オババ様
ソータは、ちょっと頭を右手で擦りながら立ち上がった。
ソータ「ウオオオオ!!」
雄叫びをあげて、ソータの体は七色に輝き始めた。
ルーファス団長「出たな!!七色の男!!ならば俺も。ウオオオオ!!」
ルーファス団長も雄叫びをあげ、体が黒色のオーラに覆われた。
ソータ「これは、俺とは正反対のオーラを感じる!!」
ルーファス団長「そうだ!!太陽があれば月があるように、光があれば闇があるように、俺とお前は正反対の存在!!いくぞ!!ダークネス・パンチ!!」
ソータ「ウオオオオ!!スパーク・ナックル!!」
ソータとルーファス団長の激しい殴り合いが、大根畑で始まった。
サダは、ポナ村市場で村人と思われる若い女に話しかけた。
サダ「あのう・・・・オババ様ってどこにいるんですか?」
村人の若い女「オババ様なら、そろそろ3時だから森友神社に散歩がてら、お参りに行くんじゃないかな。」
サダ「散歩ですか。分かりました、ありがとうございます。」
サダは市場の裏路地に入り、魔法・ムーヴメントを唱えて、森友神社の階段の入口に着いた。
サダ「この階段を登るなんて、元気なお婆さんね。」
サダは、100段ある階段を走ったり歩いたりして登りきると、神社でお参りをしている、小柄で長い黒髪の40代ぐらいの女がいた。
サダ「ハアッハアッハアッハアッ。すいません、オババ様って何処にいるか知りませんか?」
サダは、息を切らせながらその女に聞いた。
女「私が、この村ではオババ様って呼ばれてるけど、なにか?」
サダ「え?あなたが!!若い!!若すぎるわ!!」
オババ様「あらそう?確かにみんなに若いってよく言われるわ。私は今年で72歳なんだけど、40代に見えるって。これも、通販で買った洗顔クリームのおかげね、たぶん。」
サダ「ぜひ、その洗顔クリームを教えて下さい・・・・じゃなかった。オババ様、賢者の石って、本当にこの村にあるんですか?」
オババ様「・・・・賢者の石のことを聞くということは、あなたは魔王の遣いってところかしら。」
サダは、少し焦ったが冷静に答えた。
サダ「いえいえ。魔王の遣いだなんてとんでもないです。私は、賢者の石に興味がある村人です。」
オババ様「・・・・まあ、いいわ。あなたに賢者の石を見せてあげる。着いて来なさい。」
オババ様は、お参りをやめて神社の奥にある林へ入り、さらに林の少し奥にある巨大な洞窟の中へ入って行った。サダも後について入った。
洞窟の中は青白い明かりが灯り、ちょっと薄暗いラブホの部屋の壁のようだった。足元を見ながら100mほど歩くと、オババ様が立ち止まった。
オババ様「着いたよ。」
オババ様がそう言って先を見ると、前方に高さ200mほどある巨大な青く輝く石があった。
サダ「うわっ大きい!!まさか賢者の石が、こんなに大きいなんて!!」
洞窟は、この巨大な賢者の石に立ち塞がれて、これ以上先には進めなくなっていた。
オババ様「フフフッ驚いた?まさか賢者の石がこんなに大きいとは思わなかったでしょ。しかもこれ、ちょっとやそこらじゃ動かないわよ。なんでこの洞窟にあるのか分からないし。」
サダ「で、この石には永遠の命を授ける力があるんですか?」
オババ様「さあ。」
オババ様は、両手を広げて分からないというポーズを取った。
サダ「この石の力は?なぜ、オババ様はこの石を賢者の石と呼んでいるのですか?」
オババ様「この石は、どんな武器でも、どんな魔法でも傷一つつけることができない。それが今、分かっているこの石の力かな。なんで、この石を賢者の石と呼んでいるかというと、私のひいお婆さんが、この石の事を賢者の石と呼んでいたらしいの。観光客を呼び込むために。もう、かなり昔の話だから、みんな、こんな事知らないのよね。」
サダ「え?観光客を呼び込むために?う~ん、でも確かに、どんな武器も魔法も効かないのは本当っぽいし。でも、これは本当に賢者の石なのかしら。」
オババ様「さあ、気が済んだ?私はこれから、ちょっと賢者の石にお祈りするけど、あなたはどうする?」
サダ「じゃあ、私もちょっとお祈りを。」
サダはオババ様の隣に並び、手を合わせて目を閉じると、オババ様が何やらお経らしきものを唱え始めた。




