気合いを教えて
ユナ「ふう、なんとか間に合ったみたい。」
ギズモ『どうするの?山賊みたいなのがいっぱい逃げてるけど、とりあえず降りるわよ。』
ユナ『うん、そうして。』
ギズモは、ゆっくりと翼を振りながら、寺の広場へ降り始めた。
ジーザスはワルドの所へ行き、絡みついている草を刀で切った。
ジーザス「さあ、リーダー!!とりあえず一旦引き下がりましょう。」
ワルド「ジーザス、お前って奴は!!お前は俺の一番の仲間だ!!サダ!!何をぼうっとしている!!移動魔法で街へ退却だ!!」
ワルドとジーザスは、サダの側に駆け寄った。
サダ「クッ分かったわ。それにしても、この村には七色の男だけでなく、空手家に魔法使い、そしてブルードラゴンまでいるなんて!!サカブランカ・ムーブメント!!」
ワルド・ジーザス・サダの3人は、その場所からいなくなった。
ギズモは、寺の広場に降りて座り、ユナはギズモの背中から降りた。
チャンコ「なんと、この子がドラゴン・ライダーなのか!!」
ミーナ「やっと動けるようになったみたいね。そうよ。ソータが寝込んだときは、ユナちゃんがギズモを連れて来るの。ギズモを見ただけで、魔物や山賊達は今日みたいに逃げ出すわ。ユナちゃん、この人はチャンコさん。気合いで何でも乗り越える気合家よ。」
ユナ「気合家って職業があるんですね、ミーナさんにチャンコさん、遅くなってすいません。まさか、学校に行ってる間に村を襲って来るなんて、こんなの初めてです。」
チャンコ「人間はズル賢いからな、ある意味、魔物より人間の方が面倒だ。ちなみに、俺は空手家だ。気合家じゃないから。」
ギズモは座って、ユナ達の会話が終わるのを待ち、ユナが背中に乗ると、テレパシーで話しかけた。
ギズモ『ユナ、ちょっと星草を食べたいから、星海草原まで付き合って。』
ユナ「分かったわ。」
ギズモは翼を広げて空高く舞い上がり、少し遠くの星海草原の方へ飛んで行った。
次の日、ソータは熱が下がり、少し動けるようになった。チャンコは、昨日は寺へ泊まり、看病されるソータの隣で、布団もかけずに寝た。朝になると、民さんが朝飯を4人分作ってくれた。
ソータ「チャンコさん、昨日寒くなかったですか?布団なしで寝たんですよね。」
チャンコ「確かに少し寒かったが、よく眠れた。なかなか寝心地が良かったぞ。」
ミーナ「ほんと、大したもんね。空手家ってのは。魔法・ヒートでこの部屋を暖めようかなと思ったんだけど、ソータが暑がるかもと思って、何もしなかったの。寝るのも気合いで、とこででも寝れるの?」
チャンコ「いや、寝るときは気合いの反対でリラックスだ。そんなにいつも気合いばかり入れてたら、身がもたんよ。」
ユナ「勉強も、気合いでなんとかなりますか?」
チャンコ「う~~ん、どうなんだろう。俺は勉強で気合いを入れたことはないからなあ。」
ミーナ「気合いで勉強は無理ね。だって、習ってないことは分からないだもん。」
ソータ「でも、気合いの入ったチャンコさん、かっこ良かったです。蹴り技とか最高でした。ぜひ、気合いを教えて下さい。」
ユナ「私にも気合いを教えて下さい。」
チャンコ「え?教えてほしいのは気合いなの?空手じゃなくて気合いの方なの?」
ソータ「はい。」
ユナ「はい。」
ミーナ「ハハハハッ気合いを教えてって。二人とも気合いなんか習うのやめときな。山奥の滝にうたされたり、川に入って、空手の技の練習とかさせられるわよ。ねえ、そうでしょ?チャンコさん。」
チャンコ「ま、まあ、そうだな・・・・俺も子供の頃はよくやらされたな。あと寒風摩擦とか。そのおかげで、風邪はひかないのかもしれんが。」
ソータ「そうですか。じゃあ、俺は風邪ひきそうだから、やめときます。」
ユナ「私も風邪ひくのは嫌だからやめときます。」
チャンコ「お前らなあ、まずは1回やってみてだなあ、それから・・・・。」
ミーナがチャンコが話してるのを遮った。
ミーナ「はい、気合いの話しは終了。で、チャンコさんは今日、出発するの?」
チャンコ「ああ。そうだな、朝飯を食べ終わったら出発するよ。弟子が待っているからな。」
ソータ「へえ、チャンコさんて弟子がいるんだ。何人ぐらいいるんですか?」
チャンコ「今のところ、3人かな。」
ミーナ「3人?少なくない?どうせ、厳しい修業させてるんでしょ?で、やめる人も多いんじゃないの?」
チャンコ「うぅ・・・。俺は本人のためを思ってだなあ・・・・。」
ミーナ「みんなは趣味程度で、ちょっと強くなれたらいいかなみたいな感じで来てるの。生温いぐらいがちょうどいいの。弟子を増やしたかったら、優しく教えることね。じゃあね。」
ミーナはそう言うと、自分の食器を片付けて仕事に出かけた。
チャンコ「優しくか・・・・。」
チャンコも朝飯を食べ終ると、ミーナの真似をして食器を片付けた。
チャンコ「一宿一飯の恩が出来たな。何かあったら、ここへ手紙を送ってくれ。すぐに駆けつける。」
チャンコは、ソータに住所の書いた紙切れを渡し、村を出発した。