遠征軍
ポナ村入口に、約2000人程の騎士団が突如現れた。騎士団は、全身を銀色のプレートアーマーで覆い、銀色のメイスと盾を持っていた。そのうちの3人が、違う格好をしていた。一人は、赤色のラメラーアーマーで全身を覆っており、もう一人は、黒い着物を着て、刀を2本腰に差していた。そして、最後の一人は、紺のデニムに緑と白のボーダー・カシミアセーター、水色のライトダウンジャケットを着ている村人のような男だった。
赤色のラメラーアーマーを着た男が、キャップを脱いで叫んだ。
「この村に1週間停泊したのち、出発する。メリーズ、お前はここから馬に乗って、次に俺達が停泊できそうな村まで行き、魔法で戻って来い。できれば、この村のように栄えていて、旨い物がたくさんあって、若い女がたくさんいる村がいいなあ。」
魔法・ムーブメントは、1度でもいいから、行ったことがある所じゃないと使えない。
メリーズ「ジャッカル団長、このポナ村は、奇跡の村と呼ばれています。こんな村は、世界に2つとありません。ですから、この村で思い残すことがないように、十分遊んどいて下さい。」
村人のような格好をした男・メリーズは、ラメラーアーマーを装備した男・ジャッカル団長にそう言い、魔法・ムーブメントで騎士団を移動させるようになるため、馬に乗って早速出発した。
2000人程の騎士達が、ポナ村へ隊を成して入って来た。
ポナ村入口で、職業が見える若い男の監視員・ヨータは、その様子を見ていた。
ヨータ「全員、職業が騎士か。騎士なら大丈夫だろう。」
ヨータはそう思い、騎士団の入場を見送った。
騎士団の騎士達は、自由行動となると、食堂や買い物に出掛けたが、誰も金を払わなかった。金を払ってと言うと、逆ギレをして経営者の村人を殴った。
騎士達「この村は、俺達の国じゃない。だから、お前達は敵だ。」
「そうそう。しかも、戦う力もないんだろ?それに、ジャッカル団長から、金を払わなくていいと言う命令が出ている。」
若い女を拐おうとする騎士達まで現れたが、先程の黒い着物を着た侍風の男が、それを防いだ。
侍風の男「お前ら、それはやめとけ。それはアウトだ。」
騎士達は諦めて、ブツブツ文句を言いながら、去って行った。
騎士達「チッまたミヤモトが邪魔しやがった。」
「アイツは凄腕だからな。」
「狂剣・ミヤモト。命が幾つ有っても足りないぞ。」
若い女はミヤモトに礼を言い、その場を去った。
ミヤモト「どいつもこいつも、腐ってやがる。」
村人の男の一人が、畑で大根をひいているソータの所へ走って来た。
村人の男「ソータ!!村が騎士達に荒らされている!!なんとかしてくれ!!」
ソータ「騎士?魔物じゃなくて騎士ですか?」
村人の男「そうだ!!隣の国からの遠征軍らしい。2000人ぐらいいるんだ!!さあ、早く!!」
ソータは大根をひくのをやめて、村人の男と共に山を下りた。
ソータが村へ着くと、多くの騎士達が食堂や店、市場を荒らし、村人達が獲ってきた魚や野菜、鶏の肉が路上に散らばっていた。
騎士達の行動はエスカレートし、民家のガラスを割って、物を盗む者まで現れた。
ソータ「そんな・・・・なんで騎士達がこんなことをするんだ!!」
村人の男「この村は、騎士達の国じゃないから敵になるらしい。しかも、戦う力がないから、敗戦国と見なして、何でもしていいみたいなことを言ってやがるんだ!!」
ソータ「とにかく、みんなを守らなければ!!うおおおお!!」
ソータは雄叫びをあげて金髪になり、体が七色に輝き始めた。そして、騎士達を見つけると、片っ端から殴り飛ばし始めた。
騎士達「な、なんだコイツは!!」
「すげえ強い奴がいるぞ!!プレートアーマーごとぶっ飛ばしやがる!!」
「しかも、メイスで幾ら殴っても、全く効かない!!」
「誰か、ジャッカル団長を呼んでこい!!」
ソータは、あっという間に100人程の騎士達をぶっ飛ばして気絶させ、村の大通りに、騎士達の寝っころがった騎士通りが出来た。
そこへ、何人かの騎士達に連れて来られたジャッカル団長が現れた。ジャッカル団長は、騎士団に集合をかけており、ぞくぞくと騎士達が集まって来た。その中に、ミヤモトの姿もあった。
ジャッカル「このガキ一人が、こんなに騎士達を倒したと言うのか!!」