賢者の石
サダ「ハッ私としたことが!!」
オババ様のいつ終わるか分からない、しかも訳の分からないお経を聞いているうちに、サダは眠くなり、いつの間にかその場に横になって寝ていた。
毛布が被されており、オババ様はいなくなっていた。毛布と自分の服についた土を両手で払い、もう一度、大きい"賢者の石"を見上げ、ため息をついた。
サダ「ハア・・・・これが賢者の石なのかなあ。とりあえず、ルーファス団長に報告を。」
サダは、毛布を畳んでその場へ置き、賢者の石に照らされた青白い洞窟を出て竹藪を抜け、ルーファス団長を捜すことにした。
ソータの大根畑で、殴り合いに疲れたソータとルーファス団長は、お互い息をきらせて、なんとか立っていた。
ルーファス団長「ハアッハアッハアッハアッさすが七色の男だ。この俺と互角に殴り合うとは・・・・。」
ソータ「ハアッハアッハアッハアッお前はいったい何者なんだ!!こんな強い奴は初めてだ!!」
ルーファス団長「ハアッハアッ俺は魔王様の右腕・ルーファスだ!!魔王様は、俺よりも遥かに強い。ハアッハアッ俺に苦戦しているようじゃ、魔王様には勝てないぞ!!」
ソータ「ハアッハアッ狙いは賢者の石か。この村には、そんな物はないと帰って魔王に伝えろ!!」
ルーファス団長「ハアッハアッハアッハアッ賢者の石は今、調査中だ。それに、お前との勝負にケリをつけないとな!!」
体がいうことを効かない二人は、なんとか立ったまま最後の一撃で相手を倒そうと、力を貯めていた。
サダ「ルーファス団長!!」
ルーファス団長の背後にサダが立っていた。
ルーファス団長「タイム!!七色の男、ちょっとタイムだ!!サダ!!よくここが分かったな。」
ソータ「タイム?ああ!!あの女は前に見たことがある!!お前の仲間だったのか。」
ルーファス団長「そうだ。見るからに、金に弱そうな女に見えるだろ?だいたいこういう女は、悪い女だ。こんな女を嫁に貰うのはやめときな。金がかかってかかって人生苦労するぞ。」
サダ「団長!!私の悪口を言うのはやめて下さい。しかも、本人の目の前で!!」
ルーファス団長は振り返り、サダを見た。
ルーファス団長「すまんすまん。しかし、俺は事実を言ったまでだ。」
サダは、団長の言葉を無視して話始めた。
サダ「あの向かい側の神社から、七色の光と団長の闇のオーラが見えたので、魔法で移動して来ました。」
ルーファス団長「なるほど。で、あったのか?賢者の石は。」
サダ「賢者の石かどうかは分かりませんが、それらしい物がありました。」
ルーファス団長「よし。後は俺が、この七色の男を倒せば任務完了だ!!」
ルーファス団長は、サダと話すのをやめて、再びソータと向かい合った。
ルーファス団長「待たせたな!!いくぞ、七色の男!!これで最後だ!!ダークネスパンチ!!」
ソータ「ウオオオオ!!スパークナックル!!」
二人のパンチは相討ちで、お互いの顔面にめり込み、ダブルノックアウトで同時に倒れた。
サダは、倒れている団長を揺さぶって起こそうとしたが、団長は起きなかった。ソータも倒れて全く動かなかった。ソータと団長のオーラが消え、元の姿に戻った。
サダ「ったく。肝心なところで気絶するなんて、団長らしいわ。では、私がとどめを。さよなら、七色の男。」
サダが魔法を唱えて、ソータを殺そうとしたとき、大きな影に覆われた。
サダ「ん?急になんか薄暗くなったんだけど・・・・まさか・・・・。」
サダは、恐る恐る頭上を見上げると、巨大なブルードラゴン・ギズモと、それに乗った少女・ユナがいた。
ユナ「お兄ちゃんをどうするつもりですか?そんなことをするのは、止めて下さい!!」
サダ「なんでドラゴン・ライダーが!!もう、学校が終わったというの?」
ユナ「今日は土曜日だから、学校は午前中で終わり。で、ギズモと空の散歩をしていたら、お兄ちゃんの七色の光と黒いものが見えたから、ここに来てみたんです。」
サダ「クッ。ドラゴンは無理でもあなたを狙えば!!サンダーボルト!!」
サダは魔法を唱え、ギズモに乗っているユナめがけて稲妻を墜としたが、ユナには効かなかった。
サダ「ドラゴンに乗っているから、魔法が効かないというの!!」




