パスワード
次の日の昼、曇り空の下、キサラギはカサブランカ市の裏手の山へ行くと、四足に羽が生えた巨大な赤色のドラゴンと、それに乗ったドラゴン・ライダーのエルダが待っていた。
エルダ「意外と早く来たわね。」
キサラギ「ほう。これがお前のレッドドラゴン・ヴィクトリーか。」
エルダ「そう。さあ、行くわよ。私の後ろに乗って。」
キサラギはドラゴンに上り、エルダの後ろに乗って、ドラゴンの背びれを掴んだ。
エルダ「じゃあ、出発!!ヴィクトリー、ポナ村までお願い!!」
レッドドラゴン・ヴィクトリーは、エルダとキサラギを乗せて飛び立ち、ポナ村へと向かった。
魔王とサダは、サダの新魔法・モアムーヴメントによって、森友神社の入口に来ていた。
魔王「さすがだな、サダ。この魔法なら、なんなくどの街や村でも、門番を突発できる。」
サダ「前から思いついていたんてすが、この間やっと、この魔法を完成することが出来ました。」
ムーヴメントは、街や村の入口までしか移動できないが、モアムーヴメントは、街や村のポイント地点まで移動ができる。
魔王とサダは、100段ある階段を上り、神社の裏の林を抜けて洞窟の中へ入り、巨大な賢者の石の所へ辿り着いた。
魔王「これが、お前が言っていた賢者の石か。確かにでかいなあ。」
サダ「はい。今思ったのですが、この石は、ここから先へ進むのを防いでいるように思えるのです。」
魔王「見てみよう。」
魔王は空間に画面を出して、賢者の石を破壊する武器を検索した。すると、画面上にパスワードを入力して下さいという表示が現れた。
魔王「パスワード?」
「パスワードは8888。」
魔王とサダの後ろから、女の声が聞こえたので、二人が振り返ると、そこにはオババ様が立っていた。
サダ「あなたはオババ様、いつの間に?」
オババ様「やはり、あなたは魔王の遣いだったのね。とすると、あなたが魔王ね。」
魔王「そう呼ばれているが、あなたは?なぜパスワードを知ってるんだ?」
オババ様「私はひいお婆さんから、この石は賢者の石と教えられた者。この石を壊そうとする者が現れたとき、パスワードに辿り着く者がいたら、教えるようにと言われてきたの。そして、その先に永遠の命があるって。」
サダ「え?この前来たときは、そんなこと言わなかったのに。本当なの?観光客集めの観光地だって。」
オババ様「それも本当よ。ここはかつて観光地で、観光客がよく来てたの。それが、月日が経つとともに忘れられて、しかも今じゃ、誰も賢者の石の存在なんて信じようとしない。夢のない時代になったものね。賢者の石を信じているのは今の時代、魔王、あなたと私ぐらいのものよ。」
魔王「オババ様、あなたも永遠の命が欲しいのか?」
オババ様「そんなの当たり前よ。誰だって死ぬのは怖いし、いつまでも若く生き続けたいじゃない。さあ、早くパスワードを。」
魔王は、空間の画面にパスワードを入力すると、巨大な賢者の石は青白く輝き始めた。
サダ「うわっ眩しい!!」
魔王「どうやら、この石を通り抜けて中へ行くようだ。」
魔王は、青白く輝く賢者の石の中へ歩いて行った。
サダ「ま、魔王様!!待って下さい!!私も!!」
オババ様「ちょっとちょっと、置いてかないで!!」
サダとオババ様も、青白く輝く賢者の石の中へ駆け込んで行った。




