魔王
サダは街に着くと、ワルド、ジーザスと別れ、また魔法・ムーブメントで消えていなくなった。
ジーザス「リーダー、これからどうします?仲間もいなくなってしまいましたし。」
ワルド「アイツらは俺を置いて逃げたから、仲間じゃない。だいたい、リーダーを助けるために、部下が助けに入って犠牲になるってのが、シナリオってもんだろ。」
ジーザス「それは、たぶん、リーダーの人望がないから。アイタ!!」
ワルドは、ジーザスの頭にゲンコツを入れ、ジーザスは両手で頭を抑えた。
ワルド「それ以上言うな!!とりあえず、家へ帰って休むぞ。」
一 街のキャバクラ 一
サダは、この街のキャバクラ・魔王の伝説にいた。まだ夕暮れ時で店は開店しておらず、黒いスーツを着た一人の若い男が、ソファにぐったりと座っていた。20代後半ぐらいの、髪が黒くて色白の、何処にでもいそうな普通の男だ。サダは、その男の側に立っていた。
サダ「すいません、魔王様。ポナ村へ行ったのですが、賢者の石を見つけることが出来ませんでした。」
魔王「誰かと思えばサダか。まあ、現段階では、ポナ村に賢者の石があるかどうかも分からないからなあ。」
サダ「ポナ村は、七色の男だけでなく、魔法使いに空手家、そして伝説のブルードラゴンに乗るドラゴン・ライダーまでいて、村を護っています。ドラゴン・ライダーがいると言うことは、余程の理由があるのではと。」
魔王「賢者の石があるから、ドラゴン・ライダーがいると?」
魔王がそう言ったとき、一人の若い色黒の男が、キャバクラの木扉を蹴り飛ばし、中へ入って来た。
若い男「見つけたぞ、お前が魔王だな。俺は勇者・モリナガだ!!」
魔王「邪魔が入ったな。サダ、ちょっとそこに座ってろ。ったく、勇者ってのは、何で俺の居場所が分かるんだ?今日、お前で20人目だぞ。」
そう言いながら魔王は立ち上がり、魔王だけしか見えない目の前の画面を触った。サダは、魔王の座っていたソファに座った。
勇者・モリナガ「それは、お前がこの世界の者ではないからだ。お前は、この世界には居てはいけない人間だからだ!!」
魔王が画面を触り終えると、空中から銀色の小銃が現れて、魔王の右掌に落ちた。
魔王「この小銃はグングニル。お前の天敵は、この武器のようだ
。多いな、グングニルが天敵の勇者って。」
勇者・モリナガは、伝説の勇者の剣を腰元から抜いて構えた。勇者の剣は、赤いルビーのような宝石が持ち手の所に装飾された剣だ。
勇者・モリナガ「行くぞ!!魔王!!」
勇者・モリナガは、魔王に向かって剣を振り被った瞬間、魔王の小銃から光の矢のような物が出て、心臓を撃ち抜かれた。
勇者・モリナガ「な、なんだ・・・・その武器は・・・・。」
魔王「ビームだよ、レーザービーム。」
勇者・モリナガ「そんなの・・・・聞いたことがない・・・・反則だ・・・・。」
そう言って、勇者・モリナガは倒れ、息絶えた。勇者が死ぬと、サダは立ち上がった。
サダ「流石です、魔王様。我々には理解出来ない闘い方です。」
魔王「というわけでサダ、俺は勇者退治とキャバクラ通いに忙しい。この世界には、歓迎されてないみたいだしな。とりあえず、近々ルーファス団長に、ポナ村へ行くように言っておくよ。はい、今月分。」
そう言って、魔王はサダに今月の給料袋を渡し、自分の経営するキャバクラ・魔王の伝説を出て行った。サダは早速、給料袋を開けてみた。
サダ「こんなにも・・・・魔王様、愛してます。一生ついて行きます。」
サダは、この街で1位、2位を争うぐらい、もらい物や金に弱い女であった。