第2章 ジーザス・スルー
ワルド「ジーザス、謝っておけ。」
ジーザス「リーダーがそう言うなら。おい女、さっきは悪かったな。でも、たまにはパンツ、変えた方がいいと思うぞ。」
サダはキリッとジーザスを睨み、魔法を唱えた。
サダ「ライトニングスパイダー!!」
蜘蛛の形をした電撃が地を這いながら、ジーザスに向かって来た。
ジーザス「うわああああ!!殺される!!ハッ。」
喚いて立っていたジーザスが、突然何かを閃き、紙一重でサダの魔法をヒラリとかわした。
ワルド「ジーザス、なんだ今の動きは!!」
サダ「なに今の動きは?今度は手加減なしでぶっ殺すから!!サンドストーム!!」
ジーザスとその周辺を砂嵐が一瞬現れたが、ジーザスは大きくジャンプをして砂嵐をかわした。
ワルドとその周囲にいた人達は、思いっきり砂嵐を喰らい、倒れて数メートルほど吹っ飛ばされ、砂が入った目を押さえた。
ワルド「目が、目が痛い!!」
街の人々「クッ魔王の手下の女か!!なんでこんなことを!!」
「またあれだ、男に振られた腹いせに、ところ構わず魔法をぶっ放してるんだ。」
「金目当てだから、振られるんだ!!」
ジーザス「クククッおい女、俺はどうやらスキルに目覚めてしまったようだ。あらゆる魔法の攻撃をさけるシーフのスキル、名付けて、ジーザス・スルーだ!!」
サダ「そんなまさか。この男には魔法が通用しないというの!!」
ジーザス「そうだ!!もはや俺はお前の天敵だ!!ハブとマングースの関係だ。もちろんハブはお前で、俺はマングースだ!!」
サダ「クッこんなことが起きるなんて、有り得ない。」
ジーザス「今までさんざん魔法でいたぶりやがって。ボコボコにしてやる。」
ジーザスは拳を握りしめて、サダに向かって歩き始めた。そして、右手の拳を振り上げた。
目をこすりながら、倒れているワルドが叫んだ。
ワルド「ジーザス、やめろ!!その女は俺達に、仕事をたまにくれる。」
ジーザス「黙れ、この能無しリーダーが!!お前の時代は終わったんだよ!!この女をボコったら、次はお前だからな。ボコボコのハンバーグミンチにしてやる!!」
そう言いながら、ジーザスはサダに殴りかかったが、サダは左手で捌いて、右手でビンタをした。
ジーザス「ホゲエ!!痛っこのアマ!!調子に乗るな!!」
しかし、サダはまたもやジーザスのパンチをかわし、今度は右手でグーパンチをした。
ジーザス「ぐおおおお!!やるな、お前。空手でも習ってたのか?」
サダ「いや、全然。私は素手で喧嘩なんてしたことないわ、全くのド素人よ。」
ジーザス「なら、男が女に負けるわけがねえ!!うおりゃああ!!」
しかし、ジーザスのパンチは一発も当たらず、反対にサダのパンチや膝蹴りを何発も喰らい、ついに仰向けに倒れた。
ジーザス「クックソッなんてことだ!!こんなことがあっていいわけがねえ。」
サダ「あなた、弱いわね。たぶん、魔法はかわせるけど、物理攻撃はかわせないみたいね。」
ワルドは立ち上がり、仰向けに倒れているジーザスの側に行き、手を差しのべた。
ワルド「ジーザス、大丈夫か?ほら、立てるか?」
ジーザス「うぅ・・・・リーダー、さっきは酷いことを言ってすいませんでした!!」
ジーザスは、ワルドの差しのべた手を握り、立ち上がった。そして、ワルドの右肩に手を回して、支えられてなんとか立っていた。
ジーザス「女、これで勝ったと思うなよ!!今はかわすだけだが、そのうち攻撃できるようになってやるからな!!」
サダは思った。
サダ『素手で魔法使いに負けるなんて、絶望的でしょ。』
サダ「魔法が効かないだけでも、十分凄いと思うわ。」
サダは、ジーザスをボコボコに殴ったことにより、ストレスが発散され、気分が良かった。そして、普段言わない台詞が口から出た。
サダ「なんて綺麗な天の川なんでしょう。」
ワルド「そうだな。」
ジーザス「クソッ女に殴り合いで負けるなんて!!」




