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ドラゴンライダー  作者: 明日こそはシンデレラ
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赤い靴

ミヤモトは朝飯を食べ終わると、ミーナ、ユナと一緒に寺を出ようとした。


ミーナ「あんた、どこへ行くの?山で自殺でもするの?」


ミヤモト「フッ相変わらず朝からくだらん事を言う女だな。仕事に行くんだよ、し・ご・と」


ミーナ「え?嘘でしょ!!あんたの働けるところなんてないでしょ、この村には。」


ミヤモト「この村の麓にある山岳博物館の事務補助と、見廻りだ。村長に剣の腕を買われてな。お前みたいに色仕掛けじゃなく、俺は実力で採用されたんだ。」


ミーナ「失礼ね!!私は色仕掛けなんかしてないわよ!!前にも言ったけど、私は補助魔法を村長さんに買われたの!!さあ、ユナちゃん、こんなバカ侍はほっといて行きましょ!!」


ユナとミーナは一緒に寺から出ていき、少し遅れてミヤモトも出て行った。ソータは、みんなを寺から見送った。


ソータ「みんな出掛けて俺一人か。少ししたら、俺も畑へ行こう。」




 一 カサブランカ市 キャバクラ 魔王の伝説 一



ちょうど同じ時刻頃、閉店しているキャバクラに、魔王、サダ、そして兎のような長い耳がついた黒いヘルメットを被り、ネズミ色の半袖のTシャツにプロレスラーが履いている黒パンツを履いた、身長2mほどある男・ルーファス団長の3人が、ソファに座って話をしていた。


魔王「というわけで、ルーファス団長とサダ、ポナ村へ行って賢者の石が有るかどうか調べてくれ。」


ルーファス団長「分かりました。ついでに、その七色の男もぶちのめしてやります。」


魔王「ほんとは俺が行けばいいんだが・・・・。」


魔王がそう言いかけたとき、キャバクラの木のドアを蹴破り、3人の勇者パーティーが入って来た。男2人に女1人の構成で、男2人はそれぞれ剣士・弓使いで、女は魔法使いだった。


剣士・ツカサ「見つけたぞ、魔王!!お前が奇妙な奇術を使う前に攻撃だ!!」


弓使い・シンゴ「必殺・50連打!!」


シンゴの弓から50発の弓矢が放たれた。


魔法使い・リア「イナズマ・シュート!!」


水色のパーカーをを着た魔法使い・リアの杖は、ペンライトのような杖で、先端からイナズマが迸った。


弓矢とイナズマは、魔王の胸にあたる寸前に消えた。


剣士・ツカサ「クッ魔王に対して、不意打ち攻撃は無効になるというのは、本当だったのか!!」


魔王「ルーファス団長、サダ。このように、常に俺は勇者達に付きまとわれてるんだ。今までのデータで分かったんだが、日曜日の夜だけは、襲って来る勇者が少ない。だから、そうだなあ。来月末の日曜日に、俺がその伝説のブルードラゴンを退治するとしよう。さてと。」


魔王はソファから立ち上がり、空間に魔王しか見えない画面を触り始めた。


剣士・ツカサは、剣を下から上へ振り上げて下ろした。


剣士・ツカサ「真空斬り!!」


魔王に当たる寸前に、ツカサの放った斬撃が消えた。


魔王「この世界では、俺が闘う体勢をとるまでは、全ての攻撃は無効となるようだ。昨日じゃなくて、今日の夜中2時にも不意打ちで、思いきりベッドで寝ている俺の首に、剣を振りおろして来た奴がいてなあ。それから寝れなくて、今日は寝不足だ。」


そう言いながら、魔王は空間から縦笛を取り出し、吹き始めた。


ルーファス団長「こ、この曲は!!」


サダ「魔王様!!まさか!!」


剣士・ツカサ「な、なんだ?何が始まるんだ?」


弓使い・シンゴ「縦笛?」


魔法使い・リア「なんか分かんないけど、嫌な予感がする。」


突然、キャバクラの蹴破られたドアの入口から、巨大な3mほどあるタコのような赤い生物が3体現れて、勇者パーティーを1匹1人ずつ、無数にある足で体を巻き付けて連れ去って行った。


剣士・ツカサ「な、なんだ!!この生き物は!!」


弓使い・シンゴ「うわっヌルヌルして気持ち悪い!!」


魔法使い・リア「イヤアアアア!!助けて!!」


魔王は縦笛を吹くのをやめて言った。


魔王「そうだ、赤い靴だ。俺のオリジナルバージョンで、異人さんを異星人に変えてみたら、やって来た。ほら、見てみろ。」


サダとルーファス団長は立ち上がり、キャバクラの窓から、巨大な黒い茄子のような形をした宇宙船が飛び立っているのを見た。


サダ「かわいそうに、食べられるのかしら。」


ルーファス団長「さあな。それにしても、さすが魔王様。この鬼気迫る状況で、赤い靴を奏でられるとは。素晴らしい演奏でした。」


魔王「団長、褒めすぎだ。何ヵ所か音、外れてただろ。逆に恥ずかしいわ。」


ルーファス団長「サダ、昼ぐらいに村人に変装して、ポナ村へ行くぞ。ドラゴン・ライダーのガキが学校へ行っている間に、俺は七色の男とその仲間達を倒す。お前は賢者の石を探せ。」

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