圧縮感情プログラミング
無駄なことばかりしている
瓦礫ばかり集めて
砂つぶの数をかぞえて
歩いてきた足跡をなぞって
傷跡の数をまたかぞえて
臭いものに蓋をした後で
懺悔する理由なら、忘れたの
傷つけて、罵って、
ここまできて
その後で、
どんな言葉で
どんな音で
悲しそうな顔すら
電気信号。
ノイジーに踊る
レコード盤の上で、かすれた声で
忘れられた歌のメロディー
どうしてステップを踏むの?
本当の意味なんて
言えるわけないよって
圧縮して、鍵をかけて
瓦礫の奥底の幾層もの向こう側に押し込んで
楽しくないのに笑えるし
誰かの嘆きにだって
背中を向けることが
こんなにも簡単で
諦めて、捨ててしまって
ここには何もなくて
したためていた手紙なら
出せずに終わって、そのままで
無駄なことばかりしている
瓦礫ばかり集めて
砂つぶの数をかぞえて
本当の意味なんて
言えるわけないよって
圧縮して、鍵をかけて
瓦礫の奥底の
幾層もの向こう側に押し込んで
厳重に圧縮した感情が
今さら疼くのは、どうして?
無駄なことばかりしている
瓦礫ばかり集めて
砂つぶの数をかぞえて
星の数をかぞえて
君の名前を
なぞる
砂つぶの数をかぞえて
星の数をかぞえて
花びらの数を数えるより
君の名前をなぞってばかりで
無事に圧縮感情プログラミングが完結しました。
今回の詩集は、実はカクヨム様との二本立てで、あらすじにつけていたナンバリング(番号)とタイトルは、カクヨム版となろう版で、全く別の詩にしようと言うコンセプトで。
当初は、全て別の詩にしようと思っていたのですが、それはさすがに無謀だし、やはり同じテーマ、もしくは表裏一体のテーマというのは、衝動で書くというところから一歩下がった場所で書くので、少しクールな詩が多かった気がします。
でも紛れもなく、30代後半の今だからこそ書いた詩のような気がしますしね。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
ささやかな言葉遊びでしたが、その断片でも、どなたかの胸に残れば、それだけで。