冗談ですよ!
(あれれ・・・。)
彼女の違和感のある姿に、僕はなんて言ったらよいのか分かりませんでした。
その女性は白いポロシャツの上に、青いチョッキと纏っていました。
そして、インディゴ色のジーンズのスカートを履いていました。
それにしても・・・
どうして彼女がテニスラケットにガットを張っているのでしょうか・・・。
実はこの女性はテニスプレーヤーだったのでしょうか。
そう考えれば、あっさりと納得がいきます。
だってここは、テニスアカデミーなのですから・・・。
と、自分で推測はしてみたものの、なんだか彼女はバリバリのテニスプレーヤーの雰囲気は感じられなかったのでした。
(人を見た目で判断するのは、とても良くないことなのですが。)
どうみても、この女性は家庭的な雰囲気で料理とか作っているイメージしか湧かないのです。
具体的に言いますと、彼女はあまり筋肉質とは縁がないような体型とお見受けするのです。
ちょっとポッチャリ(失礼!)というか、ピチピチした感じなのでした。
「わたしの体が気になるのですか?」
その女性は、僕の脳内を見透かしたような台詞を表したのです。
「えっ・・・・・・。」
余りの動揺に、ボクは絶句して言葉が出ませんでした。
「冗談ですよ!」
彼女は元気よく、言葉を掛けてきました。
そしてその女性の表情は、僕の不安を一瞬にして消し去る快活さを伴うモノでした。
「あ、あの・・・・そこで何をしているのですか?」
そこでボクは、この場の間が持たないのに耐えられないので、とりあえず何かしゃべったのでした。
「いや、そりゃあもう・・・。」
なんだかサニーが、僕に対して突っ込みたそうに呟いていました。
「え?
ストリングを張っているんですけど!」
彼女は右の腰に拳を当てて、ボクの質問に明確に答えていました。
ま、もっとも彼女がガット張り機でストリングを張っているのを知っていて、あえて聞いたのですが・・・。
「さっきから、見とれていましたよね?」
この女性は、背中に眼が着いているのでしょうか?
またして僕の頭の中を、彼女は見透かしているのでした!?
「え、そりゃあもう・・・。」
ボクは思わず、シドロモドロながら返答しました。
そして不覚にも僕は、女性の顔から少し視線を下げてしまったのでした。
「わたしの、カラダにですね!」
「ぶっ!!」
彼女の不意打ち(?)に、ボクは思わず吹き出してしまいました。
「う・・・、え・・ええ・・・・。」
僕は両手を小さなストロークで振る、という良く分からないアクションをしながら狼狽していました。
「冗談ですよ!」
再び彼女は元気よく、言葉を掛けてきました。
相も変わらずに、その女性の表情は、僕の不安を一瞬にして消し去る快活さを伴うモノでした。
それと同時に、僕は女性に弄ばれている、という感覚が生まれてきました。
「今日も頼むね。」
不意にサニーが彼女に、言葉を投げかけました。
「ふふ・・・。
いいわよ、サニー。
貴方は、今日が初めてですね!」
彼女は、やはり元気よく応えました。
(サニーは、彼女のことを前からよく知っていたのか・・・。
だったら教えてくれたら良かったのに・・・。)
ボクは、ちょっとだけ彼に対して、不満に近い感情を抱いたのでした。
「初回は、ウーンとサービスしますよ!
さて、どのコースをお選びますか?」
(な、なんだか変なことを想像するような、表現だなあ・・・・。)
おそらく僕は、その時に冷や汗を垂らしていたことでしょう・・・。
彼女は、ボクに対してニコニコとした表情で、右手で左手の甲をさすりながら近づいてきました。
僕は、その女性の営業(?)に対して、思わず後ずさりをしてしまいました。
さらに彼女は、元気よく言葉を発しました。
「読者様に、誤解を与えつつも次回に続きます!」
何故か、その女性はどこかに向かって、ピースサインを決めていました・・・・。




