魔法使い・ミーナ
夕方、ソータが畑から大根を何本かひいて寺へ帰ると、ピンクの髪にデニム、黒のトップス、白のアウタージャケットを着たミーナが来ており、ソータの部屋兼団らん部屋で、ユナと談笑していた。ミーナは、ソータより4歳年上の20歳で、ソータとユナが幼い頃からよく知っている、お姉さん的な存在だった。ミーナは、街で占い師をしていると、ソータとユナは村人達から聞いていた。
ソータ「あ!!ミーナさん!!」
ミーナ「ソータ、大きくなったわねえ。へえ。デニム素材のお洒落な作業着着てるわね。」
ユナ「お兄ちゃん、ミーナお姉ちゃんが、今日からここに住むって。」
ミーナ「ソータ、お願い!!家賃少しだけ入れるから、ここに住ませて!!夜はユナちゃんと一緒に、隣の部屋で寝るから。」
ソータ「別に家賃なんていらないし、いいですよ。家には帰れないんですか?」
ミーナの実家は、ソータとユナの住んでいる寺から歩いて、1K程離れた所にある。
ミーナ「お兄ちゃんが結婚して子供ができてさ、お父さんもお母さんも孫に夢中で。お兄ちゃん夫婦の家って感じで、私は居候みたいなもの、家に居づらいのよ。」
ソータ「ここから街まで通うんですか?」
ミーナ「占い師は辞めたの。この村の村長さんの秘書の求人が出てたから応募したら、魔法が使えるからって採用されたの。時給900円なんだけどね。」
ミーナが言うには、ミーナは補助魔法専門の魔法使いで、攻撃的ではない魔法使いというのをかわれて、村長に採用されたらしい。
ソータ「へえ、良かったですね。そろそろ民さんが来るので、一緒にご飯を食べましょう。」
ミーナ「ああ、民さんね。」
民さんは、幼い頃からソータとユナのご飯を朝、昼、晩と作りに来る50代のおばさんで、ソータとユナのご飯を作ることで、村から少しお金をもらっている。
民さんが食材を持ってやって来て、ミーナを見て言った。
民さん「あっ!!この不良娘、帰って来てたのかい。」
ミーナ「民さん、お久しぶりです。元気そうで。」
ミーナもまた、幼い頃から民さんを知っている。
民さん「あんたこそ、元気でやってるのかい?噂では、街で占い師をやってるって聞いたけど。」
ミーナ「実は占い師はやめて、明日からこの村の村長さんの秘書として働くことになったんです。」
民さん「あら、良かったじゃない。」
ソータ「民さん、実は今日から、ミーナさんもここで暮らすことになりました。」
民さん「え?そうなの?あんた実家があるじゃない!!」
ミーナは、兄が結婚して子供ができ、実家に居づらいことを説明した。
民さん「まあ、ソータとユナちゃんがいいって言うなら、いいんじゃない。」
それから民さんは台所へ行き、ご飯を炊いて、クリームシチューとポテトサラダを作り始めた。
ミーナ「ソータとユナちゃんてさ、やっぱり魔法は使えないの?」
ソータ「はい。使えないし、魔法の効果が全く効かないんです。」
ミーナ「まあ、ソータは七色の男だからしょうがないとして・・・・スリーピー!!」
ミーナはユナに向かって右手人差し指を指し、眠たくなる呪文を唱えたが、ユナには全く効果がなかった。
ミーナ「タイアード!!」
今度は、スリーピーの上級魔法をユナに唱えたが、やはりユナには効果がなかった。
ミーナ「さすが選ばれし者、ドラゴン・ライダーね。でも、回復ができないのか。」
ユナ「はい。」
ソータ「ユナは、ギズモに舐めてもらえば傷や病気が治ります。俺は、寝て治すしかないんです。」
ミーナ「ああ、例の高熱が出るやつね。あんた、絶対長生き出来ないと思う。」
そんな話をしていると、民さんがテーブルの上にシチュー鍋を置き、ソータとユナがそれぞれ台所へ炊飯器と、皿に山盛りになったポテトサラダを取りに行った。
民さん「ミーナ、あんたも食べるんでしょ?これからここにお世話になるんだから、みんなのご飯くらいつぎなさい!!」
ミーナは食器棚をソータに教えてもらい、みんなのご飯とポテトサラダをついだ。
民さん「じゃあ、私は帰るから。ミーナ、ソータとユナちゃんに迷惑かけるんじゃないよ!!」
ミーナ「あれ?民さんは食べないの?」
民さん「家で、旦那と子供達が待ってるからね。じゃあ、また明日。」
そう言って、民さんは自宅へ帰って行った。
ソータとユナがシチューを1杯食べるなか、ミーナは3杯目のシチューをついでいた。
ソータとユナは思った。
ソータ(おいおい!!3杯目かよ!!ちょっとは遠慮してほしいな。)
ユナ(シチューは諦めて、今日はポテトサラダでお腹をいっぱいにするしかないわ。)
そんなふうに2人が思うなか、ミーナは思った。
ミーナ(ここには、うるさいお兄ちゃんやお母さんがいなくて、ご飯は美味しいし、なんて居心地がいいんだろう。まさに楽園ね。)
ミーナは、4杯目のクリームシチューをつぎ始めた。