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ちょっと年上の女の子  作者: らすく
第2章 修行
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黒が好きなの!?

 (とりあえず来たけど、どうなるんだろうなあ・・・・。)

 ボクはサニーの事が、変わらず気になっていました。

 「お待たせ!!」

 「わわっ!!」

 背後からの大きな声に、僕はびっくりしてしまいました。

 勿論そこに立っていたのは、先ほど約束(?)を交わした相手、ムーンでした。

 彼女は、インディゴ生地の上着に、インディゴ生地のミニスカートでした。

 今は夏とはいえ、夜に外出するには少々無防備なのでは・・・、と思うのでした。

 「いきなり背中から、大声で呼ばれるとビックリするよ。」

 「だって、驚かそうと思ったんだもん。」

 「・・・・・・・・・。」

 その女の子は、全く悪びれもする様子は微塵もありませんでした。

 「さあ、いこうよ!」

 間髪も入れずにムーンは、僕の腕をグイッと引っ張りました。

 「わっ!」

 不意を突かれた僕は、またもビックリしてしまったのです。

 意外と見た目よりも、彼女の腕力は強かったのでした。

 しかしながら、よく見てみると、その女の子の腕は、まあまあ太かったのです・・・。

 そうして僕たちは、アカデミーの門の外に出たのでした。

 (どこに連れて行かれるんだろうか?)

 自分の頭から生まれてくる一抹の不安は、拭い去ることは到底、無理な感じでした。


 アカデミーを出てから少々歩く間は、街灯の明かりが頼りの寂しい夜景でした。

 建物の灯がまばらではなく、一塊となっているのが特徴的でした。

 ここはニューヨーク市街に近いとはいえ、混み合った場所ではないのです。

 だから自然と目的の方向は、限られてくるのが分かってきていました。

 やはり僕たちの脚は、初日に刻露さんと行ったスーパーマーケットのある辺りへと向かっているようでした。

 「この辺りが、アカデミーの外では街なのよ。」

 ムーンが僕の顔を振り返り、大きな瞳をパチッとさせながら言いました。

 (そうか・・・、彼女はボクがここに来たことがあるのを多分知らないんだ・・・。)

 「そうなんだね。」

 僕なりに女の子に気を遣ったつもりで、知らなかったフリをしたのでした。

 でもここで自分は、あることに気がついたのでした。

 (そうか、そうゆう事だったんだ!)

 

 恐らくムーンは、サニーがこの辺りにいる確率が高いと思って、ここにボクを連れて来たのでしょう。

 何故なら歩いて行ける距離と言えば、この辺りしか賑やかな場所は無いのですから・・・。

 (なんだ、彼女は良く考えてくれているじゃないか。)

 僕は安心して、女の子の横顔をチラッと見やりました。

 この分なら、ひょっとしたらサニーとは、簡単に会えて話が出来るかもしません。

 自分の推測では、彼は迷いを抱きながら、どこかを彷徨っているのではないのか、と思うのです。

 だから、そう遠くには行っていないのでは無いのだろうか、と分析しています。

 サニーはバスなどの交通機関を使用して、実家に返ったりしてはいないのではないかと・・・。

 そうこう考えながら歩いていると・・・

 (あれなんだろう??)

 

 なんだか見慣れないモノが、道端に存在している事が確認できたのでした。

 なんだか黒い機械・・・・、それはひょっとして・・・・

 これは、日本では見慣れているアレなのでは・・・?

 アメリカでは黒いのでしょうか?

 「何をジロジロ見ているの?」

 「う、うん・・・・。」  

 「そんなに公衆電話が珍しいの?」

 (やっぱりそうだったのか・・・。

 アメリカの公衆電話は黒いのか・・・・。)

 しかし、電話があるからと言ってサニーに繋がる訳ではないのです。

 だって、彼が重たい電話を持ち歩いているわけ無いのですから・・・・・。

 (もしポケットに入る位の小さな電話があれば、とても便利な世の中になるのになあ。

 待ち合わせですれ違ったり、迷子になることもないのになあ・・・。)

 黒い公衆電話を眺めながら、ボクは勝手な想像をしているのでした。

 

 「ねえ、どうしたの?」

 「うわ!」

 気がついたら、ムーンの大きな瞳が、ボクの顔に迫ってきていたのでした。

 「そんなに驚かなくてもいいじゃない。」

 (ち、近いよ・・・・!)

 考察から現実へと引き戻された僕は、彼女のアッケラカンとした態度に圧倒されていました。

 「いや、ボクの国の公衆電話はウグイス色とかがポピュラーだから、黒いのは珍しかったんだよ。」

 良く分からない状況を打破する為に、とりあえず僕はしゃべりました。

 「ふうん・・・・。」

 この女の子の呟くような言い方は、ボクの知るところでは初めてでした。

 「黒が好きなの!?」

 「えっ?」

 何故かムーンは、食い入るような感じで僕に迫ってきました。

 一体なんなのでしょうか?


 「ま、まあ嫌いじゃないけど・・・。」

 困ってしまった自分としては、半分誤魔化すような返答をしたのでした。

 「そうかあ・・・・。

 好きじゃないのかあ・・・。」

 何故だか、彼女は右手で自分のデニムのスカートをクイクイと軽く引っ張って、残念がっていたのでした。

 ボクは女の子の考えていることが、分からないのか気がついているのか・・・。

 ただ僕は、冷や汗をかくことしかできなかったのでした。

 

 


 

 


 

 

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