姉弟げんかが繰り広げられていました。
「あ、あのサニー・・・。」
なにもそんなに言わなくても、と思ったボクはこの場を納めようとしました。
「大丈夫なのかい?
サニー・・・。」
そして彼のことを案じていることを示して、話の方向を転換させようと試みたのです。
「ん?
なにがだい?」
サニーは、まるで今まで何事もなかったかのように、キョトンとしていました。
(あれれ・・・、サニーはどうしたんだ・・・?)
その彼の態度に、自分としては戸惑うしかないのでした。
何でって、そもそも僕たちがこうして外出しているのは、彼が突然姿を消したからなのですから・・・。
すると急に僕の右肘を、誰かが恐らく自分の肘で突っついてきたのでした。
誰が・・・・。
「良くあることなのよ・・・。」
ムーンは、僕に小声で囁いてきました。
(・・・・・・!)
その彼女の一言で、ボクはほぼ全てを悟ったのでした。
探し出した(?)サニーは、意外にも機嫌が良さそうです。
もう彼に対しては特に追求しない方が、綺麗な問題の収束のスタイルだという結論に達しました。
「ふふ・・・・。
みんな今日は遅くなる前に、返った方がいいかもね・・・。」
セクシーな占い師の女性は僕たちに、この場のお開きを促してきたのでした。
でもボクは、一つだけ聞きたいことがありました。
「あの・・・、貴女はサニーとは姉弟なのですか?」
自分は、率直に質問しました。
「そうよ・・・・、サニーを宜しくね・・・。」
その女性占い師は、そう返事をしたのですが・・・・。
なんだか、彼女の顔色が優れないと、自分は直感的に読み取ったのでした。
「だ、大丈夫ですか・・・・。」
女性占い師は、急に下を向いて目をつむっていました。
「大丈夫だから・・・。
疲れているだけだから・・・。」
彼女は自身の安否を気にして欲しくない感じでしたが、僕はどうしても気になるのです。
「大丈夫だから、お姉ちゃんはいつもこんな感じなんだよ!」
そこでサニーが、ボクの肩をポンッと叩いてきました。
「でも・・・・。」
彼の台詞に対しても、やはり僕は納得が出来ませんでした。
「私は、いつも貧血気味だから・・・。」
どうやら女性占い師は、日常的に体調不良が起こっている感じなのでした。
振り向くとムーンが、コクッと軽く頷いていました。
(ムーンは、この占い師とは元々知り合いなのか・・・・。)
と言うわけで、自分としては、特に彼らの主張に逆らうことをしないこととしたのでした。
僕たち3人は、女性占い師に別れを告げて帰路につくことになりました。
「実は、お姉ちゃんは小さいときは内臓に病気を持っていて、とても体が弱かったらしいんだ・・・。」
帰り道で、サニーが語り出しました。
「生まれたときから、いつまで生きれるんだろうかと言うくらいの状態だったんだ。」
彼は話を、続けました。
「・・・・・・。」
僕は、彼の話を相づちを打たずに聞いていました。
そして、ムーンも黙っています。
でも彼女がボクと違う点は、もうすでにサニーの話を知っているのでは無いかという事でした。
「お父さんは、凄い人なんだ・・・。」
サニーは、この話の本筋とは異なるのではないのか、という台詞を出してきました。
それでも彼の言うことを、そのまま聞き続けました。
「お父さんは、凄いことをしたんだ・・・・。」
(・・・・?)
僕は、サニーが何を言わんとしているのか、まだ分かりませんでした。
「お父さんは、お姉ちゃんの内臓の病気をなくしたんだ・・・・。」
病気を無くしたとは、どうゆう事なのでしょうか・・・・。
「お父さんは、お姉ちゃんが小さいときに、病気を別の子に移したんだって・・・・。」
今のボクには、すぐに理解できない話でした。
内臓の病気を移す、って一体どうゆう事なんでしょうか。
「お姉ちゃんは、自分が今まで生きてこれたのは、別の子が内臓の病気をもらってくれたからだと思っているんだ。
それでお姉ちゃんは自分の内臓の病気を移された子は、どうなっているのかとても心配してる・・・・。
ひょっとしたら、もう死んでしまっているんじゃないかも、って・・・。
はやくその子を探して、元に戻してあげたいって思っているんだ・・・。」
そのサニーの語り方には、ふざけている様子は欠片も感じませんでした。
しかし自分の娘の内臓の病気を、別の人間に移して治すなんて、そんな事が可能のなのでしょうか・・・・。
横を見ると、ムーンは顔を見つめていました。
彼女の表情から、自分はどうすればよいのか、という雰囲気を察したのでした。
ボクは今日のことは、全て不問にすることにしました。
そう考えて、部屋に戻った自分は寝床に着いたのでした。
「おはよう!」
早朝にサニーが大きな声で、挨拶を僕に挨拶をかけてきました。
(これでいいんだ・・・・・。)
そして、アカデミーの練習に僕とサニーは参加しました。
何故かサンダー・ライトコーチは、昨日のサニーの無断欠席に対して全く触れてきませんでした。
ボクは思いました。
(これで、いいんだ・・・・。)
余計なことを、考えなくてもいいんです・・・・。




