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羽根をひろげて
本当なら風に飛ばされそうな砂のようだけど
少しだけ笑ってみようかと、羽根を広げていた
どうでもいいよと嘆いていたのに
今の僕は傷つくだけの自由の海に飛び出していた。
そのままいっそ、埃となれば楽だろう。
いっそ忘れていく人の名前のように、枯れてしまおう。
歩くことを諦めた旅人が、眠りから覚めて
白い世界に旅立つように。
いつも人は背中をむけて消えていく。
永遠は伝説の果実でしかない。
それても僕ら、羽根を広げて
旅に出るそんな歌のように、笑い転げたんだ。
君は今も元気?
去り行く風を見つめながら
散り行く花を見つめながら
枯れ行く葉を見つめながら
歩き続ける人に笑って見せよう。
羽根を広げて、青の空へ翔ぼう。
羽根を閉じて静寂の海で眠る。
そんな呼吸のような
そんな旅の終わりと始まりに。
君は今も元気?
僕は今も元気?
さぁ、羽根を広げて旅立とう。
今もまだ青すぎる世界へ、きっと旅立てる。
硝子のような僕たちだけの羽根を広げて。
例によって埋もれていた過去詩でした。多分2003年くらい。