空手家とミーナ(その3)
ソータ「俺が・・・・みんなを・・・・守る・・・・。」
ソータは、なんとか起き上がろうとしたが、起き上がれなかった。
おばちゃん達「ソータ、あんたは寝てなさい!!」
「そうそう。ここは、この空手家さんに任せましょう。」
「こういう強い男はね、なぜか貧乏なの。強すぎるがうえに、金が寄って来ないの。」
ミーナ「そうなの?あんた貧乏なの?」
チャンコ「うぅ・・・・確かに俺には金がない・・・・が、ソータ、ここは俺達に任せてくれ。」
ミーナ「そうよ、ソータ。あんたは寝てなさい。ふ~ん、強いのはいいけど、男はやっぱり経済力がないとね。」
チャンコ「・・・・。」
ソータはコクッと頷いて、目を閉じた。
チャンコとミーナは立ち上がり、雨戸を開けて外に出ると、20人程の村人のような格好をして、刀を持った山賊達、後方に一際でかい大男・ワルドと、か弱そうな、しかし何かきな臭い女・サダがいた。寺に集まった村人達は、寺の広場の両端に寄って脅えて立っていた。ミーナは雨戸を閉めて、魔法を唱えた。
ミーナ「ディフェンダー!!」
ミーナは、雨戸付近に透明のシールドを張った。
山賊達「うおっ熊みたいな男が出て来たぞ!!」
「こいつは強そうだ!!」
チャンコ「先手必勝!!空手奥義・竜王旋風脚!!」
チャンコは、山賊達に向かって走って行き、飛んで右足を回転させながら、3人の山賊達を蹴り飛ばして気絶させた。
山賊達「な、いきなりかよ!!」
「しかも、あのガタイでかなり速い!!」
チャンコ「竜王拳!!」
さらにチャンコは、2人の山賊を正拳突きでぶっ飛ばした。
山賊達「こんな強い奴がいるなんて、聞いてないぞ!!」
「ふざけんなよ、ジーザス!!」
ジーザス「俺が見たときは、こんな奴いなかったんだ!!」
ワルド「チッお前ら!!だらしないぞ!!ちょっと下がってろ!!」
バスタードソードを持ったワルドは、チラッとサダの方を見て、チャンコの方へ歩いて来た。
チャンコ「やっと親分のお出ましか。」
ワルド「少しはできるようだが、お前は俺の敵じゃねえ。俺は、人間と巨人のハーフだ。パワーもスピードも、人間のお前とは格が違う!!死ね!!火炎斬!!」
サダ「ライトニングスパイダー!!」
ワルドのバスタードソードから、火の輪が発射され、サダの右手から、地面を走る蜘蛛のような電撃が、幾つもチャンコに向かって来た。
チャンコ「クッサシの勝負じゃなかったのか!!空手奥義・気合い!!」
チャンコは、クロスガードをして顔を少し埋め、火の輪と電撃を受けた。
ワルド「き、気合いで俺の火炎斬を受け止めやがった。」
しかし、サダの電撃を喰らったチャンコは、体が痺れて動く事が出来なかった。
サダ「ワルド!!あの空手家は、体が痺れて動けないはず。とどめを!!」
ワルド「ハハハハッサポーターの差が出たな!!あばよ!!空手野郎、なかなか強かったぜ!!」
ミーナ「グラサー!!」
「タイアード!!」
ワルドの足元に草が生えて、足に絡みつき、そしてワルドは、急にどっと疲れを感じた。
ワルド「バスタードソードが、なんか重く感じる。」
ワルドは、振り上げたバスタードソードを降ろして、その場にしゃがみこんだ。
サダ「連続魔法!!あの女、なかなかやるわね。こうなったら、あの寺ごと燃やしてやるわ!!」
サダが魔法を唱えようとしたその時、辺りが暗くなった。
山賊「おいおい、今度はなんだ?」
「なんか音がするぞ!!」
バサバサバサバサバサバサバサバサ・・・・・・・・
村人達「見ろ!!ユナちゃんとギズモだ!!」
「うおおおお!!久しぶりだな、ギズモ!!」
「待ってたぞ!!ユナちゃん!!ギズモ!!」
村人達は、空を見上げて叫び始めた。それを見て、山賊達とワルド、サダも空を見上げた。
山賊達「まじか!!こんなのありかよ!!」
「おい、逃げるぞ!!」
ワルド「おい!!誰か俺の足の草を切ってくれ!!」
サダ「あれは、伝説のブルードラゴン!!まさか、この村にドラゴン・ライダーがいるなんて。しかも、まだ子供じゃない!!」
上空には、ユナを背中に乗せた巨大なブルードラゴン・ギズモが飛んでいた。